2015年3月2日時点での主要市場見通し

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最新投稿日時:2015/03/03 13:29 - 「2015年3月2日時点での主要市場見通し」(みんかぶ株式コラム)

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2015年3月2日時点での主要市場見通し

著者:馬渕 治好
投稿:2015/03/03 13:29

2015年3月2日時点での主要市場見通し

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基本シナリオと見通し数値について

世界経済等の投資環境、およびそれを踏まえた市場展望の大枠について、当方の見解に変更はない。世界経済の緩やかな回復基調に、大きな変調は表れていない。米国の経済指標に、一部回復一服感が出ているが、悪天候の影響が大きいと推察される。欧州景気は低迷しているものの後退はしていない。ただしロシア経済悪化の波及は注視する必要がある。中国は景気減速の過程にあるが、一部で懸念されるような恐慌化は想定しがたい。日本も、ようやく景気や企業収益の先行きに明るさが増してきた。こうした経済環境のなかで、概ね世界的な株高、長期金利上昇、外貨高・円安を見込む考えは変わらない。

一方、リスク要因としては、ギリシャ財政問題、ウクライナ情勢、低迷する原油価格による産油国経済の悪化などについて、実態面ではほとんど明るい進展はないが、著しい事態の悪化(ギリシャへの支援打ち切り、ウクライナ国内での戦闘激化、原油価格のさらなる大幅下落など)もないため、市場の材料としては沈静化している。それでも、年央辺りと考えている米長期金利の勝手な跳ね上がりについては、以前リスク要因として頭の隅に置いておくべきだと考える。

具体的な予想レンジの修正については、国内長期金利、ユーロ、豪ドルが、底入れはしたものの、その後の反発力が鈍いため、2015年6月までの予想レンジの上限と、2015年12月までの予想レンジの下限を、共に引き下げる(年末に向けてのトレンドは修正しないが、年央の少し先の時期までの見通しを下方修正したというニュアンス)。他に修正はない。

すなわち、2015年6月までの予想レンジを、前号(2月号)から次のように修正した(下線太字部は変更箇所)。
日経平均株価(円) 16500~21000 ⇒ 変更なし
10年国債利回り(%) 0.25~1.5 ⇒ 0.25~1.0
米ドル(対円) 105~122 ⇒ 変更なし
ユーロ(対円) 127~150 ⇒ 127~145
豪ドル(対円) 88~120 ⇒ 88~115

2015年12月までの予想レンジについては、前号(2月号)から次のように修正した(下線太字部は変更箇所)。
日経平均株価(円) 16500~21000 ⇒ 変更なし
10年国債利回り(%) 0.6~1.7 ⇒ 0.5~1.7
米ドル(対円) 105~125 ⇒ 変更なし
ユーロ(対円) 140~160 ⇒ 135~160
豪ドル(対円) 100~120 ⇒ 95~120

シナリオの背景

・今のところ、世界経済の緩やかな回復基調には、大きな変調は見出しにくい。
・ただし米国の主要な経済指標については、昨年12月分と今年1月分の諸統計に、一服ないし反落の様相が表れている(図表1)。1月までの雇用等の状況は引き続き堅調であるため、この経済指標の軟調さは、何か米国経済に大きな変化が生じ始めているというより、今冬の低温や降雪の多さなど、天候要因が悪影響を及ぼしていると推察できる。

(図表1)
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・その推察が正しければ、2月も米国では厳冬が続いているため、2月分の経済指標でも、経済活動の停滞が表れる可能性がある(図表1において点線楕円印で示している、一年前の冬季の状況が再現されるか)。それが厳冬の影響であるということは周知であろうから、米株価や米ドル相場がそれで大きく下落することにはなるまいが、心理的に買いづらい空気は広がりうるし、利食いの口実にされることはあるだろう。足元はたびたび、米国株価や米ドル相場が小反落ないし膠着する度合いを強め、上値が重くなる展開が予想される。
・ただし米経済の回復基調に変わりがないことから、厳冬の影響がはげる3月分の統計以降は、データは力強さを取り戻すものと見込めるだろう。4月から、再度米国株や米ドルが上値をうかがう展開になっても不思議はない。

