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バブル大研究(その3)

第3話 進化したバブル対応(20年間で変わった投資環境)


前回までで、バブルとは株価の異常な高騰が社会問題化し株価が弾けることで、株価の下落が不況を引き起こしたことがお分かりになったのでは……。「ハイ合点!」


言いたかったのは、株価が経済のバロメーターになっているということです。90年に起きたベルリンの壁撤去以後、共産主義が崩壊し、ソ連や中国までも株式市場を持つようになり、GDPに代わり株価がその国の経済力を表すようになったのです。


その結果、100年に一度といわれたリーマンショックは、株価の回復に力を入れ5年で、今回のコロナショックも1年で景気を回復させたのです。これはアメリカばかりでなく、中国や日本でも取り入れられ、株価は暴落以前の水準に戻っています。マスコミがいくらバブルだバブルだと騒いでいても、株価が再度20,000円を割れるような暴落を起こさない限り、社会問題化せず不況にはなりません。


バブルについても研究が進み、その防止対策も各国で取り入れてきたのです。今日はそのお話です。


(1)国際化が進むバブル対策
 
アメリカは暴落に際して直接市場に介入しませんでしたが、不良債権の買い取りという迂回作戦で債券市場をコントロールし、株式市場を立て直しました。国の経済がGDPでなく株式市場の価格でみられるようになると、市場は政府の力でコントロールしないと暴落が経済を痛めてしまうからです。


いいかえると、民営化により経済の主体が国から企業に移されると、企業は競争で利益を上げ他社より有利に立とうと努力します。その成果が時価総額という指標となり、株価の変動で変わる時価総額は、毎日順位をつけて公表されています。株価を見ればその会社の実態がわかり、株価を総合した国の力が株価指数になるのです。


となると、株価の下落を長期間放置できなくなり、直接または間接的に政府が市場をコントロールすることが、暗黙のうちに経済会の常識になったともいえます。


「株価は経済の鏡である」とはいえますが、「経済は株価を反映する」とはいえなくなってしまったのです。従来の経済学では禁手とされていた政府の株価への市場介入が、バブル経済の特効薬になることが分かると、株価の上昇をバブルと決めつけ、暴落を恐れて現金をため込む必要がなくなってきます。 急激な株価の変動がない適温相場が続く限り、安心して株を買い持ち続けることができるようになったのです。


(2)普遍化した投資理論


株価形成理論もこの間にだいぶ変わってきました。昔の経済学では「値段は短期は需給で決まるが、長期はコストに収れんする」とあります。株価の場合コストとはファンダメンタル、つまり企業業績のことですから、この原則は現在でも通用するはずですが。


バブルの当時もこの考え方は存在しましたが、株価は企業業績より企業の資産価値に重点が置かれました。資産価値も現在価値ではなく、将来の値上がりを織り込んだQ値なる尺度で高騰した株価を正当化してゆきました。このため土地持ちの会社や、都心の一等地にわずかな土地を持つ企業が、収益を無視して短期間に10倍20倍と上昇したのです。


バブル崩壊後も「材料が株価を動かす」という考え方は変わらず、その後のITバブルや新興市場バブルでも、この投資理論がいかんなく発揮され、値上がり材料に着目した「材料株物色」が銘柄選別の第一条件でした。


バブル終了後、最初の上昇波となったアベノミクスでも、当初はデフレ脱却と円安による競争力復活が外国人主導でテーマとなり、この材料を持つ銘柄が先導して上昇してゆきました。ただ、外国人投資家の銘柄選択の基本は現在主流になっている株価理論だったのです。株価は1株当たりの予想利益に株価収益率を掛けて算出する基準です。

  
 株価=EPS×PER
 EPS=利益/発行済み株数
 時価総額=株価×発行済み株数


もともとこの尺度は古くから存在していたようですが、驚くことに日本ではほとんど知られていなかったようです。バブル崩壊後に、ある市場関係者が、先物を売っている外国人がどこまで売るつもりなのか調べたところ、PERの20倍程度と知って仰天したという話も伝わっています。


株価見通しを職業としているアナリストたちも、ファンドマネジャーもこの投資理論を参考にしているようで、年初に発表されるその年度の株価見通しが、ある水準に収れんしているのも、この理論をが影響しているものと思われます。


株価指数が国の経済力を表わす指標になると、企業は時価総額を大きくするために収益力の向上に努め、その基準となる1株利益を重視するようになります。それによって株価が押し上げられ、経済が発展することになります。


このように、世界的に通用する株価基準によって株価の位置が決まるようになると、これを大幅に上下した株価は、海外からの資金によって調整されるようになります。バブルの時、この基準がひろく理解され運用されていれば、あのような高値にはならなかったかもしれません。


(3)対策でバブルは防げるか


バブル当時と比べると様々な変化がありますが、その最大なものは「バブルを理解しその対策を打てるようになった」ことにあると思っています。株価の上昇が異常であっても社会問題にしなければ、暴落しても金融政策で需給を調整し、短期間で次の上昇相場に繋げることができるのです。


日銀も2%の物価上昇を目標に、異次元の金融緩和による大量の資金供給を行っています。これにより、超円高は是正され、企業業績はバブル期を超えるまで回復しています。株価も指数だけ見ればバブル期には及びませんが、時価総額ではすでに上回り、個別企業の株価ではバブル期を超えている銘柄も少なくありません。


世間では日銀のETF購入が株価を押し上げたといっていますが、企業の空前の業績回復がなければ、日銀の購入だけでは20,000円を上回る相場にはなりません。日銀のETF購入は、ヘッジファンドのような株価下落を狙った売りに対する有効な防止手段になっているため、今後とも維持されると考えています。


日本はバブルを通して、バブルの仕組みとその恐ろしさを体験しました。これにより有効なバブル防止対策も手に入れることができたのです。これからもバブルを忘れることなく防止対策を金融と経済政策に取り入れ実行してゆけば、新たなバブルの発生は起こらないと思っています。


「おいおい、ちょっと待てよ!」突然天からの声です。
「おまえは、バブルは一生に一度の買い場だから、買いのチャンスといってたじゃないか。バブルにならなかったら、どうするんだ!」
「まぁ~、まぁ~、そうむきにならないで、聞いてくださいよ……」


確かにバブルにはなりませんが、暴落を防ぐことはできるようになったのです。日銀はマイナス金利導入に際して、金利差に頼る国内金融機関の収益構造を、アメリカの投資銀行のようにリスク資産の購入によって補うことを期待したのです。そのためには、株価の暴落を防ぎ安定的な上昇が必要です。


日本の年金基金を管理する機構(GPIF)の資金運用を国債から株式に変更した際も、株価の安定的な上昇がつづくものと期待したからです。


「どうですか、バブルにはならなくても緩やかな上昇は続くのですよ。アメリカではゴルディロックス相場って呼んでいるようだけど……」
「いい銘柄を選んで買って持っていれば、いつのまにか資産は増えて富裕層に……」
「もういい、もういい」



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