■要約
フジコー<2405>は、建設工事現場で発生する木くず等の産業廃棄物を中心とした各種廃棄物の中間処理(破砕、焼却等)を主力とし、白蟻防除及び老朽家屋等の解体工事も手掛けている。許可品目の多さや多様な廃棄物の取扱い、最新鋭の処理施設と技術の導入などに強みを持つ。また、建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電にも取り組んでおり、2016年6月からは岩手県二戸郡一戸町にて森林資源を活用した「森林発電事業」を展開している。「住まいと環境を守る」を経営理念に掲げ、害虫駆除から各種廃棄物のリサイクル事業、さらには自然エネルギーへの展開など、創業以来、社会的貢献度の高い事業を行ってきた。今後も新たに参入した電力小売事業(一般家庭等)が収益ドライバーとして期待できるほか、強固な財務基盤を活用した事業拡大により持続的な成長を実現する構えである。
ただ、2018年6月期の業績は、売上高が前期比1.9%増の3,427百万円、営業利益が同16.2%減の191百万円と増収減益となり、期初予想を下回った。新たに参入した「森林発電事業」における電力小売事業の伸びなどが増収に寄与したものの、期初予想を下回ったのは、「建設系リサイクル事業」において焼却施設の長期補修工事を実施したことに加えて、中国の廃プラ輸入規制等の影響※により、結果として受入数量を制限せざるを得ない状況となったことが理由である。一方、利益面でも、中国の廃プラ輸入規制等に伴う外注単価の高騰や「森林発電事業」における木材仕入費の増加等により減益となった。
※中国における廃プラスチック類の輸入規制の影響により、建設系廃棄物に含まれる高カロリーの廃プラスティク類の構成比が高まったことで処理効率が低下するとともに、連鎖的に他の処分業者への外注委託費(外注単価)も高騰したことから、結果として受入制限をせざるを得ない状況となった。
2019年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比5.9%増の3,630百万円、営業利益を同4.4%増の200百万円と増収増益を見込んでいる。「建設系リサイクル事業」の回復と「森林発電事業」における電力小売事業の拡大が業績の伸びをけん引する見通しである。弊社でも、電力小売事業が足元で順調に伸びていることに加え、「建設系リサイクル事業」についても、高カロリー廃棄物に対する受入単価の値上げ等が業績回復に寄与する可能性が高いこと、利益面でも想定されるコスト要因を保守的に織り込んでいることから、同社の業績予想の達成は可能であると判断している。
同社の成長戦略の軸は、「森林発電事業」における電力小売り(一般家庭等)の拡大と強固な財務基盤を生かした既存事業の拡大である。特に、電力小売りについては、地産地消型の事業モデルとして拡大余地が大きい。また、既存事業においても、後継者問題などに直面している業界の中で、強固な財務基盤と最新鋭設備などに優位性を持つ同社がM&Aや業務提携等によって事業規模の拡大を図る機会は十分にあるとみている。したがって、今後も電力小売りの進捗状況のほか、周辺領域(収集運搬事業など)への拡充を含めた既存事業拡大への取り組みに注目していきたい。
■Key Points
・2018年6月期は増収ながら減益となり、期初予想を下回る着地
・中国の廃プラ輸入規制の影響等を受けるが、電力小売りの伸びなどにより増収を確保
・2019年6月期は「建設系リサイクル事業」の回復と電力小売事業の拡大により増収増益を見込む
・今後もポテンシャルの大きな電力小売りと強固な財務基盤を活用した事業拡大により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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フジコー<2405>は、建設工事現場で発生する木くず等の産業廃棄物を中心とした各種廃棄物の中間処理(破砕、焼却等)を主力とし、白蟻防除及び老朽家屋等の解体工事も手掛けている。許可品目の多さや多様な廃棄物の取扱い、最新鋭の処理施設と技術の導入などに強みを持つ。また、建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電にも取り組んでおり、2016年6月からは岩手県二戸郡一戸町にて森林資源を活用した「森林発電事業」を展開している。「住まいと環境を守る」を経営理念に掲げ、害虫駆除から各種廃棄物のリサイクル事業、さらには自然エネルギーへの展開など、創業以来、社会的貢献度の高い事業を行ってきた。今後も新たに参入した電力小売事業(一般家庭等)が収益ドライバーとして期待できるほか、強固な財務基盤を活用した事業拡大により持続的な成長を実現する構えである。
ただ、2018年6月期の業績は、売上高が前期比1.9%増の3,427百万円、営業利益が同16.2%減の191百万円と増収減益となり、期初予想を下回った。新たに参入した「森林発電事業」における電力小売事業の伸びなどが増収に寄与したものの、期初予想を下回ったのは、「建設系リサイクル事業」において焼却施設の長期補修工事を実施したことに加えて、中国の廃プラ輸入規制等の影響※により、結果として受入数量を制限せざるを得ない状況となったことが理由である。一方、利益面でも、中国の廃プラ輸入規制等に伴う外注単価の高騰や「森林発電事業」における木材仕入費の増加等により減益となった。
※中国における廃プラスチック類の輸入規制の影響により、建設系廃棄物に含まれる高カロリーの廃プラスティク類の構成比が高まったことで処理効率が低下するとともに、連鎖的に他の処分業者への外注委託費(外注単価)も高騰したことから、結果として受入制限をせざるを得ない状況となった。
2019年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比5.9%増の3,630百万円、営業利益を同4.4%増の200百万円と増収増益を見込んでいる。「建設系リサイクル事業」の回復と「森林発電事業」における電力小売事業の拡大が業績の伸びをけん引する見通しである。弊社でも、電力小売事業が足元で順調に伸びていることに加え、「建設系リサイクル事業」についても、高カロリー廃棄物に対する受入単価の値上げ等が業績回復に寄与する可能性が高いこと、利益面でも想定されるコスト要因を保守的に織り込んでいることから、同社の業績予想の達成は可能であると判断している。
同社の成長戦略の軸は、「森林発電事業」における電力小売り(一般家庭等)の拡大と強固な財務基盤を生かした既存事業の拡大である。特に、電力小売りについては、地産地消型の事業モデルとして拡大余地が大きい。また、既存事業においても、後継者問題などに直面している業界の中で、強固な財務基盤と最新鋭設備などに優位性を持つ同社がM&Aや業務提携等によって事業規模の拡大を図る機会は十分にあるとみている。したがって、今後も電力小売りの進捗状況のほか、周辺領域(収集運搬事業など)への拡充を含めた既存事業拡大への取り組みに注目していきたい。
■Key Points
・2018年6月期は増収ながら減益となり、期初予想を下回る着地
・中国の廃プラ輸入規制の影響等を受けるが、電力小売りの伸びなどにより増収を確保
・2019年6月期は「建設系リサイクル事業」の回復と電力小売事業の拡大により増収増益を見込む
・今後もポテンシャルの大きな電力小売りと強固な財務基盤を活用した事業拡大により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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