【予知】
“予知”と聞くと、非科学的で一種のオカルト的なイメージを抱く人が多いのではないだろうか。
それは、「1999年に恐怖の大王による人類滅亡」と解釈されたノストラダムス大予言やテレビドラマや漫画の影響に依拠する。
しかし、大辞林には、下記のように記述されれている。
『予知』
1.物事が起こる前にそれを知ること。 「火山の爆発を-する」 「地震の-」
2.超心理学の用語。超感覚的知覚の一。現在の科学では予測不能な未来の出来事を正しく知ること。また、その能力。(参照元:大辞林第三版)
オカルト的な要素もある一方で、東日本大地震以降、地震の“予知”の研究は耳にするようになり、昨今の箱根(大涌谷)における火山性の地震の増加から、噴火の“予知”の話を目にするようになった。
つまり、真正面から真摯に“予知”を行う人はいる。
【予知の目的】
なぜ、地震や火山の“予知”を研究する人がいるのだろうか?
なぜ、日本は、地震や火山の“予知”の研究に、数百億円から数千億円もの予算を投じているのだろうか?
至極当然ですが、事前に噴火や地震を高い確率で予知できれば、多くの人命を救うことができるからだ。
しかし、ここで疑問が湧く。
いつぐらいまでに予知をすべきだろうか?
気象庁によると、東海地震に関して言えば、「時期的にいつ起きてもおかしくない状況にあることが分かっている」と明言しているが、地震が発生する直前(長くても数日程度)に
行われる予知(直前予知)は、まだ実用段階にないとされている。
つまり、「東海地震は起こるが、時期は分かりません」と言っているのである。
この予知には、価値がない。
【企業倒産の予知】
前段が長くなったが、企業審査の世界においては、業務として、倒産の予知が行われている。
当然だが、事前に取引先の倒産を高い確率で予知できれば、自社の債権保全が可能である。
決算書を見ながら、こんな会話が日常的に行われている。
ベテランA氏
「A社の売上高は伸びているが、貸借対照表の現預金は増えてないぞ。」
新人B氏
「架空売上?それとも、債権が不良化しているのでしょうか?」
べたランA氏
「うちの取引額はどれくらいだ?最悪の事態を想定しておいた方がいいな。」
【倒産予知の時期】
「3日前にA社が倒産する」と分かったとしても、債権回収の望みは薄い。
例えば、江守グループホールディングス株式会社(元東証2部上場)は、2015年2月に「中国子会社において売掛債権が未回収の懸念」のニュースが流れた。
この時点で、「江守グループホールディングスは倒産する!」と“予知”されたとしても、
事後評価であり、情報の価値としては、ゼロである。
(江守グループホールディングス株式会社は、2015年4月30日に民事再生法を申請。)
【破綻の3ケ月以上前に予知】
倒産企業のほとんどは最後の決算月から、約1年前後に倒産するケースが多い。
これは考えれば至極当然であり、「決算書を作成して納税を終えてから倒産」ではなく、
「決算書を作成できずに税金を支払うことなく倒産」するのが自然である。
したがって、債権保全活動や詐害行為と指摘されないことを考慮すると、倒産の半年前、つまり決算書を入手後、3ヶ月以内に倒産予知を行うのがベストである。
通常、多くの企業では、年に1回、取引先を網羅的に審査して、格付を見直し、個別企業に対する対応方針を決める。
さらに、最新の決算書を入手した場合は、その格付を個別に見直す運用がなされている。
業務の観点から考えると、決算書を入手したタイミングで、格付の見直し、つまり倒産予知を行うべきである。
【倒産予知は勇気と信念】
倒産予知は勇気のいる行為である。
審査担当者の予知に対して、営業部や経営幹部から、批判が起こることは日常茶飯事である。
しかし、そこは科学的アプローチと自らの経験を踏まえた信念に基づき、意見を曲げるべきではない。
弊社のアラーム管理システムも「倒産予知システム」として知られている。
過去、テレビや本で、上場企業を名指しで倒産予知して、クレームを頂いたことがある。
ただ、弊社は、その都度、分析を解説して、相手に理解してもらうように努めた。
◆ 伊藤祥司のテレビ出演映像(Youtube) ◆
1991年 テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」に出演
https://goo.gl/o2FMhQ
企業審査は、信念に基づいた“予知”である。
審査担当者は、「風評等は出ていないが、決算書の数値から見ると、この会社は何か変だ」と察知し、「1年以内に倒産する可能性がある」と予知しなければならない。
間違っても、評論家的な事後評価や信用調査会社の情報や評点を根拠として、「あの会社は倒産する」と言ってはいけない。
それは予知ではなく、伝聞であり、情報の価値としては、ゼロである。
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倒産予知ロジックも変わります。
ベストセラー『取引先アラーム管理』の著者である伊藤祥司が、
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参加のお申し込みは下記URLをご参照ください。
http://alox.jp/info/ver25-desc/
※ 参照資料
・気象庁『東海地震の予知について』
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tokai/tokai_eq4.html
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