「コジテク(小次郎講師の使えるテクニカル分析講座)実践編」第55回、そして第2部第9回!
□皆さん、こんにちは、小次郎講師です。
■助手のムサシです。よろしくお願いします。
□今日はボリンジャーバンドの3回目、・・・と言いながらボリンジャーバンドの話はしない。
■な、な、なんと。ボリンジャーバンドの解説でありながらボリンジャーバンドの話をしない。そんな馬鹿な。
□ま、その話は後で・・・。今回は私の連載の55回を記念して、特大版でお送りする。お楽しみに。
■狐につままれてますが・・・、特大版、ありがとうございます。・・・まずは11月の講師関連セミナー予定報告!
◆みんかぶSpecialセミナー 「目からウロコのチャート分析」
11/20(木)於:東京商品取引所
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□ラジオNIKKEIマーケットトレンドの私の10回コースが11月4日(火)に完結する。オンデマンドでいつでも聞けるし、テキストが無料ダウンロード出来るので、ダウンロードをお奨めする。
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■ボリンジャーバンドもありましたよね。
□さて、本日はボリンジャーバンドを理解するために絶対理解しなければいけない必須知識を勉強するぞ。
■必須知識!?
□ボリンジャーバンドを使いこなすには絶対に必要な知識なのに、この勉強をしている人は少ないという・・・ここでしか聞けない話。
■なんですか、なんですか?ここでしか聞けない話なら興味あります!
□あせるな、あせるな。ボリンジャーバンドは現在も活躍するテクニカルアナリスト、ジョン・ボリンジャー氏が考案したテクニカル指標。
■それはもう聞きました。
1、ボリンジャーバンドはストキャスの進化形!?】
□ボリンジャー氏が移動平均線とストキャスティクスを組みあわせて進化させたのがボリンジャーバンド。
■ちょっと待ってください。移動平均線とストキャスティクスを組みあわせたんですか?移動平均線はミッドバンドが移動平均線だからよくわかりますが、ストキャスティクスってのは意外ですね。
■ストキャスはオシレーター系の指標。ボリンジャーバンドはトレンド系。見た目も描かれる場所も全然違う。
□ところでボリンジャーさんはストキャスのことを「スイス軍の軍用ナイフのように使える」と言って愛用していた。もう、ストキャスフアンと言ってもいいくらい。
■スイス軍の軍用ナイフ?すごく使えそうな気はしますが、見たことない。
※スイス軍の軍用ナイフ
□これだよ。日本では十徳ナイフと言ったりするが、爪切りがあったりやすりがあったり、いろいろな道具が一つになっているナイフだ。
■なるほど。つまり、ストキャスはいろんな局面で役立つってことですね。それは凄い褒め言葉だ。でもそれとボリンジャーバンドの関係がわからない。
□それは今後のお楽しみということで。ただ、ストキャスの考え方を持ち込んだテクニカル指標だということは知っておいた方がいい。この講座のストキャスティクスの回をもう一度復習してからボリンジャーバンドの学習に入るといいぞ。
■すぐにもったいをつける。今後のお楽しみだらけじゃないですか。早く説明してくださいよ。
□わかったわかった。さて、ボリバンの計算式をもう一度確認しておこう。
■ボリバンてのはボリンジャーバンドのことですね。
□そうだ。
2、ボリバンを制するには標準偏差を制する
【ボリンジャーバンドの計算式】
・ミッドバンド=20日移動平均線
・プラス1シグマ=ミッドバンド+標準偏差
・プラス2シグマ=ミッドバンド+標準偏差×2
・マイナス1シグマ=ミッドバンド-標準偏差
・マイナス2シグマ=ミッドバンド-標準偏差×2
※標準偏差は20日間の終値の標準偏差
□この計算式を見てすぐわかることはボリバンは「20日移動平均線」と「標準偏差」で出来ているということ。
■それはすぐわかります。
□この移動平均線は単純移動平均線。
小次郎講師流テクニカル分析マスターへの5つのステップ、覚えてるな?
1、計算式を覚える。
2、計算式の意味を知る。
3、計算式からその指標が価格変動のどこに注目しているかを知る。
4、買いシグナル・売りシグナルを知る。
5、それが何故、買いシグナルなのか?何故売りシグナルなのか?計算式から意味を探る。
■耳にたこが出来ています。計算式の意味を理解するというのが小次郎講師流の特徴ですね。
□「小次郎講師流」なんてかっこをつけなくても、ほんとは誰が学ぶとしても、テクニカル指標をマスターするためには必須の項目なのに、日本では計算式の意味がわからなくてもその指標を使えると思っている輩が多い。残念な限り。
■「計算式は覚える必要がない」なんてわざわざ書いているホームページもありますからね。困ったもんだ。でもボリンジャーバンドはほんと難しいです。なにしろ標準偏差ですからね。
□それだよ。
■え?それってなんですか?
