財務長官も重要
一般的に共和党の時はドル高政策をとるために、ドル円が上昇しやすいといわれています。
これには、「強いドルはアメリカの国益である」と1995年にルービン財務長官(ビルクリントン政権)が発言したことから、共和党=ドル高という印象がついているからだといわれています。
しかし、調べてみると、その後の歴代財務長官であるサマーズ、オニール、スノー、ポールソン、ガイトナー、そして、現職のルー財務長官ですらその発言をしています。
もはや、口癖というか財務長官の宣誓のようですね。
では、共和党と民主党の時でドル円相場がどう動いたのか、まずはチャートを見ていきましょう。
◆米国政権とドル円相場
ご覧いただくとわかる通り、共和党が勝利したタイミングでドルが買われていることが分かります。反対に、民主党が勝利すると、ドルが売られてしまっています。
就任1年目が目立ってドル高に動き安い傾向にありますね。
歴代の財務長官の政策で比較してみると、
金融界出身はドル高政策。
産業界出身はドル安政策。 を取る傾向があるようです。
金融出身ですと、期待から金融株が上昇します。そうすると、財務が健全化し資金を投資したい先に回せますので、成長させたい分野はコントロールしやすい。。となりそうです。
NYダウの業種別構成比の約17%は金融株ですので、まずまずの影響力がありますね。
新政権の財務長官候補として、ゴールドマン・サックス出身のスティーブン・ムニューチン氏が予定されており、さらに商務長官には投資家のウィルバー・ロス氏が候補となっています。
ムニューチンさんは、法人税の引き下げに前向きですので、株高からくるドル高が期待できそうです。
米ドルに関しては、『ドル高は米国へ資金が集まってきている結果。それよりも雇用の増加を目指したい。』と、トランプ氏とベクトルを合わせた発言をしています。
過去の財務長官の前職などは以下の通り。
2013年2月~ ジェイコブ・ルー :政治家、大統領首席補佐官
2009年1月~ ティモシー・フランツ・ガイトナー:政治家、NY連邦準備銀行総裁
2006年7月~ ヘンリー・ポールソンン :ゴールドマン・サックスの会長兼CEO
2003年2月~ ジョン・スノー :経済学者、大手運輸会社CSX副社長
2001年1月~ ポール・オニール :経済評論家、製紙会社社長
1999年7月~ ローレンス・サマーズ:経済学者、ハーバード教授、世銀上級副総裁
1995年1月~ ロバート・ルービン :ゴールドマン・サックス共同会長
■共和党と民主党の相場
では、今度はNYダウを見てみましょう。
基本的に、政権に限らず上昇しています。
2期連続で同政権となった際には、長期安定政権ということから、より上昇しやすい傾向にあるようです。
リーマンショックの影響は否めませんが、民主党の方が株価には良い影響を与える傾向にあるようです。
前回の共和党、ジョージ・ブッシュ氏の際には、長らくダウが伸び悩んでいました。
NYダウがどうなるかは、政権はそれほど大きく関係しないといえそうです。
さて、1月20日の就任式を前に、トランプ氏の悪い面が目立ち始めております。
週末にはメキシコからのBMWの輸入に関税を掛けるとニュースとなり、記者会見後も強硬姿勢を曲げていなことが見て取れます。
基本的には同氏の経済政策は株価の上昇に繋がるはずですが、地政学的リスクを高めるような発言は投資家にとっては安心できませんね。
注目のトランプ大統領の就任式は、日本時間1月21日午前2時からとなります。
すでに民主党の議員が20名以上欠席を表明していたり、就任反対のデモも予定されており、波乱なしでは通過できそうにないですね。