日銀、テーパリング示唆もあり得るか?
そんな中、やはり注目すべきは奇しくも同じ日20-21日に行われる日米金融政策会合のゆくえ。
時差の関係で、まず日銀の決定が東京時間21日12-13時頃には明らかとなり、遅れること約半日の同日27時(日本時間22日午前3時)にFOMCの決定事項が明らかとなります。ポイントはこの約半日のタイムラグ。
今までの経験則上、日銀が金融政策を大きく変更させたタイミングは、まずFOMCの決定を見てからというパターンであったものの、果たして今回はFOMCの決定前の段階で日銀は金融政策の変更を実施できるのかという点に注目が集まっています。
その日銀における焦点は・・・「総括的検証」の中身。
「総括的検証」の主なポイントとして考えられるのは、「質」「量」「金利」の三次元政策のうち、「金利」部分の変更が主に取り沙汰されており、現状マイナス0.1%のところ、同0.2~0.3%までの深掘りを実施するとの見方が大勢となりつつあります。
また「量」部分の予想では、国債の買い入れ額の増額は事実上困難と見られていることもあり、現状80兆円のところ、70~90兆円とし、市場に「テーパリングもあり得る」とのメッセージを与えつつ、将来の増額も匂わすという“玉虫色”表現を使う可能性もありそうです。
また「質」部分では、外債の買い入れも一部識者からの発言で取り沙汰されていますが、これは欧米の金融当局にすれば事実上の為替介入と見られる可能性もあり、概ね見送られるのではとの見方が大勢。
仮にこの程度の「総括的検証」を経た決定の場合は、市場に失望を伴うリスク回避フローが発生する可能性が高く、株安・円高フローが21日時点で拡大する可能性も視野に入れる必要があります。
しかも、マイナス金利幅の深掘りは、銀行を中心とする金融機関の収益圧迫をイメージさせることもあり、今年1月の二の舞になる可能性も。
今回は、“力技”を中心とする今までの金融政策ではなく、長短金利差を調節し、イールドカーブのスティープ化を目的とするツイスト・オペ(オペレーション・ツイスト)を実施する可能性も高く、“手技”を以てマーケットをいなす可能性も想定に入れておいた方がよさそうです。
いずれにしても、現在のマーケットは金融政策だけではマーケットの反応も限定されるため、政府による財政出動とセットでなければ強烈なインパクトになり辛いというのが現状。
決定に伴うインパクトの大きさによっては多少の上振れの可能性はあるものの、結局のところドル/円相場は、当面上方硬直性相場が継続すると捉えた方がいいのかもしれません。