「コジテク(小次郎講師の使えるテクニカル分析講座)実践編」第56回、そして第2部第10回!
□皆さん、こんにちは、小次郎講師です。
■助手のムサシです。よろしくお願いします。
□今日はボリンジャーバンドの4回目、前回、標準偏差について徹底的にお話した。今回はボリンジャーバンドの話に移る。
■よかった。ボリンジャーバンドの解説で、ボリンジャーバンドの話が出てこない回があるとはびっくりです。今回は間違いなくボリンジャーバンドの話なんですね。
□ボリンジャーバンドの話だけど、・・・「バンドワイズチャート」と「%bチャート」の説明。
■また寄り道ですか!?読者はボリンジャーバンドの話を待っているんです!早くボリンジャーバンドの話をしてください!
□それがボリンジャーバンドの話に結びつく。
■ほんとでしょうね。それはおいといて、まずは11月の末から12月にかけての講師関連セミナー予定!大阪の方、また大阪でセミナーがありますよ。
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□12月のセミナーはこのプレミアムセミナー1本。今年大小合わせて100本以上の講演をやってきたが、集大成としての講演ということで、1日で2本分のセミナーを行う。ひとつは「タートルズトレードの極意」、もうひとつは「一目均衡表入門編」、どちらも私のセミナーの中で一番人気の組みあわせ。年末スペシャルということで、豪華特典もいっぱい用意した。ふるってご参加を。
■3時間の講義と懇親会。クリスマスには少し早いですが、ディナーショーのような豪華さですね。
1、ボリンジャーバンドのポイント
□さて、本題。ボリンジャーバンドの解説を始めた第1回目に次のような話をした。覚えているかな?
【ボリンジャーバンドのポイント】
ボリンジャーバンドは移動平均線とストキャスティクスを組みあわせて、それを進化させるためにボラティリティという視点を組み込んだテクニカル指標。
■覚えています。でもボリンジャーバンドとストキャスは似ても似つかないですよね。この二つが関係あるなんて信じられない。
□まあ、チャートを見るとそんな感じがするのはよくわかる。ひとつひとつ順を追って説明していこう。実は海外でボリンジャーバンドを本格的に使っている人は「バンドワイズチャート」「%bチャート」というチャートをセットとして使っている。
■バンドワイズチャート、%bチャートですか?今日初めて聞きました。ボリンジャーバンドとその二つのチャートをセットで使うんですか?そんなチャートが付いているチャートソフト、見たことないですよ。
□無いことはないのだが、正直少ない。だが、この3つでワンセットという考え方を学ぶとボリンジャーバンドの理解度が一気に上がる。ボリンジャーバンドの愛好者はこのバンドワイズチャート、%bチャートを自分で手書きしているくらいだ。まずはこの二つのチャートを紹介する。これらはボリンジャーバンドの分析を助けるための補助のチャート。
■補助のチャートがあるんですね。
2、バンドワイズチャート
□まず、「バンドワイズ(Bandwidth)チャート」。バンドワイズとはバンド幅という意味。その名のとおりボリンジャーバンドのバンド幅を見るもの。
■バンド幅というのはボリンジャーバンドの5つの線の幅のことですね。つまり+2シグマと-2シグマの間隔。でも、バンドの幅なら、ボリンジャーバンドを見ているだけでわかりますけどね。
□そうかな?やはり別チャートにするとよりわかる。見てごらん。
■なるほど、こうやって折れ線グラフにするとどこの幅が一番広いとか、狭いとか、確かにわかりやすいですね。
□だろ?バンドワイズチャートの計算式は以下のとおり
【バンドワイズチャートの計算式】
Bandwidth=(バンド上限-バンド下限)÷ミッドバンド
■バンド上限というのは+2シグマのことですね。バンド下限というのは-2シグマのことですね?バンド幅というなら、「バンド上限-バンド下限」だけでいいと思いますが、何故ミッドバンドで割るんですか?
□たとえばバンド幅が100円あったとする。しかし、価格はどんどん変化する。価格が1000円の時のバンド幅100円と、価格が2000円の時のバンド幅100円と、同じ幅と言っていいかな?
