ETF買い見直しを評価し堅調、米大統領候補テレビ討論に関心
来週の東京株式市場見通し
来週の東京株式市場は、引き続き外国為替市場での円相場の動向をにらみながらの神経質な推移となりそうだ。日米中央銀行の金融政策決定会合の結果が出て、一応の織り込みは進んだものの、市場には円高進行への警戒感がくすぶり続けている。ただ、市場関係者からは「今回の日銀による金融緩和策の新たな枠組みは、現在可能な政策の80%程度は実現したのではないか」と評価する見方も出ている。
さらに、休日にもかかわらず22日には、財務省、金融庁、日銀の幹部が国際金融市場に関する緊急会合を開くなど、円高阻止の姿勢を明確にしている。また、
日経平均株価の週足チャートでは、26週移動平均線(1万6411円=23日)を13週移動平均線(1万6440円=同)が下から上抜くゴールデンクロス(GC)が達成されたことで、
日経平均株価が中期的な上昇相場に復帰する可能性が出てきた。来週の想定レンジは、1万6300~1万7100円とする。
市場の関心が高いのは、日銀のETF買い入れ限度の見直しを受け、年間買い入れ額5.7兆円のうち7割程度が東証株価指数(TOPIX)型の買い入れになることだ。見直し後の実際の買い入れ実施は10月以降との見方があるものの、これを見込んでの先取りの買いも取りざたされている。
懸念材料は、現地26日の米大統領候補第1回テレビ討論会で、この結果を受けて、もしトランプ氏が優勢となった場合には、政治的リスクを警戒して日米ともに株価が下落する可能性がある。
23日の動意株
バルニバービ<3418>=後場一段高で3日続伸。
いちよし経済研究所が21日付で投資判断「A」を継続しつつ、フェアバリューを3200円から3400円へ引き上げたことが好材料視されている。同研究所では、前期に出店した名城大学ナゴヤドーム前キャンパスに出店した学生食堂(合計約340坪)について、学生数の大幅な増加による収益化が期待できることや、店舗の複合化・大型化を進めていることなどから収益性の向上も期待できるとして、17年7月期の営業利益を6億8000万円から7億9000万円へ、18年7月期を同8億5000万円から10億円へ引き上げている。
安川情報システム
<2354>=後場上昇加速。
同社は21日、北九州市の「にぎわい創出事業」に参画すると発表。これが材料視されているようだ。この事業は、17年3月に供用開始予定である北九州スタジアムの周辺エリアのにぎわい創出や回遊性向上を目的として、北九州市の外郭団体が産学官連携で実施するもの。同社はこれらの仕組みを支えるIoT情報基盤構築と、携帯端末のアプリケーション開発を担当し、さらなるIoT利活用促進を含めたICTソリューションの提供を通じて、北九州スマートシティの実現を支援する。
北川精機<6327>=急伸。
同社はきょう、9月28日から30日にかけて東京ビッグサイトで開催される炭素繊維加工・活用技術展「エヌプラス」に出展すると発表。CFRTP(炭素繊維強化熱可塑性樹脂)成形用「多段真空プレス機」の紹介などを行うとしており、これが材料視されているようだ。
シンバイオ製薬<4582>=急騰。
米調査会社トムソン・ロイターは21日、ノーベル賞候補者24人を発表した。そのなかには、熊本大学名誉教授で崇城大学DDS研究所・特任教授の前田浩氏が、がんに薬剤を集める「EPR効果」を見つけたことが評価され化学賞の候補として挙げられている。同氏はシンバイオ製薬のシニアアドバイザーとなっていることから、ノーベル賞候補関連株として買い人気を集めている様子だ。
セントケア・ホールディング<2374>=急反騰。
21日取引終了後、17年3月期の連結業績予想の上方修正を発表したことが好感されている。売上高は380億2400万円から380億2900万円(前期比5.8%増)へ、営業利益は19億3000万円から21億1000万円(同16.1%増)へ修正した。介護サービス事業で新規顧客の獲得が順調に進んでいることや、稼働率が向上したことが要因としている。
サンバイオ<4592>=大幅続伸。
同社は21日の取引終了後、神経系疾患を対象に日米で開発を進めている再生細胞薬SB623の外傷性脳損傷を対象としたフェーズ2臨床試験を国内で開始したことを発表、これを好感して一時前日比100円高の1467円まで買われている。すでに米国で他家由来の再生細胞薬としては世界で初めてとなる外傷性脳損傷を対象としたフェーズ2臨床試験をグローバル治験として開始しているが、今回、国内においても治験を開始し、被験者を組み入れる。この試験では、外傷性脳損傷に起因する慢性期の運動障害をもつ患者を対象に、同剤を用いた同社グループ独自の再生細胞薬の治療効果を評価する。
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