・日本の企業収益と株価については、前月号の当レポートで、「原油安、円安がフルに企業収益に寄与するのは今年1月以降であると考えられる(為替先物によるヘッジなどのため)ので、先行きの企業収益に対する期待はさらに高まりうる。国内株式相場の焦点は、海外要因から国内企業増益へと移っていくだろう」と述べた。その通りに、国内株価は、海外要因(米国株価や円相場)との相関度合いを一時大きく低下させ(図表2、図表3)(※1)、独自に企業業績の回復期待に沿った堅調地合いを強めた。

※1 直近にかけて、相関係数は上昇しているが、それほど高位とも言い難い。


(図表2)
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(図表3)
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・国内株価が業績相場の色合いを強めているという見立てが正しければ、4月下旬から5月上旬にかけて、企業決算の発表が行われるまでは、基調として株価の堅調地合いが続くものと考えられるだろう。

・その後も、年末にかけては、内外景気の回復に沿った、世界株価の上昇、主要国の長期金利上昇、外貨高・円安傾向を予想するが、その一方で、年央辺りに世界市場が大きな波乱に見舞われる、というリスクも引き続き想定している。
・そうした波乱を予想する最大の要因も、これまでと変わらず、米国長期金利が、連銀の利上げ観測をきっかけとして、過度に急速に跳ね上がるという懸念である。現在の米国長期債券が買われ過ぎの状態にあるだけに、ひとたび価格調整(利回り上昇)が始まれば、速過ぎて大幅過ぎる債券価格下落となる恐れがある。米長期金利の跳ね上がりは、米国株価や米ドル相場をも巻き込み、米国のトリプル安(株安、債券価格安、米ドル安)に陥る展開となるだろう。そうした波乱が起こりうるタイミングとしては、早くて6月に連銀が利上げを行なうとのシナリオを織り込み始める、5月頃と考えている。
・加えて、ギリシャ財政問題も気になるところだ。ギリシャはEUとの間で、6月末までの資金繰り支援策延長で合意にこぎつけたが、6月末以降の情勢は予断を許さない。おそらく、ずるずると両者が先延ばしを続けるものと予想するが、6月末が迫る時点で、懸念が膨らむ展開はありうる。すなわち5~6月に、世界市場がギリシャ財政懸念を再び取り上げることがあるだろう。
・このように、欧米で5月辺りに波乱要因が台頭することに加え、日本では、前述のように5月上旬までの企業決算を株式市場が好感した後、「好材料のガス欠」に見舞われる恐れがある。
・こうした諸要因を重ねてみると、今年を通じては明るい市場動向が展望できるものの、年央の波乱には備える必要があると考えられる。


・なお、日経平均株価と米ドル円相場について、これまで述べた諸点を踏まえ、相場動向のイメージを図にしてみた(図表4は日経平均株価、図表5は米ドル円相場)。両図中の破線は、実体価値が指し示す、株価や円相場の「適正水準」が、ゆっくり株高・円安に向かう様子を示している。その周りを実際の市場価格が上下に振れながら推移し、特に年央の波乱が大きいと考えられることを図示した。
・この図は、今年1月から1年間の推移をイメージした図なので、現在位置は左端からやや右に動いたところだとお考えいただきたい。

(図表4)日経平均株価の本年内の推移(イメージ図)
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(図表5)米ドル円相場の本年内の推移(イメージ図)
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以上、シナリオの背景。

このあと、前月号(2015年2月号)見通しのレビュー。

前月号見通し(2015/2/2時点)のレビュー

日経平均株価
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・2月の日経平均は、海外株価や円相場とはほぼ無関係に、国内企業収益の改善期待に支えられた上昇基調を持続した。こうした強気の地合いは、5月上旬頃まで続こう。ただしその後は、波乱に見舞われる展開を懸念している。

②国内長期金利
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・国内長期金利は予想レンジ下限で下げ止まり、一時はやや反発を見せたが、上昇力に乏しい。このため6月末までの予想レンジ上限を引き下げることとする。

③外国為替相場
re3

・米ドルは予想レンジ上限近くで推移しているが、一方で上値の重さも鮮明になってきている。しばらく横ばいに近い推移を続けた後、年央前に下振れが懸念される。
・ユーロ、豪ドルは、先月号で引き下げた予想レンジ下限を割り込むことなく、下げ止まった。しかし大きく反発する様相は乏しく、6月末までの予想レンジ上限を下方修正する。

(以上)

配信元: みんかぶ株式コラム

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