~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
※7/3 一部表記訂正
英EU離脱(Brexit)による金融市場の混乱は、一先ず収束の方向に向かいつつあります。日経平均は7月1日までに5日続伸し、先週24日の下げ幅の6割弱にあたる730円を戻しました。
■火曜までは消去法で買いが向かった
週前半(6月27日~28日)に関しては、日経平均はそれぞれ357円、13円と上昇こそしたものの、相場の雰囲気が良いとは必ずしも言えない状況でした。
両日のマーケットで買われたのは、(9432)NTTや(2914)JTといった景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄が中心でした。1300円近く急落したのは、さすがにやり過ぎだけど、輸出関連は買えないため、消去法で買いが向かったという事情があったのでしょう。
時価総額首位、(7203)トヨタ自動車は6月28日に安値を付け、3年3カ月ぶりの5000円の大台を割り込んだほか、(8604)野村ホールディングスも28日に安値を付けており、火曜日まで相場の雰囲気は悪かったというほうが実態を反映していると思われます。
■米国株とボーナス資金が相場を後押し
流れが変わったのは、水曜日でした。前日の米国株が急反発し、Brexitによる世界的な株安の連鎖は回避できそうだとして、投資家の買いスイッチがオンになったわけです。
週前半とは打って変わって、29日はトヨタ株が3%高と4日ぶりに大幅反発したほか、シクリカルの代表格、(5401)新日鐵住金が7%高と急伸しています。
今週の日経平均5連騰の背景には、日本固有の要因も相場を押し上げた可能性があります。
公務員の夏のボーナスが30日に一斉に支給されました。民間企業のボーナスも月末までには給付されており、個人投資家の懐都合が良くなったことで、株式需給の改善に寄与した側面がありそうです。
また、株主総会後に支給された配当が、一部再投資という形で株式市場に戻ってきた可能性もあります。
■政府の為替介入は無かった
さて、注目された政府による為替介入ですが、6月(5月30日~6月28日)の為替介入実績がゼロだったことが30日に判明しました。介入なしはこれで55ヶ月連続となります。伝家の宝刀が抜かれるのは、いつになるのでしょうか。
来週は、7月8日に発表される6月の米雇用統計に向けて、為替相場を睨んだ相場展開が想定されます。
Brexit後、震源地の英国株(FTSE100)は、国民投票前の水準をすっかり回復しています。まだ、6割弱しか戻していない日本株は、引き続き戻りを試す展開が期待できそうです。
半値戻しは全値戻し。まずは、6月23日の終値である16,238円が戻りの目途として意識されそうです。
小野山 功