ピロリ菌除去の動きじわり、ホリエモンらが普及活動開始
「ピ」プロジェクト立ち上がる
3月1日、ホリエモンこと堀江貴文氏らが発起人となり、予防医療に関する一般社団法人「予防医療普及委員会」が設立された。同委員会では、最初のプロジェクトとして「胃がんを防ぐこと」目的に「『ピ』プロジェクト」を立ち上げて、ピロリ菌除去の普及を進めており、その一環として4月には都内でイベント「ピロリナイト」を開催。また、不特定多数の人から資金調達する「クラウドファンディング」を活用して簡易検査キットの普及に乗り出している。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)とは、胃の出口あたりに多く住み着いている細菌で、日本人の4人に1人、成人では約半数が感染しているといわれている。しかも、その割合は年齢が高いほど感染率が高く、20代~30代では10~20%に過ぎないが、50代以上では70~80%に達するといわれている。
ピロリ菌が胃の粘膜に侵入するとアンモニアを産出し、胃の粘膜を傷つけ、その状態が長く続くと炎症を繰り返して慢性の胃炎を起こしやすくなる。そこからさまざまな胃の病気が発症することになり、近年の研究では胃潰瘍の70%、十二指腸潰瘍の90%がピロリ菌が原因といわれ、さらに胃がんの99%はピロリ菌感染がそのベースにあるとされている。
一方、ピロリ菌を除菌することで胃がんの発症を3~4割減らせる可能性があるとされることから、ピロリ菌除去の重要性は大きい。
関連銘柄は検査薬の栄研化など
2013年には、それまで胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気のみに健康保険が適用されていたが、「慢性胃炎」が対象に加わったことで、除去を行う人が徐々に増えている。とはいえ、実際にピロリ菌除去を行う人はまだ少なく、今後ピロリ菌除去の普及が進めば、関連する市場は大きいといえそうだ。
関連銘柄としては、医薬業界からは、足もとでピロリ菌検査薬の販売が好調な
栄研化学<4549>をはじめ、ピロリ菌除去に用いられる胃酸の分泌を抑えて抗生物質の効果を高める薬、さまざまな細菌の発育を抑える薬、ピロリ菌に対しての抗菌作用を高める薬の3剤をまとめたパック製剤を手掛ける
武田薬品工業<4502>や
エーザイ<4523>、さらにピロリ菌に感染された組織を染色するキットを扱う
コスモ・バイオ<3386>など。
一方、食品業界からは、ピロリ菌の働きを抑える乳酸菌LG21をそのまま商品名としたヨーグルト「LG21」を販売する
明治ホールディングス<2269>や、ピロリ菌を除去する機能性素材「オボプロン」を配合したヨーグルト「ドクターPiro」を販売する
江崎グリコ<2206>と同社に同素材を提供する
ファーマフーズ<2929>などが主なところといえよう。
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