■確かに、価格が上昇すればするほど、当然、価格のぶれも大きくなってきますからね。一緒の評価は出来ないですね。それでミッドバンドで割って、現在の平均価格に対して何%の幅になっているかという割合を計測するんですね。
□そのとおり。ボリンジャーバンドにおいては「スクイーズ」だの「ボージ」だのを発見することが大切だということは第1回目で話した。
■スクイーズはバンド幅が一番縮小している状態、ボージは一番広がっている状態でしたね。
スクイーズ・・・ある期間の中でバンド幅が一番縮小している状態。
ボージ・・・・・ある期間の中でバンド幅が一番拡大している状態。
□これがトレンド変化の印となる。詳しいことは後日説明するが、ボリンジャー分析で大事なバンドの幅の変化を正しく見極めるために用意されたサブチャートが「バンドワイズチャート」
■なるほど。
3、%bチャート
□続いて、「%bチャート」。
□%bチャートは現在の価格が過去20日の中で相対的にどれくらい高いか安いかを示したチャート。これはまず計算式を示した方がわかりやすい。
【%bチャートの計算式】
%b=(C-バンド下限)÷(バンド上限-バンド下限)
※Cは現在値
□どうだい、この計算式を見て何かを思い出さないか?
■なんでしょう?
□今まで勉強してきたテクニカル指標の計算式に似ているのだが・・・。
■そういえば、・・・。でも思い出せない。
□鈍いね。では式の意味を説明すればわかるかもしれない。この式は現在の価格がバンド幅の中で下から何%の位置にあるかを示したもの。
■あ、・・・わかりました。ストキャスティクスだ。
□ようやくわかったか。
■ストキャスティクスは過去一定期間の値動きを見て、その中の一番安値と一番高値でゾーンを作って、現在の価格が下から何%にあるかを示したものでした。
□そうだね。それを計算してストキャスは何を見ているんだった?
■現在の価格が過去一定期間の中で相対的にどれくらい高いか安いかを見る指標でした。あっ、これも%bチャートと一緒だ。
□ようやくボリンジャーバンドとストキャスがつながってきたね。ボリンジャーバンドがストキャスの進化形と理解した瞬間からボリンジャーバンドが正しく分析出来るようになる。ではまずストキャスの計算式とボリンジャーバンドの計算式を比較してみよう。
【ストキャスティクスの計算式】
%k=(C-Ln)÷(Hn-Ln)
※Cは現在値、Hnはn日間の最高値、Lnはn日間の最安値
【%bチャートの計算式】
%b=(C-バンド下限)÷(バンド上限-バンド下限)
※Cは現在値
■%bも現在の価格が相対的にどれくらい高いか安いかを示す数値だという話でしたが、既にストキャスがあるんですから、それをそのまま使えばいいんじゃないですか?
□ボリンジャー氏がストキャスを愛用していたという話は前にしたことがあるね。ボリンジャーさんはストキャスのことを「スイス軍の軍用ナイフくらい使える」と言っていた。この話も既にした。
4、%bは偏差値
■「スイス軍の軍用ナイフ」くらい使えるって・・・すごく使える感じですね。でもそれならストキャスで十分では。
□それでも改良が必用と感じたんだろうね。ではそこを説明しよう。たとえば、ある高校で実力テストをしたとする。
■突然話が変わりますね。
□まあいいから。たとえば、平均点が50点である生徒の点数が60点だとする。これはすごくいい成績かね?それともさほどでもないかね?
■うーん、平均点より上なのでまずまずですが、すごくいい成績かと言われると、所詮60点ですからね。
□でも60点がトップかもしれない。
■そういうことも考えられますね。平均点と比べるだけでは、どれくらいいいかはわかりません。
□だね。たとえばこのテストが100点から0点までまんべんなくばらついてたとしたら、60点というのはまあ中の上という程度、決していい点とまでは言えない。しかし、もし、このテストが40点から60点の間で分布していたら、60点というのはすごくいい成績になる。
■そうですね。
□ということはこの実力テストの各人の点数がどれくらいのばらつきがあったかがポイント。そのばらつきは標準偏差で求められる。
■あっ。
□そして、それに基づいて各人の点数を換算したものが「偏差値」。覚えているかい?大学受験のときなどによく使われていただろ。
■そうでしたそうでした。試験のたびに偏差値いくらって言われてました。確か、50が標準で70ならトップクラスだった。
□早稲田・慶応の中でも一番人気の学部が偏差値70くらい。70を越えてくるともう東大が狙えるクラス。偏差値60というとやや人気の大学、MARCHって聞いたことないか?明治・青山・立教・中央・法政、ここら辺が偏差値60くらい。
■偏差値にはあまりいい思い出がないです。でも、それとボリンジャーバンドとどういう関係が?