□「標準偏差」。ボリバンの各線は標準偏差で出来ている。つまりボリバンを制するためには標準偏差を制しなければいけない。
■あ、なるほど。
□ということで本日は・・・「標準偏差」を勉強する。
■標準偏差の勉強ですか?そこからやりますか?
□そこからやるのが小次郎講師流。ボリバンを本当にマスターしたいならば避けて通れないぞ。
■・・・確かに。
3、標準偏差とは?
□ということで・・・「標準偏差」。
標準偏差とは、データのばらつき度合いを表す数値。シグマと呼びσとかΣで表わされる。偏差値計算の元になる数値だ。
【標準偏差】
標準偏差とは、データのばらつき度合いを表す数値。シグマと呼びσとかΣで表わされる。偏差値計算の元になる数値。
■もう難しい。
□たとえばテストの平均点が50点で、ムサシ君の点数が30点だったとする。
■ひどい。もっといいたとえを。
□まあ、たとえだから。
同じ平均点が50点でも0点から100点までいろいろな点数の人がいて平均50点というのと、ほとんどの人が40点から60点の範囲で平均点が50点ということがある。
■ありますね。
□前者の場合、つまり0点から100点まで点がばらけているなら、ムサシ君の30点は「ちょっと悪い成績」というくらい。
■どうしてもそのたとえで進めるんですね。
□後者の場合、つまりほとんどの人が40点から60点の間にいるなら、ムサシ君の30点は「極めてひどい成績」ということになる。
■たとえは悪いですが、意味はわかります。
□ということで、ばらつきというのを計測するのはとても大事。それを示すのが標準偏差。その計算の仕方を知っているかという話。
■知らないです。そんなのほとんどの人が知らないですよ。
□中学か高校で習っているはずだが、覚えてないか?
■覚えてないです。
4、ボリバンの計算の仕方
□では標準偏差の計算の仕方から教えよう。
■すごいですね。ボリンジャーバンドの説明で標準偏差の計算の仕方まで教えてくれるサイトはどこにもないですよ。
□もっと褒めてもいいぞ。そこが小次郎講師流。
■ちょっと褒めると調子に乗るのが玉に瑕ですが。
□ゴホン。標準偏差の計算の仕方は次のとおり。
【標準偏差の計算法】
ステップ1.ある一定のデータの平均値を出す。
ステップ2.個々のデータと平均値の差を出す。
ステップ3.その差をそれぞれ二乗する。
ステップ4.二乗したものの平均値を取る。
ステップ5.その平均値の平方根がそのデータ群の標準偏差
□どうかなわかったかな?
■今までのテクニカル指標の計算式の中で一番難しいですね。
□そうかな。この標準偏差さえクリアすればボリバンが凄く簡単になるんだよ。
■そこのクリアが大変です。
□では例で説明しよう。10人の生徒が2回テストを行ったとする。両方とも平均点50点。各人の点数は以下のとおり。そこから10人の標準偏差を計算する方法を表にしたのがこれだ。
■平均点は同じなんですね。
□でもばらつきが違う。それを確認してみよう。
【標準偏差の計算法】
①で合計点を出す。
②でそれを10人で割って平均点を出す。(ステップ1)
③それぞれの点数と平均点の差を出す。(ステップ2)
④その差をそれぞれ2乗する。(ステップ3)
⑤その2乗した値を合計する。
⑥それを10人で割って平均値を出す。(ステップ4)
⑦それの平方根を計算したものが標準偏差。(ステップ5)
□どうだわかったか?
■さっぱり。平方根ってなんでしたっけ・
□ルートって聞いたことがあるだろ。「√」の記号で表わされるやつ。
■ありますあります。
□2乗するとその数値になるのはどんな数値?という計算だ。たとえばルート3って言うと、
1.7320508。「人並みにおごれや」って受験では覚える。
■懐かしい。
□1.7320508×1.7320508=3 、そういった数値を平方根という。
■なるほど、2乗してその数値になる値を平方根って言うんですね。
□そうだ。これで標準偏差がわかったかな?
