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最新投稿日時:2015/03/16 13:17 - 「あなたは、宇宙人を信じるか?」(みんかぶ株式コラム)

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あなたは、宇宙人を信じるか?

著者:矢口 新
投稿:2015/03/16 13:17

クリミアの住民投票

クリミアを訪問した鳩山由紀夫元首相がぶっ飛んでいる。私が報道などで見た限り、政府や自民党だけでなく、民主党までもが同氏を非難しており、まるで国をあげての「非国民」扱いだ。実弟の鳩山邦夫氏は「兄は宇宙人」だとした。

鳩山由紀夫氏は余りに多くのことを語っているので、いちいち取り上げて、賛同や反論することができないでいる。とはいえ、同氏はクリミア訪問の目的を、同地の状況を自分の目で確かめることだとしているので、それに関して問題視するのは如何なものだろうか。

断っておくが、私はプーチン支持者ではない。私は言論統制を受け付けない性質なのだが、共産主義や社会主義の国こそが最も徹底的に言論統制を行ってきたからだ。

日本は直接にはウクライナ問題での被害者ではない。むしろ、この問題が起きるまでは、ロシアとの経済的な交流を深め、北方領土問題解決の糸口を探れるかと期待していたはずだ。ロシアの安価な天然ガスや、将来の北極海路の開発も十分に魅力的だった。

それが米国主導の経済制裁に加わって、ロシア相手に一方的に喧嘩を売ろうとしている。その制裁の原因であるクリミアの状況を、日本政府は自分の目で確かめたいとは思わないのだろうか? 米国は同盟国なので、同盟国の命令には、情報の正否に関わらず従うのが当然なのだろうか?

スコットランドは連合王国からの離脱をめぐって住民投票を行った。クリミアでもロシアへの編入をめぐって住民投票を行った。スコットランドで許されたことが、クリミアでは許されないことの方が問題だといえるのに、欧米政府はウクライナ憲法違反で、はなから無効だとし、住民投票の監視団さえ送らなかった。しかし、欧州各国の少数政党は右翼・左翼合同の監視団を送り、完全に合法かつ自由な投票で、住民の90%以上がロシアへの帰属に賛成したと公表した。

クリミア住民の大半はロシア人だ。居住のコサックや比較的少数のウクライナ人たちも、ほとんどすべての面でウクライナより安定しているロシアを選んでも不思議ではない。また、クリミアはもともとロシア領なので、クリミアには先祖代々からのウクライナに愛着がある人々もいない。そういったクリミアの住民たちが、歴史のいたずらで無理矢理にウクライナ国籍に縛り付けられることの方が、非人道的だとさえいえるかもしれない。

要はエネルギー問題か

プーチンをヒットラーに例えたヒラリー・クリントン氏や、日本政府の見解同様に、ロシアのプーチン大統領を極悪人だと思う人たちは、おそらく、イラクのフセイン元大統領をも極悪人だったと思っていることだろう。そして、圧政でイラク国民を不幸にしただけでなく、密かに大量破壊兵器を作成し、未だに見つからないほど巧妙に隠したと思っているに違いない。だとすれば、フセイン大統領から解放されたイラク国民は、今さぞ幸せになっていることだろう。

そう信じている人たちでも、中東問題は実は石油をめぐるエネルギー問題だとの「陰謀説」を聞いたことがあるかと思う。

「欧州委員会は2月25日、域内のエネルギー安全保障の強化に向けた取り組みを示す『エネルギー同盟』の戦略案を発表した。ウクライナ問題をめぐって対立しているロシアからの天然ガスや原油の輸入依存を低下させることが主な狙い。

EUのエネルギー自給率は50%弱で、輸入額は年間で約4000億ユーロに及ぶ。特に天然ガスではバルト3国や東欧などの6カ国はロシアからの輸入に100%依存している。EUはウクライナで親欧米政権への支援を強化し、エネルギー面で脱ロシアが急務との意見が強まっている。現在交渉中の米国との自由貿易協定などを通じて、米国からシェールガスを輸入することも期待している。」
参照:EU、エネ戦略で脱ロシア ガス輸入先を多様化
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H6W_V20C15A2FF2000/

ウクライナ問題もまた、実はエネルギー問題だとの「陰謀説」が可能だ。欧州の大エネルギー市場を、米国はロシアから奪いたいのだと考えることができる。だからこそ、ロシアとの共同事業を持つエクソンモービル社が、当初は制裁に反対しながらも、後には従ったのだ。

最近になって、私は以下の記事を目にした。大変な「陰謀説」を唱えているのだが、私のこれまでの見方を補強してくれることになった。

参照:【外国人大臣】アメリカと国際金融資本に乗っ取られたウクライナ
http://www.mag2.com/p/news/8277
参照:ロシア暗殺事件で囁かれる米国ウォール街と軍産複合体の関与
http://www.mag2.com/p/news/8913

大本営発表だけが真実ではない

我々先進国の金融市場では、戦争や内乱は地政学的リスクと呼ばれ、為替や株価などの不安定要素とされている。一方で、当事国、当事者にとっては、第一次大戦、第二次大戦の頃と何ら変わらない破壊と殺戮とが行われている。その意味では人類の学習能力はゼロだ。

また、地政学的リスクにおける各国政府の発表は、これも昔と同じ、大本営発表と何ら変わらない。もっとも、昔と違って各国のメディアが身近になり、ウィキリークスやスノーデン氏などの暴露もあるので、多くの情報を地道に追いかけていると、「敵国」の見方も分かり、実際の出来事の輪郭がおぼろげながらも掴めるようになってきた。

それで、旧ソ連時代のクリミアしか訪れたことがない私などでも、先の「陰謀説」をむしろ事実に近いと思えるだけの判断ができるのだ。

参照:ウクライナ緊迫に思う
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11785996847.html
参照:クリミアが投げかける少数民族問題
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11797941224.html
参照:ウクライナ情勢のラベルに注意
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11854550414.html
参照:欧州民族主義の台頭
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11928441854.html
参照:Q&A、ウクライナ問題を心配しています
http://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/ukraine-problem/

鳩山由紀夫元首相の行為が、国益に反するという気持ちは分かる。皆が同じ方向を向いている時に、他所を向く人がいると迷惑なのは分かる。「永遠のゼロ」ではないが、皆が死にに行くときに、死にたくないという人がいると全体の士気に影響するのも分かる。それでは聞くが、そう言う人は「何が国益か」を答えられるのか? 皆が同じ方向を向くことの危うさはどうなのか?

クリミアの住民投票に関して、鳩山由紀夫元首相は欧州右翼・左翼少数政党合同の監視団と同じ見解を発表した。私が接しているのは日英文メディアだけだが、同様の見解となる。つまり私は、欧米政府と日本政府の見解は大本営発表だと判断している。今の政府、政治家やメディアも、戦争中のそれとほとんど変わらないのではないか。

人類の学習能力はゼロだ。感受性が高いこと、真実を知りたいという欲求が強いこと、人の話を真に受けないことが罪となる国にはして貰いたくないものだ。

配信元: みんかぶ株式コラム

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