香港在住の友人からメルが来た。
俺らは、歴史的瞬間を見ている。香港の金融システムが崩壊する初動を見ているのかもしれないと書いてあった。1984年、中国とイギリスは、香港がイギリスから中国に返還された後50年間(2047年まで)は、香港に社会主義を適応せず資本主義を採用する。一国二制度を維持すると取り決めた。中英共同宣言ってやつだ。
2019年現在も有効なはずだが、マジで風前の灯火状態だってことが、香港に住んでいたらよくわかるそうだ。香港の一国二制度が、風前の灯火状態にあることを世界中に見せてしまったのが、2014年の雨傘デモからの2019年の逃亡犯条例の改正案に対する200万人デモ。改正案の審議は無期延期になったが、撤廃は明言されていない。
イギリスは約束が違うじゃねぇかと抗議したが、中国は内政干渉すんなと言い返した。両国の関係は現在進行悪化中。
イギリスといえば、金に目がくらんで中国発AIIBに真っ先にのっかり、後追いEU資本主義国が雪崩をうってのっかりまくる道筋をつけた。中英蜜月、中国の大恩人、仲良し関係ばく進の過去はどこに消えたのか状態だね。
最近、イギリス発の、ウイグルの人権を中国はゴキブリを踏みつぶすように踏みつけにしている問題特集がよく出る。イギリスがAIIBに乗っかる前から中国の人権問題はあったし、当時と今にそうたいした違いはない。だが当時、イギリスはその手の発言をしなかった。今回の騒ぎで、お金様の避難加速は必至だ。もしあっちが香港在住の富裕層なら、資本逃避をさせる。というより、すでに資本避難行動はとっていただろうけれど、急がなアカンって加速させる。
6月の段階で、ロイターは、香港のお金様が、静かに目立たないように、国外に避難しまくってまっせっと報じた。香港はアジア1位の金融センターだけど、香港の力はダダ下がり。これまで香港に集まってきていたお金様が、アジア2位の金融センターであるシンガポールに逃げる。
資本主義経済下で財をなした香港在住の香港人は、共産主義下の金融センターに移行する香港に、ぐずぐずとお金様をそのままおいておいたら、財産が吹っ飛ぶってわかってるよね。いつどこで、中国本土から難癖つけられて強奪されるかわかったもんじゃない。
ここに、逃亡犯条例の改正案がひっかかってくる。
香港のお金様が恐れるのは、逃亡犯条例の改正案が可決された場合、中国の裁判所が香港の裁判所に命令し、中国での犯罪に関連していると「みなす」資産の凍結や押収ができるようになることだ。
みなされたら何をされるかわからん。全く関係なくても、中国は共産党独裁のやらずぼったくり冤罪天国だと、みーんな共通認識をもっている。
改正案が成立するということと、資産と人権の保証がなくなるということはイコールだ。返還後50年間が終わる2047年にむけて、富裕層や外国人投資家が香港から逃げる。
香港の魅力が、凄まじい勢いであせていく。香港が、自由と資本を失う歴史的瞬間を見られても、嬉しくもなんともないと、メルを送ってきた友人が締めていた。