~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
日銀は7月29日(金)まで開催した金融政策決定会合で、ETFの買い入れ枠を現行の年3.3兆円から年6兆円に増額する事を決定しました。
量的緩和の総額(80兆円)や政策金利に変更はなかったものの、見送りでもなく、政策総動員でもなく、良い塩梅の内容だったと思います。
今回の日銀会合に関して、8割の市場関係者が金融緩和ありを予想していたとの調査もあり、「現状維持」だった場合には株価が大きく下げた公算が大きいでしょう。
前回6月の会合では、追加緩和見送りで日経平均は一時500円超下落しており、今回はそれ以上の急落を強いられた可能性もあります。
■今回の決定で銀行株が急反発
今回決定されたのはETFの買い入れ増額のみだったため、小粒な内容だったとして発表後は売りが先行し、日経平均は下げ幅を300円超に拡大する場面もありました。
ただ、これは発表後に円が急落し、一時102円台まで下落したことで、輸出関連に売りが先行したことによります。
一部で予想されていた「マイナス金利幅の拡大」が無かったことで、マイナス金利のよる収益面の警戒感から売られていた銀行株が大きく買い戻されました。
(8306)三菱UFJフィナンシャル・グループや(8316)三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクの株価は7%を超える急反発を演じました。
2月16日から導入されたマイナス金利は、まだ導入から半年弱しか経過しておらず、効果を見極めたいとして、今回は政策手段から除外されました。
一度にすべての政策を総動員すれば、もうやれることが限られるとして材料出尽くしにつながる可能性もあります。かといってゼロ回答でもまずいため、ETF買入れ額の増額という株式市場が好感する政策のみを行っています。
■次は政府にバトンタッチ
日銀は会合後の発表分で、今回の措置は「政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する」との認識を示しています。
政府は28兆円規模の大規模な経済対策を打ち出す方針で、この効果をアシストするためにも緩和的な金融政策を続けることが必要だったとしています。
来週8月3日(水)には安倍政権の内閣改造、自民党役員人事が行われ、アベノミクスが再始動します。
日銀はひとまず株式市場との対話に成功しており、バトンを渡された政府による経済政策が、次のマーケットの関心事として注目されることになりそうです。
小野山 功