■全然。その2乗したり平方根にしたりする意味がさっぱり。
□あちゃ。やはり計算式だけ教えても伝わらないな。何故、標準偏差の計算の仕方が生まれたかそこから解説しよう。「標準偏差」誕生秘話、はじまりはじまり。
■す、すごい。「標準偏差」の誕生から語りますか。
5、ボリバン誕生秘話
□では・・・わかりやすく説明してみよう。
データのばらつきを見ようと思ったら平均点と各データの差がどれくらいあるかを探ればわかるよな?これが大きいものが多ければばらつきが大きいし、これが小さいものばかりならばばらつきは小さい。
■そこまではOKです。
□データ全体のばらつきをみようと思ったら、プラス側に離れているものと、マイナス側に離れているものを合計して、平均値を取るってのが一般的発想だが、平均値を取るとこのケース、結局ゼロになる。
■それはそうですね。平均値を元に上下どれくらい離れているかを足していったらゼロになりますね。
□そこで次は絶対値で計算しようということになる。
■絶対値!?
□マイナスの数値もプラスで表示するのが絶対値。
■なるほど。
□こうやって平均点から各データまでの差を出し、それを平均したものを「平均偏差」という。これもばらつきを数値化する計算のひとつ
■なるほど、平均偏差ですか。これでいいじゃないですか、これでばらつきがわかれば2乗も平方根も使わなくて済む。
□ただ、平均偏差にも問題がある。下を見てごらん。ケースAとケースBと、どちらがばらつきが大きいと思う。
※ケースA
※ケースB
■それはケースAですね。上へ40、下へ40ばらついてますよね。ケースBは上も下も25しかばらついてない。
□だね。でも平均偏差で計算するとどちらも25で同じになる。
■ほんとだ。
□そういった問題をなくして正しくばらつきの大きさを測れるものをと工夫されたものが標準偏差。これが誕生秘話。さっきの標準偏差の計算法をもういちど見てごらん。ステップ④に各データと平均との差を2乗するというのがあるね。この2乗するというのは離れれば離れるほど、ポイントを高くしようと考えたことから生み出された。
■なるほど、通常の+2離れている状態と+4離れている状態では平均偏差では2倍でしかないですが、標準偏差の計算法の考え方にしたがって、+2を2乗、+4を2乗すると・・・4と16だから4倍の差となりますね。
□そこが重要。離れれば離れるほど、ポイントを高くすることによって、初めてばらつきということを評価出来るようになる。
■「離れれば離れるほどポイントを高くする」って計算法が2乗するってことなんですね。
□そういうこと。
で、それで計算した数値の平均値を出す。そして、先ほど2乗して計算したので今度は平方根で元に戻すというわけさ。
■相当難しいですけど、わかったような気がします。
6、実戦ボリバン計算
□読者の皆さんは、大丈夫かな?標準偏差の計算、このように、意味まで理解しようと思うとなかなか大変だが、とりあえずは先ほどの「標準偏差の計算法」で計算の仕方だけでも覚えてくれ。
さて、ボリンジャーバンドに合わせて20個のデータで標準偏差を実際に計算してみよう。
【下記データの標準偏差を計算せよ】
1日目4000円
2日目4050円
3日目4100円
4日目4150円
5日目4030円
6日目4000円
7日目3950円
8日目3900円
9日目3850円
10日目3880円
11日目3870円
12日目3740円
13日目3880円
14日目3890円
15日目4050円
16日目4130円
17日目4120円
18日目4060円
19日目4150円
20日目4200円
■む、難しい。まずは平均値でしたっけ?
□まずはステップ1、 20個のデータを足し、それを20で割って平均値を出す。上記データの合計は8000円ということは平均値は4000円。
■なるほど。
□続いてステップ2、平均値とそれぞれの差を出す。ステップ3、それをそれぞれ2乗する。
【ステップ2、3 平均値との差を計算し、2乗する】
1日目4000円 +0 0
2日目4050円 +50 2500
3日目4100円 +100 10000
4日目4150円 +150 22500
5日目4030円 +30 900
6日目4000円 +0 0
7日目3950円 -50 2500
8日目3900円 -100 10000
9日目3850円 -150 22500
10日目3880円 -120 14400
11日目3870円 -130 16900
12日目3740円 -260 67600
13日目3880円 -120 14400
14日目3890円 -110 12100
15日目4050円 +50 2500
16日目4130円 +130 16900
17日目4120円 +120 14400
18日目4060円 +60 3600
19日目4150円 +150 22500
20日目4200円 +200 40000
□ここまで大丈夫か?ついてきてるか?
