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プラチナの役割

 プラチナ(白金)を借りるコストが大幅に高まっている。金利にあたる借り賃は「リースレート」と呼ばれ、7月以降急上昇した。金やパラジウムといったほかの貴金属と比べても突出して借り賃が高い。脱炭素需要を見込んだ投資や中国の輸入で白金の地金が品薄になったためで、実需でリースが欠かせない製造業に打撃を与えている。
 リースレートは現物価格と先物価格、ドルの短期金利から算出される。国際調査機関のワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)によると、6月上旬には0.1%前後だった白金の1カ月物のリースレートは7月には2.6%まで急上昇し、9月上旬時点でも1.3%前後と高止まりしている。
 新型コロナウイルス禍以前の3年平均が0.1%程度だったことを考えると、かなり高い水準だ。12カ月物も、9月時点で1.8~1.9%台と高水準にある。

 他の貴金属と比べても上昇が際立つ。ガソリン車の触媒に使われるパラジウムは自動車生産の減少などで需要が減り、1カ月物のリースレートはマイナス圏に沈む。金も1%未満の低水準で安定する。
 白金のリース取引は白金を触媒に使う自動車関連など実需で用いる企業が多い。こうした企業は使用済みの白金を回収し再利用する。リサイクルには時間がかかるため、その間不足する白金をリースで調達する。産業のあちこちで使われる欠かせない取引だ。
 ところが、あるメーカーが白金を借りようとしたところ、「商社から提示されたリースレートは8月末ごろ急に上昇し、6%台になった」と明かす。実際のリース取引は相対で、信用リスクなどを加味したスプレッドが上乗せされるためだ。
 借り賃が急騰した背景には極端な白金の不足がある。主な原因は投資需要と中国の爆買いだ。
 白金の先物市場があるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の白金の保有量が昨夏以降、急増した。今年7月のピーク時は20年初の4倍超の規模に膨れ上がった。
 代替エネルギーとして見込まれる「グリーン水素」の生成で白金の需要が増えるとの期待に加え、白金相場と連動しやすい金相場の上昇で投資マネーが流入し、20年から21年初めにかけて先物価格が急騰。高値に目をつけた投資家が売却益を狙い「NYMEX在庫に白金の地金を移す動きが目立った」(日本貴金属マーケット協会の池水雄一氏)
 中国の需要も強い。白金を使うガラス生産の拡大や自動車向けの伸びで今年の輸入量は過去最高ペースだ。投資家や中国が地金を吸収し、「スポットで購入できる白金が不足している」(WPICのトレバー・レイモンド氏)。その結果、リースに頼る動きが強まっている。
 自動車生産の減速や鉱山トラブルがあった南アフリカでの白金生産の正常化などで、現物の指標となるロンドン相場は弱含んでいる。7月中旬に1トロイオンス1100ドル台だったが、足元では900ドル台まで下落した。今後も価格は下がるとの見方も多く、下落リスクが大きい現物を買うより、借り賃が高くてもリースの方が結果的に得と判断する企業も多いようだ。(北川開)
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