~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
「増税延期は織り込み済みだ」と言わんばかりに、6月月初から株式市場は大きく崩れました。
5月31日(水)まで日経平均は5日続伸しており、長い低迷のトンネルを抜けたのか…と安堵したのも束の間、1日、2日の2日間で日経平均は672円も下落し、16,000円台半ばに逆戻りです。
■「織り込み済み」は増税延期だけではない
1日の安倍首相による会見では、消費税増税を2年半先送りする考えのほか、「総合的かつ大胆な経済対策をこの秋講じる」として、2次補正による景気対策への言及がありました。
ただ、こちらも想定の範囲内。むしろ、補正予算の規模が明らかにされなかったことで、物足りないとして短期筋の売りを誘いました。
来週は、日米の金融政策を巡って、引き続き不安定な株価展開が見込まれます。
■参院選前、最後の日銀会合への思惑も
6月14日~15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されており、利上げへの警戒感が相場の重荷になる可能性があります。
FRB(=連邦準備制度理事会)のイエレン議長は5月27日のハーバード大学での講演で、「(利上げは)慎重に判断するが、今後数ヶ月のうちに可能になるだろう」と発言しており、6月に追加利上げは無いとは言い切れない状況です。
また、FOMC翌日の16日(木)には、日銀・金融政策決定会合の結果が発表されます。日銀が公表する消費者物価指数(生鮮食品、エネルギーを除く)は、4月に前年比0.9%のプラスと9ヶ月ぶりに1%の節目を割り込みました。
日銀の黒田総裁は、「物価の基調は着実に上昇している」として、エネルギー価格が下げ止まれば、物価は上昇に転じる考えを示していましたが、目標とする物価2%には程遠いのが現状です。
日銀が物価の2%目標を達成するために、16日(木)の会合で追加緩和が発表される可能性があります。
7月10日の参院選前の最後の日銀会合ということもあり、追加緩和への思惑が高まるものと見ています。
来週は、日米の金融政策を巡る思惑が、株式市場の動向を左右することになりそうです。
小野山 功