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チャートだけを見ていると上にすっと抜けそうだが・・・

昨日の米国株式相場は大幅高となった(DJIA +227.88 @27,088.08, NASDAQ -6.49 @8,196.04)。ドル円為替レートは108円前半の前日比円安水準で動いた。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が703に対して、下落銘柄数は1,356となった。騰落レシオは106.32%。東証1部の売買代金は1兆7891億円。

TOPIX -2 @1,576
日経平均 +42円 @21,686円

米国市場ではダウ工業株30種平均が初めて27,000ドル台を付けて過去最高値を更新した。その原動力の一つはFRBによる利下げ期待である。7月に0.25%が利下げされるのはほぼ確実と見られている。換言すれば、「金融相場」である。しかし、米金利の利下げは副作用もある。外為市場では米長期金利が低下することで、円高・ドル売りが進みやすい。そのため、日本株は米国株ほど上げていない。

7月1日に日銀が発表した日銀短観では、大企業製造業が事業計画の前提とする為替レートは1ドル=109円35銭である。足元の円相場をこれよりも円高である。これが日本株全般の頭を抑える。さらに米中貿易戦争の煽りを受けて、日本企業の業績悪化がほぼ確実視される。二桁減益が予想されており、既にかなり株価に織り込まれている。米中貿易戦争により米中双方の貿易額が減少するのは当然として、米中双方に多額の輸出をしている日本企業の業績も一緒に悪化する。日本工作機械工業会が7月9日に発表した6月の工作機械受注額は前年同月比で38%減の988億円となり、好況と不況の分水嶺とされる1000億円を32か月ぶりに割り込んだ。昨日決算発表をした安川電機は3~5月期の純利益が前年同期比7割減となった。当然、株価は一時5%下げ、終値ベースで3%下げた。本日の日経平均は増益を発表したファーストリテイリング1銘柄だけで70円ほど上げた。これがなければ日経平均も前日比マイナスとなるとことだった。

利下げという「浮揚力」と業績悪化という「下押し力」のどちらが強いかは今のところまだ判定できないが、これから明らかになってくる決算発表の数字で次第に明白になっていく。10月に予定されている消費増税は、本当に実施されれば、ただでさえ減速している景気をさらに悪化される決定打となるだろう。

日経平均の日足チャートを見ると、長めの下ひげを引いた短陰線で終えたが、上向きの10日移動平均線の上にある。25日移動平均線も上向きであり、このまま横ばいでも後数日で25日移動平均線がほぼ水平の60日移動平均線を下から上に突き抜けそうである。他方、7月1日以降、250日移動平均線に頭を抑えられるように保ち合い相場が続いている。チャートだけを見ていると上にすっと抜けそうだが、相場の背景も考慮に入れると事はそう単純ではなさそうである。

33業種中19業種が下げた。下落率トップ5は、鉱業(1位)、その他製造(2位)、サービス(3位)、機械(4位)、海運(5位)となった。

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