□たとえて言えば、ストキャスというのは、現在の価格の相対的高さを点数で表現したもの。そして%bは偏差値で表現したもの。
■なるほど。それで標準偏差の計算の仕方を前回、徹底的にやったんですね。読んでた読者が、テクニカル指標の解説というより高校の数学の授業みたいだったとあきれたというのが前回の感想です。
5、偏差値とボリンジャーバンド
□ま、気持ちはわかるが、それを乗り越えなければボリンジャーバンドはマスター出来ない。さて、今回は「偏差値」の話。今度は偏差値の計算の仕方を教えよう。
【偏差値の計算法】
1、ある数のデータを元に標準偏差を計算する。その標準偏差をシグマと呼ぶ。
2、そのデータの平均値を計算する。その平均値を偏差値50と設定。
3、平均値から標準偏差分上にあるデータが偏差値60、さらに標準偏差分上にあると偏差値70
逆に平均値から標準偏差分下にあるデータが偏差値40、さらに標準偏差分下にあると偏差値30
□つまり・・・
【偏差値とは】
偏差値70=平均点+2シグマ
偏差値60=平均点+1シグマ
偏差値50=平均点
偏差値40=平均点-1シグマ
偏差値30=平均点-2シグマ
□この偏差値の計算式を見ると何かを思い出さないか?
■何かって、ボリンジャーバンドそのものじゃないですか。
【ボリンジャーバンドは】
一番上の線=20日間の平均値+2シグマ
二番目の線=20日間の平均値+1シグマ
真ん中の線(ミッドバンド)=20日間の平均値
下から二番目の線=20日間の平均値-1シグマ
一番下の線=20日間の平均値-2シグマ
□そのとおり。ボリンジャーバンドの各線はそれぞれの偏差値を表わす。
バンド上限(一番上の線)=偏差値70
二番目の線=偏差値60
ミッドバンド=偏差値50
下から二番目の線=偏差値40
バンド下限(一番下の線)=偏差値30
□つまり、ストキャスは価格の相対的高安を点数で表し、ボリンジャーバンドは偏差値で表したということ。今度はよくわかっただろ?
ストキャスティクス・・・現在の価格の相対的高安を点数で示したもの
ボリンジャーバンド・・・現在の価格の相対的高安を偏差値で示したもの
■今まで長い間、ボリンジャーバンドを見てきましたけど、こんな考え方したのは初めてです。
□ボリンジャーバンドは3つの要素で出来ている。ひとつは移動平均線。これはミッドバンドが移動平均線そのもの。そして二つ目がバンド幅。これは20日間のボラティリティを示している。そして三番目がストキャス。現在の価格が過去20日の中で相対的にどれくらい高いかどれくらい安いかを示している。しかも偏差値でね。この3つを組みあわせて総合分析するのがボリンジャーバンド。
■なるほど。奥が深い。そしてこんな話を説明してくれるところはどこにもないです。
□どこにもない話が聞けるのがこの講座。ということで本日はここまでだ。
■ありがとうございました。次回が楽しみです。
□次回はその3つをひとつずつ徹底解説する。
今日のまとめ
・海外でボリンジャーバンドを本格的に使っている人は「バンドワイズチャート」「%bチャート」というチャートをセットとして使っている。
・「バンドワイズ(Bandwidth)チャート」。バンドワイズとはバンド幅という意味。その名のとおりボリンジャーバンドのバンド幅を見るもの。
・【バンドワイズチャートの計算式】
Bandwidth=(バンド上限-バンド下限)÷ミッドバンド
スクイーズ・・・ある期間の中でバンド幅が一番縮小している状態。
ボージ・・・・・ある期間の中でバンド幅が一番拡大している状態。
・%bチャートは現在の価格が過去20日の中で相対的にどれくらい高いか安いかを示したチャート。
【%bチャートの計算式】
%b=(C-バンド下限)÷(バンド上限-バンド下限)
※Cは現在値
【偏差値の計算法】
1、ある数のデータを元に標準偏差を計算する。その標準偏差をシグマと呼ぶ。
2、そのデータの平均値を計算する。その平均値を偏差値50と設定。
3、平均値から標準偏差分上にあるデータが偏差値60、さらに標準偏差分上にあると偏差値70
逆に平均値から標準偏差分下にあるデータが偏差値40、さらに標準偏差分下にあると偏差値30
【偏差値とは】
偏差値70=平均点+2シグマ
偏差値60=平均点+1シグマ
偏差値50=平均点
偏差値40=平均点-1シグマ
偏差値30=平均点-2シグマ
【ボリンジャーバンドは】
バンド上限(一番上の線)=偏差値70
二番目の線=偏差値60
ミッドバンド=偏差値50
下から二番目の線=偏差値40
バンド下限(一番下の線)=偏差値30
ストキャスティクス・・・現在の価格の相対的高安を点数で示したもの
ボリンジャーバンド・・・現在の価格の相対的高安を偏差値で示したもの
□第2部第10回講義終了。
■「起立、礼!」
□本日の講義をマスターしたなら、単位を2単位差し上げよう。
本日の単位数2 累計単位数20
中級テクニシャンまで後80単位!
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