豪ドル
豪州の昨年12月の失業率は6.6%と、11月の6.8%から低下(改善)しました。RBA(豪中銀)の昨年11月時点の見通しである8.0%を大きく下回ったうえ、市場予想(6.8%)よりも良好な結果でした。
RBAは昨年12月の会合時の声明で、「少なくとも3年間は利上げを見込んでいない」と表明。ただ、失業率の改善を受け、2月2日の次回会合時にその見通しが修正(期間が短縮)されるかもしれません。
27日発表の豪州の昨年10-12月期CPI(消費者物価指数)が強い結果になれば、RBAが2月に政策金利見通しを修正する可能性は一段と高まると考えられます。
米国の追加経済対策の行方や主要国の株価動向にも目を向ける必要はあるものの、政策金利見通しの修正観測が市場で高まれば、豪ドル/米ドルや豪ドル/円は上値を試す展開になりそうです。
NZドル
NZの昨年10-12月期のCPI(消費者物価指数)が22日に発表されました。結果は前年比1.4%と、市場予想の1.0%を上回り、またRBNZ(NZ中銀)の昨年11月時点の見通し(1.1%)よりも強い伸びでした。
RBNZは将来的なマイナス金利導入の可能性を排除していないものの、今回のCPIの結果はその可能性が一段と低くなったことを示します。
CPIの結果が支援材料となり、NZドルは堅調に推移しそうです。目先、NZドル/米ドルは0.73099米ドル(6日高値)、NZドル/円は75.509円(8日高値)が上値メド、豪ドル/NZドルは200日移動平均線(21日時点で1.07177NZドル)が下値メドになりそうです。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は20日、政策金利を0.25%に据え置くことを決定。据え置きは7会合連続です。
声明では、カナダ経済の先行きについて楽観的な見方が示されました。
声明はカナダ経済について、コロナの感染拡大やロックダウン(都市封鎖)措置の再導入によって「今年第1四半期(1-3月期)の成長は現時点でマイナスになると予想される」としました。
ただ、「規制措置が第1四半期後半に解除されると仮定すれば、経済は第2四半期(4-6月期)に力強く回復すると見込まれる」と分析。ワクチンの入手可能性は予想よりも早く、また継続的な大規模刺激策によって経済見通しは昨年10月時点よりも強く安定した」との見方を示しました。
マックレムBOC総裁は会合後の会見で、「カナダ経済が(BOCの)見通しを大幅に下回る場合、マイナス金利を回避しつつ利下げすることは選択肢の一つとしてある」としながらも、「会合では現在実施している大規模な刺激策は適切であり、変更は必要ないと判断した」と語りました。
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声明の内容やマックレム総裁の発言をみると、国内でロックダウン措置が拡大する、あるいはカナダドルが上昇を続けない限り、BOCが利下げなど追加緩和へと動く可能性は低いとみられます。
市場では利下げ観測が後退すると考えられ、そのことはカナダドルを下支えしそうです。また、堅調な原油価格(米WTI原油先物など)もカナダドルにとってプラス材料です。カナダドル/円については、米ドル/円の影響も受けるものの、上値を試す展開になる可能性があります。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は21日、政策金利を17.00%に据え置きました。
声明は「昨年11月と12月の利上げが信用や内需に与える減速効果は、(今後)より顕著になる」と指摘。「インフレに対する需要やコスト要因の影響は徐々に弱まるだろう」との見方を示しました。
声明は一方で、「インフレ率の持続的な低下がみられるまで、長期にわたって金融政策の引き締めスタンスを断固維持する」と表明。「必要に応じて追加の金融引き締めを行う」としました。
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トルコの昨年12月のCPI(消費者物価指数)は前年比14.60%と、2019年8月以来の強い伸びを記録したものの、TCMBは利上げを見送りました。昨年11月と12月の大幅な利上げ(合計6.75%)の効果が今後も出てくることで、CPI上昇率が高まり続ける可能性は低いと判断したとみられます。
エルドアン・トルコ大統領は「金利を下げれば、インフレ率は下がる」というのが持論。15日にもその持論を改めて述べました。TCMBはウイサル前総裁のもと、エルドアン大統領の圧力によってCPI上昇率(インフレ率)が十分に下がる前に利下げを開始しました。同じようなことになることを市場は懸念しています。
今回の声明で「長期にわたって金融政策の引き締めスタンスを維持する」との方針を示し、近い将来に利下げに転じる可能性が低いことを示したうえ、「必要なら追加利上げを行う」と明言しました。市場の懸念は後退するとみられます。
1月25日、東地中海の問題の解決に向けたトルコとギリシャの予備協議が開催されます。東地中海でのトルコの海底資源探査をめぐり両国の関係は悪化しています。協議を受けて関係改善への期待が市場で高まれば、リラにとってさらなる支援材料となりそうです。リラ/円は200日移動平均線(21日時点で14.395円)に接近するかもしれません。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は21日、政策金利を3.50%に据え置くことを決定。据え置きは3会合連続です。会合では5人の政策メンバーのうち2人が0.25%の利下げを主張。据え置きの決定は3対2で下されました。
クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、「インフレ見通しに対する全体的なリスクは、中期的に均衡している」と指摘。景気回復の遅れによって今年と来年のインフレ率(CPI上昇率)は目標レンジ(3-6%)の中央値である4.5%を下回る水準で推移するとの見方を示す一方、「ランド安によるインフレのリスクがある」と語りました。
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今回の据え置きの決定は3対2の僅差でした。また、南アフリカではコロナの変異種の感染が拡大しており、同国景気は低迷が続くとみられることから、SARBが今後利下げする可能性はあります。
ただ目先でみれば、利下げが今回見送られたことでランドは底堅く推移するかもしれません。
一方でランドには、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴があります。米国の追加経済対策の行方や主要国株価の動向にも目を向ける必要があります。
メキシコペソ
メキシコペソは今週(1/18- )、対米ドルや対円で比較的落ち着いた値動きとなっています(ペソ/円は5.2円前後で推移)。
堅調な原油価格(米WTI原油先物など)はペソにとってプラス材料です。
一方で市場では、「商業銀行が保有する余剰現金の買い入れをBOM(メキシコ中銀)に義務付ける」との法案への懸念があり、それがペソの上値を抑えています。この法案が成立すれば、麻薬組織が得た収入をBOMが買い入れる可能性があり、マネーロンダリング(資金洗浄)につながりかねません。また、法律によって余剰現金の買い入れを強いられることになり、中銀の独立性が損なわれるおそれもあります。
BOMの利下げ観測もペソの重石。BOMは金融政策の先行きについてインフレの動向を重視する姿勢を示しています。メキシコの昨年12月のCPI(消費者物価指数)は前年比3.15%と、上昇率は11月の3.33%から鈍化しました。
強弱いずれの材料もあるため、メキシコペソは方向感が出にくいかもしれません。ペソ/円は引き続き5.2円前後で推移する可能性があります。
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