ネガティブサプライズには要注意
■先週は、米中次官級通商協議の進展がみられなったことで一時106.57円まで下落しました。
しかし、中国サイドが貿易協議で部分合意に向けて意欲的との報道やトランプ政権が一部の米企業に対するファーウェイへの供給を許可したこと等で108円台まで上昇する展開となりました。
また、株価の上昇を受けてリスクオンの展開となりました。
■さて、今回の最大の注目ポイントであった米中閣僚級通商協議においては、「部分合意」に達しました。
今回の部分合意を「第一段階」として一部の知的財産、為替、金融サービスなどについて合意し、更に懸念されていた今月15日の対中制裁関税引き上げを見送ることになりました。
このことで、最悪のケースは一旦、見送られ結果的には株高のリスクオンになりました。
■今週以降は一旦、この米中問題は材料から外れることになりますが、いずれ時間とともに12月に発動される予定の対中関税が焦点となるので、まったく度外視はできない状況です。
また、今回の合意内容が文書化されるまでは米国サイドとしても署名しない意向を示していることも、やや不安が残るところです。
今回の部分合意においてもすでに株式市場や為替市場においてもある程度織り込んでいたところはあるので、その意味でも一気にこの部分合意の結果を受けて続伸することは考えにくいとみています。
■今週以降、材料にすべきものを列記します。
・長期化する香港抗議デモと更なる激化
→今後の米中通商協議への影響も・・
・サウジアラビアとイランの軍事衝突
→地政学リスク台頭と米国による制裁
・トランプ大統領に対する弾劾審理
→来年の米大統領選への心象とダメージ
■更に注目したい材料としては・・・
・16日(水)…米小売売上高
・16日(水)…地区連銀経済報告(ベージュブック)
・17日(木)…米鉱工業生産
・18日(金)…景気先行指標総合指数
■米経済指標に関しては、今月末のFOMCの追加利下げのポイントになるので注目したいです。
既に製造業・非製造業景況指数は下方向を示している状況なので、上記の経済指標は参考になるので、ネガティブサプライズだった場合には、利上げを織り込むような動きになると思われるので注目したいです。
■最後にドル円の戦略です。
日足チャートでは、9月中旬と今月1日の高値である108円ミドルを上抜けたことでダブルトップ否定しました。
これにより、目先は109円を視野に入れた展開を予想したいです。
しかし、109円以上は、上記の不安材料があるだけに、逆に「売り」を想定。
戦略とすれば先週末の高値108.62円を抜けた段階で戻りを待つイメージです。