市場参加者限定で薄商い、個人投資家は中小型株に照準
明日の東京株式市場見通し
29日の東京株式市場は、引き続き市場参加者が限定されるなかで売買エネルギーは盛り上がりを欠くものの、年末要因での売りが一巡したことに加え、新たな売り材料も見当たらないことから、自律反発の買いがやや優勢となりそうだ。
市場関係者からは「海外投資家や国内機関投資家の参加が少ないことから、個人投資家好みの中小型の材料株に物色が集中し、値を上げる銘柄が目立った」との見方が出ていた。それを裏付けるように、主力株中心の
日経平均株価は104円高にとどまったものの、中小型株の活況で、東証1部の値上がり銘柄数は1570(値下がり327、変わらず29)と全体の81%を占め、ほぼ全面高商状となった。
28日の東京株式市場は薄商いながらも買い優勢の展開となり、
日経平均株価終値は前週末比104円29銭高の1万8873円35銭と6日ぶり反発した。ただ、東証1部の売買高は15億5526万株、売買代金は1兆5433億円と、売買高、売買代金ともに今年最低に落ち込んだ。売買代金は、昨年12月26日以来1年ぶりの低水準。
28日の動意株
日本農薬<4997>=大幅高。
「個人投資家の商いが活発。前週末まで、節税対策に伴う損益通算の売りが下げを助長していたが、実質年替わりで流れが変わった。日本の農業の成長を担う銘柄としての位置付けがあるなか、PBRが1倍を割り込んでいたことも買いの足掛かりとなった」(国内ネット証券大手)と指摘される。安倍政権にとってTPP締結と農業の成長戦略は表裏一体であり、同社は農薬トップメーカーとして国策の恩恵に乗るとの見方が市場では根強い。
古河機械金属<5715>=戻りが本格化。
5日・25日移動平均線のゴールデンクロスも早晩実現しそうだ。主力の油圧ドリルが海外で好調だが、国内ではリニア中央新幹線工事関連としても注目。既に山岳トンネルで最難関とされる「南アルプストンネル」を皮切りにトンネル掘削工事がスタートしているが、リニア開業予定は2027年と長丁場であり、今後トンネルドリルなどの受注が期待される。
ザインエレクトロニクス<6769>=後場一段高。
同社はきょう、高速応答・高効率の電源モジュール製品技術を開発、同市場に参入すると発表。これが材料視されているようだ。 これは大容量の電流を必要とする電子回路基板上の電源に最適な技術。ビッグデータ解析やIoTで用いられる人工知能用プロセッサやサーバー、高速画像処理・画像認識、各種産業機器などの演算処理能力が必要とされる電子回路基板に適用できる。
日本エンタープライズ<4829>=急反発。
材料難から主力株が動きにくいなか、前週末まで5日続落で株価210円台まで下落し、年初来安値を更新していた同社株には、値頃感や自律反発狙いの買いが向かっているもよう。また、25日には、子会社の交通情報サービスがスマートフォン向け「ATIS交通情報」に、「交通情報プッシュ通知」を新たに搭載してリリースしたと発表しており、これを好材料視した買いも入っているようだ。
ロックオン
<3690>=急騰。
きょう付の日経産業新聞で、「仮想通貨取引所運営のテックビューロ(大阪市)と組み、通販サイトの運用コストを3分の1以下に抑えるシステムの開発を始める」と報じられ、業績への寄与を期待した買いが入っている。記事によると、複数台のコンピューターでデータを共有して処理する仕組みで、通販サイトへの急激な注文数の増加に耐えられるようにしたという。なお、ロックオンは28日、日経産業新聞の報道と同様の内容を正式発表した。
インテリックス<8940>=急反騰。
同社は25日取引終了後、16年5月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の365億2000万円から384億2000万円(前期比38.4%増)へ、営業利益を14億4300万円から17億5500万円(同66.2%増)へ上方修正した。リノヴェックスマンション販売事業で、地方主要都市への店舗展開が奏功し、仕入拡大に伴い物件販売件数が増加していることに加えて、1棟もののオフィスビル、レジデンスなどその他不動産の物件販売でも、期初に見込んでいなかった物件売却が加わり業績を押し上げたとしている。
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