金銭感覚ゼロな友人が、金銭感覚ザルな美人と結婚して7年、性格の不一致がクリーンヒットして離婚話になった。
ちょこっとの余裕もない家計にびっくらこいて、なぜか離婚話が吹っ飛んだらしい。こっちは、金の切れ目が縁の切れ目という通説の、逆に働く事例があるってことに、びっくらこいた。
友人夫婦は、ファイナンシャルプランナーを使って、家計の見える化を計っている。たまたまつけたテレビで、マツコデラックスが、ド真ん中コメントをのたもうていた。
「お金って、使わないとたまるのよね」激しく同意する。
かくいうあっちは、若かりし頃、そりゃあ見事なザルだった。宵越しの銭はもたねぇ派で、堅実のケの字もないってやつだ。
あるとき、ド田舎仕事にとばされた。職場は離島もしくは離島扱いで宅配も来てくれない。宿は朝晩飯付、近辺に飲み屋なし。昼賄い付き。
ある日、一緒に働くチームの若手が団体で、通帳記帳に行った。正確には、当時のリーダーに、行かされた。通帳記帳に行ってこい、但し、やるのは記帳だけだと厳命されて山を下りた。
久しぶりに下りた村で、喫茶店に入った。メニューはコーヒーとオレンジジュースのみ。ほんっと、久しぶりに外食? をした。村唯一の喫茶店で、隣に売店併設。みんなで喫茶店のパイプ椅子に座って通帳を見て、見つめて、通帳にお金様が残ってるじゃんうっそー、と大騒ぎになった。
通帳に残高がある、って程度で騒ぐくらいバカばっかということなのだが、宵越しの銭はもたねぇとほざくオバカ集団が、使えるところがないから、宵越しの銭を持ちっぱなし。そん時のリーダーが厳しいオヤジで、職場内賭博厳禁だったから賭け事もできず、お金を下ろしにも行けないから、通帳に数字が増えっぱなし。
そこでバカたちは学んだ。お金様は使わないと貯まる、博打をやんなかったら貯まる、使えないと貯まる。貯金したかったら、お金様が使えないかつ、博打に手を出せないところに行け、マジで早く貯まるって。
さらにバカたちは学んだ。お金って、ちょっと貯まってくると、嬉しくなって使わない(ヤツもいる)。
あんときのリーダーは、今思えば、神様みたいな人だった。あっちらの業界では異色の堅実人で、若手オバカ軍団に、バカでもできる安定した生活の築き方や、ざっくり収入と支出を掴む家計簿のつけかたを叩き込んでくれた。
仕事より、はるかに厳しく指導されたような気がする。
あのリーダーと出会っていなかったら、あっちは金銭感覚ザルから大ザルに成長し、そのまんま、現在にいたっていたかもしれんのだ。