常に警戒を怠ってはいけない状況だ
米国雇用統計が予想より悪かったことは、失業率が低水準にキープされたことで相殺され、それほど悲観材料にはならないだろう。FRBはすでに利下げ等緩和方向のサジェスチョンをしており、大きな転換点にはなりにくい。
また、15日には、米中貿易摩擦の第一弾合意にサインがされる予定だ。トランプ政権は、この第一弾の後、第2弾の合意にも前向きと伝えられるが、この第2弾の合意(中国景気にはここが大きな影響を持つ)が非常に重要であり、そこへ向けてのポジティブなガイダンスがあれば、株価は24000円を超え、上昇波動に向かう可能性がある。しかし、15日合意の事前情報としては、いまのところそのような気配はなく、第2弾合意は大統領選後になる可能性もある。
さらに14日の引け後には中国鉱工業生産の発表があるが、中国景気指標が悪化している恐れもあり、15日以降の相場に影響する恐れもある。しかし、リスク面で最大のものは、やはりイラン問題だろう。
イランはウクライナ機撃墜を認めた一方で、政権はその責任を米国に負わせるよう、世論を形成させる傾向がある。そのことが、米国とイランの対立激化につながり、さらに、トランプ政権にブラフをかけやすいロシア、北朝鮮が、連携して有事を起こせば、ドルの大幅な下落につながる可能性もある。今週すぐに事態が急変する可能性は低いが、常に警戒を怠ってはいけない状況となっている。