Jエレベータ 石田克史会長インタビュー

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最新投稿日時:2018/06/27 18:00 - 「Jエレベータ 石田克史会長インタビュー」(みんかぶ株式コラム)

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Jエレベータ 石田克史会長インタビュー

メーカー系から市場奪取し高成長実現、「PRIME」導入が飛躍の契機に

石田克史氏
ジャパンエレベーターサービスホールディングス 代表取締役会長兼社長CEO


 
 昨年3月に東証マザーズ市場に上場したジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> は、エレベーターの保守・保全・リニューアル業務において安価で高品質なサービスを提供することで急成長を続けている。上場後の株価は堅調に推移し、業績も最高益基調にある同社の石田克史代表取締役会長兼社長CEOに事業内容と今後の見通しを聞いた。

――JESの事業内容を教えてください

石田 エレベーターの保守・保全・リニューアル事業を手掛けています。現在のエレベーター保守業界は、日立製作所や東芝、三菱電機といったメーカー系メンテナンス会社が80%、独立系が20%程度のシェアを占めています。この独立系のなかで当社のシェアは25%程度とトップです。

 会社を設立したのは1994年です。当時の日本のエレベーター保守業界は、メーカー系が95%程度のシェアを持ち、独立系は5%前後の状況でした。会社を設立したのは、純正部品を使ってエレベーターの修理とメンテナンスを行うことを考えたからです。当社は創業以来、増収を続けていますが、なかでも飛躍のきっかけになったのは、2007年にリモート遠隔点検システム「PRIME」をリリースしたことです。PRIMEは自動診断運転により異常の予知、故障の原因把握、遠隔操作によるメンテナンスを実現したものです。これにより、点検時の停止時間の短縮や迅速な緊急対応を可能にしました。このリモートメンテナンスができるのはメーカー系を除けば、現在も独立系では当社だけです。

――そもそも日本のエレベーター保守業界で、独立系はどんな位置にいるのでしょうか

石田 日本では約100万台のエレベーターが稼働しています。このうち大体、毎年2万7000台前後の新築エレベーターが導入されています。新築エレベーターの市場は、ほぼ横ばいの状態で、保守・保全はメーカー系が行っています。ただ、メーカーは、新築エレベーターの価格を安く請け負って納入しており、保守・保全などで儲ける戦略を取っています。このため、メーカー系の保守・保全料金には製造や開発コストが入っているのです。一方、独立系はこのコストがかからないため、築年数や使用頻度などにもよりますがメーカー系に比べ3~5割ほど安い料金を提示することが可能です。

 ビルオーナーは大体、新築から10年もたつとより安いサービスを求めてエレベーターの保守業務をメーカー系から切り替えることを考え始めます。そんななか、独立系でメーカー系と遜色のないサービスを提供することができる当社に受注が集まってきているのです。

――毎年どの程度の数の契約がメーカー系から独立系に移っているのですか

石田 去年1年間でエレベーターの保守業務では、5千数百台がメーカー系から独立系に移ったといわれています。そのうち約4600台は当社が獲得したものです。その前の年は、約3800台でした。近年、独立系のシェアは拡大していますが、これは当社が開拓した部分が大きいと言えると思います。

――11年3月の東日本大震災の際は、どう対応したのですか

石田 震災当日は関東地区でも100%近くのエレベーターが止まり、電話は鳴りっぱなしの状態でした。当社が担当しているエレベーターでも、当日は100人近くの閉じ込めが発生しました。閉じ込められた方々は、一定の時間内に救出できたのですが、止まってしまったエレベーターを復旧するため3日3晩、徹夜出勤して対応しました。特に、我々も認知していないところで誰かが閉じ込められていないかを確かめるために、ローラー作戦でエンジニアが出向いて一台一台のエレベーターを確認して回りました。当社は「何よりも安全の為に」を社是としています。震災を経て当社に対する信頼感は高まったと思います。

――足もとの契約件数や業績動向はいかがですか

石田 18年3月期のメンテナンス契約数は4万3400台(前々期比約12%増)と順調に伸びています。契約数の拡大には、上場効果があると思います。17年3月に独立系で初の上場企業となったことで信頼性が向上し、大手の百貨店やスーパーなど日本を代表する企業との契約が増えています。今期業績は増収増益による最高益を見込んでいますが、これは達成可能な数字であり、この予想をどれだけ上乗せすることができるかは、今後の営業次第だと思います。

――最後に今後の成長戦略を教えてください

石田 まず、第1に国内の進出地域の拡大によるシェアアップが挙げられます。昨年は関西地区に進出しました。ビルメンテナンス会社からは、以前から「関西にも早く出てきてください」と要請されていましたが、ようやく進出できました。関西地区はいい感じで契約が増えています。6月18日に発生した大阪地区での地震にも即座に対応し、大きな混乱はありませんでした。第2には、エレベーターのリニューアル業務の拡大を推進します。エレベーターは新築から25年程度たつと部品の供給が止まり、直すことができなくなってしまい、リニューアルする必要が出てきます。バブル期に建てたビルのエレベーターがちょうどリニューアル期に入っていることもあり、今後の需要増が見込めます。

 さらに、第3には海外市場の開拓を進めます。16年にはインド市場に進出しました。インドでは年間7~10万件前後と日本の3~5倍の規模で新築エレベーターが増えています。インドでは、当社は保守・保全・リニューアルに加え日本国内では行っていない新築も手掛けています。現在500台程度のメンテナンスを行っていますが、日本の高品質のサービスを取り入れたうえで、良い新築製品も納入していることがインド市場でも評価されています。現在は首都のデリーのみですが、先行きはムンバイなどの都市にも展開していきたいと考えています。

(聞き手・岡里英幸)

◇石田克史(いしだ・かつし)
1966年生まれ。85年、エス・イー・シーエレベーターに入社。91年育英管財入社。92年ペムス入社。94年、ジャパンエレベーターサービスを設立し、代表取締役社長。2015年、代表取締役会長、同年5月に代表取締役会長兼社長。17年6月に代表取締役会長兼社長CEOに就任。

◇ジャパンエレベーターサービスホールディングス
https://www.jes24.co.jp/

配信元: みんかぶ株式コラム

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