リリーフ・ラリー一服後は下押しフローに?
以下、昨年秋からの米ドル/円の相場展開とその材料についておさらいしてみましょう。昨年11月上旬(下記チャートA)に始まった“トランプ・ラリー”における米ドル/円のこれまでの最大高低差は、6週間の間(11月9日-12月15日)で17.47円となっており、昨年(2016年)1年間における米ドル/円の高低差である22.90円の76.3%部分を、わずか約1カ月間の期間でこなした計算となります。
その後、12月に米FOMCで利上げが再開され(下記チャートB)、トランプ・ラリーで上昇した分の“反省相場”もあり、今年4月半ばまでの4カ月間で半値押し以上となる10.52円の下落となりました。(下記チャートC。高低差計算。) 以下、米ドル/円の週足チャート+52週MAをご覧ください。(期間:2016/10/23の週-2017/5/7の週)
上記チャートにおいて、ローソク足が52週MAでバウンドして上昇する起点(上図C)となり得たファンダメンタルズ材料は以下の通りです。
1) 4月23日のフランス大統領選挙(第1回投票)において、“最悪のシナリオ”である極右・ルペン氏vs 極左・メランション氏の一騎打ち(=決選投票に選出)が回避され、フランスのEUからの離脱がひとまず回避されたことによる【Frexitリスクの後退】。
2) 4月25日の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)創設85周年記念に合わせた、北朝鮮によるミサイルおよび核実験が為されなかったことによる、朝鮮半島有事を想定した【地政学リスクの後退】。
これら1)および2)の材料がひとまず消化されたことによって、リスク(=相場の下落フロー)に備えていたポジションの反対売買フローが重なったことがここもとの米ドル/円相場の上昇要因と捉えることができ、つまり“リリーフ・ラリー”(※)がその背景と言えそうです。(※リリーフ・ラリー:何らかの危機要因から脱した後の反騰相場のこと)
特に、上記1)材料もあり、投票結果が出そろった4月24日に「窓開け」となった米ドル/円相場ですが、一般的には相場の「窓開け」には早晩「窓埋め」が伴うと言われています。窓開けの際の米ドル/円レートはおおよそ110円近辺。また12日時点における52週MAは108.58円。当該レベルまでの下押しは、時間の問題となるのでしょうか。