政治の一極化と企業の二極化

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最新投稿日時:2014/12/30 10:57 - 「政治の一極化と企業の二極化」(みんかぶ株式コラム)

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政治の一極化と企業の二極化

著者:舞妓さん
投稿:2014/12/30 10:57

 2014年12月14日、安倍政権発足から丸二年で衆議院の解散総選挙が行われました。今回の選挙は投票前から「何のために解散するのかがわからない」というような声も聞かれるなど、盛り上がりに欠けた選挙戦となりました。

 結果として投票率は52.7%と過去最低を更新し、有権者の関心が低かったことが確認されることとなりました。選挙結果としても与党が解散前の議席をほぼ維持しましたので、やってもやらなくてもよかったのではないか、という意見が出ることもうなずけます。

 ただ、今回の選挙で勝利したことで安倍政権には向こう4年間の時間が与えられるようになりましたので、政策を実行しやすくなるという点では大きな意味があったのかもしれません。

 図表1は過去の内閣総理大臣の交代時期と日経平均の値動きを表したグラフです。これを見ると、1982年~87年の中曽根内閣時代と2001年~06年の小泉内閣時代は、政権が長期政権で株価も上昇しています。

 政権が安定したので株価が上昇したのか、株価の上昇が政権を長期化させたのか、どちらが原因でどちらが結果かを検証するのは難しいですが、実際はおそらく両方とも真で、「政治の安定」と「経済の安定」が相互にプラスの影響を与えてよい結果を生み出したのだろうと考えられます。

(図表1)日経平均株価と内閣交代のタイミング
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 安倍政権は今のところまずまず順調に運営されていると言えるでしょう。消費税増税後の景気減速などの問題はあるものの、2007年~12年頃に比べると政治も経済も安定感が高まっており長期政権となる可能性が高いと見られます。長期政権となれば、過去の例に見られるように、株価も長期にわたり上昇することが期待できます。

 では安倍政権はいつまで続く可能性があるのでしょうか。

 今後のスケジュールを見ると図表2のようになっています。次の衆議院選挙は解散がなければ2018年12月です。それまでの大きな山場は2015年9月の自民党総裁選挙と2016年7月の参議院選挙です。自民党総裁は任期3年で2期続けられますので、おそらく安倍総理は次回も出馬するでしょう。

 そこで再選することになれば、2018年後半に訪れる自民党総裁の任期と衆議院の任期の両方をほぼ全うする形で総理大臣の職を勤め上げることができます。もちろん、景気悪化や閣僚のスキャンダルなどにより政権支持率が低下すれば話しは別ですが、今の状況を元に考えれば、向こう4年間の政権継続を予想できるような安定した体制にあるでしょう。

(図表2)選挙スケジュール
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出所:各種資料よりスパークス・アセット・マネジメント作成


 では安倍政権が長期安定するとして、どのような経済政策がなされていくのでしょうか。最も力を入れていると見られるのが企業の「稼ぐ力」を強化するという点です。図表3は安倍政権が2014年6月に発表した成長戦略で掲げられている改革項目のリストですが、これを見ると企業に関連した項目が多いことが見て取れます。特に企業が事業を行いやすい環境作りが目立ちますが、同時に従業員の働き方を変えていくことなども掲げられています。実際に政府は12月の解散総選挙直後から法人税引き下げと、賃上げに向けて関係者との合意形成に動き始めています。この動きを一つのものとして見ると、企業に対して「法人税負担が軽くなる分を従業員に給料として渡してください」というメッセージに見えます。もし、この要求に企業がきちんと応えれば従業員(=消費者)の購買力が増し、それが消費に回れば経済活動が活発になる可能性が出てきます。消費が持続的に拡大すれば長期間続いたデフレから脱却し、いよいよ正常なインフレへの流れが形成されることが期待されます。

(図表3)安倍政権が掲げる「10の改革」
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 このような展開で景気が回復すれば株式市場全体に追い風となりますが、全ての銘柄が上昇するわけではないため、個別銘柄に投資をする際にはきちんと選別したいものです。

 特に注意したい点は価格戦略です。インフレが定着すると価格を引き上げる力がある企業が利益を大きく伸ばせる一方で、価格を引き上げられない企業はコストのみが上昇して利益が減少するリスクがあります。企業の二極化が進展する可能性があるため、個別企業の価格戦略が一層重要になってくると予想されます。

 消費者の満足度を高めながら商品やサービスの価格帯を上げられる企業は今まで以上に飛躍する可能性があるため、身近な例からこのような企業を探してみて投資候補とするのも良いかもしれません。

※当コラムは執筆者の見解が含まれている場合があり、スパークス・アセット・マネジメント株式会社の見解と異なることがあります。

配信元: みんかぶ株式コラム

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