■かろうじて。
□ステップ4、2乗したものを合計し、その平均値を出す。上記の合計が296200円。平均値は14810円。
ステップ5、その平方根を求める。14810円の平方根は121.7
■この平方根を求めるのが難しい。
□エクセルでは簡単。SQRT関数が平方根を求める関数。そして、その計算で出てきた数字「121.7」が標準偏差。
■ようやく標準偏差にたどり着きましたか。計算の仕方は分かってきましたが、いちいち計算するのがめんどくさい。
□エクセルを使えば簡単。実はエクセルには標準偏差を計算する関数もあってSTDEVP関数という。これを使えば、一発で標準偏差が計算出来る。
■あちゃ。それなら最初からそれを教えてくれれば。
□そういうわけにはいかない。標準偏差がどういうものか、どういう考えで成り立ち、どう計算して求めるかを正しく把握することがボリンジャーバンドの正しい理解につながる。
■恐ろしい講座ですね。ボリンジャーバンドの解説で標準偏差の解説をここまでやっているところみたことがないです。
□何度も言うが、それが小次郎講師流。
7、ミッドバンドが単純移動平均を使う理由!
□こうやって計算式がわかればいろいろなことがわかる。
■たとえば?
□ボリンジャーバンドのミッドバンドは20日移動平均線。これはEMA(指数平滑移動平均線)を使わずに、SMA(単純移動平均線)を使う。これに対して、何故EMAを使わないのかという質問がよく来る。
■海外では、移動平均線を使うとき、EMAがよく使われますからね。
□それに対する答えが、標準偏差を学ぶとよくわかる。
■え?そうなんですか?
□標準偏差の計算式のステップ①は20日のデータを合計して、その平均値を算出すること。この平均の仕方はEMAかい?
■あ、単純平均ですね。
□だろ?ボリンジャーバンドは、標準偏差を使って価格変動を分析する指標。その標準偏差が20日の単純移動平均を使うなら、ボリンジャーバンドのミッドバンドも20日単純移動平均を使わなければ整合性がとれない。
■なるほど。いままで、ボリンジャーバンドのミッドバンドが何故EMAでなく、SMA(単純移動平均線)なのかをここまできちんと解説してもらったことないです。
□そこが小次郎講師。
■それ、何回言いますか。自画自賛しなければもっと尊敬出きるのですが・・・。
□あちゃ。ということで、本日はここまで。本日はボリンジャーバンドからちょっと離れて標準偏差の解説をしてみた。
■次回はきちんとボリンジャーバンドの説明をお願いします。
□と思っているのだが、まだちょっと標準偏差から発生した偏差値のことなどを話したい。
■偏差値!?
□テストのときに偏差値いくらって言われただろ?
■言われました。
□ボリンジャーバンドは価格変動を偏差値で示したものとわかればいろいろなことが見えてくる。
■むむむ、まだまだ寄り道から本筋に戻らないんですかね。
□寄り道だと思っているところに、大事な本質が隠れている。そろそろムサシ君もそれに気がついてほしいぞ。
■偏差値でボリンジャーバンドを読み解く。考えてみます。
□それでは本日はここまでに。
■ありがとうございました。
今日のまとめ
・ボリンジャー氏が移動平均線とストキャスティクスを組みあわせて進化させたのがボリンジャーバンド。
・ボリバンは「20日移動平均線」と「標準偏差」で出来ているということ。移動平均線は単純移動平均線。
・「ボリバンの各線は標準偏差で出来ている。つまりボリバンを制するためには標準偏差を制しなければいけない。
・【標準偏差とは?】
標準偏差とは、データのばらつき度合いを表す数値。シグマと呼びσとかΣで表わされる。偏差値計算の元になる数値。
・【標準偏差の計算法】
ステップ1.ある一定のデータの平均値を出す。
ステップ2.個々のデータと平均値の差を出す。
ステップ3.その差をそれぞれ二乗する。
ステップ4.二乗したものの平均値を取る。
ステップ5.その平均値の平方根がそのデータ群の標準偏差
・この2乗するというのは離れれば離れるほど、ポイントを高くしようと考えたことから生み出された。離れれば離れるほど、ポイントを高くすることによって、初めてばらつきということを評価出来るようになる。
・エクセルではSQRT関数が平方根を求める関数。
・エクセルには標準偏差を計算する関数もあってSTDEVP関数という。これを使えば、一発で標準偏差が計算出来る。
・【ミッドバンドがEMAではなくてSMAな理由】
ボリンジャーバンドは、標準偏差を使って価格変動を分析する指標。その標準偏差が20日の単純移動平均を使うなら、ボリンジャーバンドのミッドバンドも20日単純移動平均を使わなければ整合性がとれない。
□第2部第9回講義終了。
■「起立、礼!」
□本日の講義をマスターしたなら、単位を2単位差し上げよう。
本日の単位数2
累計単位数18
中級テクニシャンまで後82単位!
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