◆来週からIPOラッシュが始まる
週末に発表された米国2月雇用統計は、非農業部門雇用者数が事前予想の+20万人程度を上回る+23.5万人になりました。来週のFOMC(14日から15日開催)の利上げ実施を確信させる強い結果でした。
ただし、米国株式市場は小幅続伸に留まり、ドル円は一時、1ドル=115.50円をつける場面がありましたが、押し返されて最終的に節目の1ドル=115円を保てずに終わりました。
強い雇用統計に対する市場の反応は、FOMCで利上げ実施を織り込んでいる動きだったと考えられますから、3月利上げ後の利上げペースを確認する段階に移っているのでしょう。
日経平均は週末に終値ベースの高値を更新、週足チャートは3週連続の陽線で高値抜けの気配を感じる形になっています。
週末のシカゴ日経先物は円安が伸びなかったため、終値は-25円の19445円で終了しましたが、チャートは強気形状なので、横ばい程度で始まってから高値更新の可能性はありそうです。
しかしながら、高値を更新したとしても、上値は重いと考えています。理由は、週末の相場から高値を抜けようという強い意志を感じられなかったからです。
週末の上昇は日経平均が300円弱の上昇になったにもかかわらず、上昇した業種の上位に景気敏感株があまり並んでいません。
景気敏感株は日経平均連動型の銘柄が多いので、日経平均が大幅上昇になると、機械や自動車、ハイテクなどが上位になる傾向があります。
日経平均が大幅上昇してもこの傾向がありませんでしたから、日経先物による指数先行の上昇の印象が強く、相場の中身が付いていないと感じたわけです。
仮に高値抜けの動きになるとしても、来週は15日の夜に米国FOMCの結果と予算教書の発表が予定されていますから、イベント前の様子見ムードにつながりそうです。
一方、来週の15日から月末にかけて、毎日、数銘柄の新規公開があるIPOラッシュが始まりますから、個人投資家の興味は小型株市場に向かいやすくなると考えられます。
日経平均が高値を抜けそうな気配があっても、大型株の値動きと小型株の値動きには雲泥の差があります。
大きな資金を運用する場合には小型株は流動性が少なすぎて対象外ですが、小額の資金が中心の個人投資家にとって、大型株を投資対象にしなくてはいけない理由があまりありません。
売買しやすい大型株よりも、短期で1割、2割と急騰する小型株の方が断然面白いわけですから、来週も小型株中心の相場展開になるのではないかと考えられます。