さらに、小売関連にはもうひとつ強力な追い風がある。来年4月の消費増税が延期される可能性が高まっていることだ。熊本県を中心とする大地震の影響で、日本経済は突発的なダメージを受けており、復興のための補正予算編成とともに、景気を冷え込ませないための政策的決断が求められる状況にある。安倍政権は8%から10%への消費税引き上げを見送る公算が大きく、小売セクターにとっては大きな追い風となることが予想される。
関連銘柄としては、婦人向けを主軸に低価格帯の実用衣料を展開し、17年2月期最終利益が前期比24%増の306億円と高い伸びを見込む
しまむら<8227>や、ホームセンター大手で同18%増益の71億円予想にある
コーナン商事<7516>。「無印良品」で消費者のニーズをとらえ同12%増益の243億円を見込む
良品計画<7453>なども注目される。ベビー・子ども衣料や生活雑貨を手掛ける
西松屋チェーン<7545>も17年2月期は14%増益の43億2100万円と前期に続く2ケタ増益を見込んでおり要注目だ。
また、総合小売最大手の
イオン<8267>も見直し余地を内包する。前期こそ店舗閉鎖に伴う特損計上で最終86%減益に沈んだが、17年2月期はリストラ効果に加え、食品スーパーやドラッグストアなどM&A効果が発現する見通し。最終利益は前期比66%増と切り返す見通しだが、保守的で増額期待もある。
また、このほか小売業態からは外れるが、2月決算のユニークな業態として、製薬会社向けに造粒やコーティングを行う装置を手掛ける
フロイント産業<6312>はマークしておきたい銘柄だ。国策を背景としたジェネリック医薬品の普及加速が同社にビジネスチャンスをもたらしている。16年2月期最終利益は前の期比38%増の9億6100万円と4割近い増益を確保したが、17年2月期も、付加価値の高い医薬品添加剤の売り上げの伸びが寄与して利益成長が加速する見込み。会社側では前期比23%増の11億8000万円を見込んでいる。