対日貿易赤字7兆円を解消するため、日本は厳しい要求を突き付けられそうですが
マティス国防長官の辞任で日米通商交渉はかなり難航すると思われます。
しかもここへ来て、新たな問題も浮上しています。
<米国が対日交渉で掲げている主な要求内容>
①自動車
米国内での生産強化と雇用促進を求めている
最も危惧されるのは対米輸出に数量制限が設けられること
日本国内の自動車産業は裾野が広いため、国内生産が減少すると
多くの部品メーカーなどが大きな打撃を被ることになります
②農産品
関税の削減または撤廃を求めている
日本はTPP並みの水準で決着を付けたいところですが
米国にとって対日貿易赤字解消の肝だけに交渉は難航するでしょう
③「物品」の関税に限らず、投資ルールやサービス分野を含む
包括的な協定締結を目指すとしており
様々な規制緩和を求めて来ることは必至です
具体的には「情報通信・金融・運輸・旅行・建設・保険など」
といった領域が挙げられます。
④知的財産権の保護
日本の地理的表示制度の実施を引き続き監視し
米国製品の市場アクセスを不当に制限する措置をとらないよう求める
⑤米国製品の市場参入を妨げる制度の撤廃を求める
例えば「牛肉・牛肉製品・羊肉・羊肉製品・ポテトチップ用馬鈴薯など」
またコメ・小麦・豚肉などの輸入制度改革を求めるとともに
柑橘類・乳製品・加工食品(砂糖など)・他の農産品への高関税や
皮革製品・履物・木材・建築資材などに課せられた障壁を問題視している
⑥医薬品及び医療機器の規制環境改善を求める
特に日本の薬価制度は米国製の医薬品を不当に評価しているとして
強く改善を求めて来ると思われます
因みにトランプ政権は、米国内での薬価引き下げを考えており
そのツケを輸出対象国に払わせようとしている可能性があります
何れにしても薬価問題は自動車や農産物と共に
日米間の大きな火種になることは間違いなさそうです
⑦為替の監視
日本を為替操作国と断定はしていないものの
日銀の金融政策を牽制するには充分効果があるでしょう
従って、議論次第では思わぬ円高を招く可能性があるので
株式市場は要注意だと思います(1ドル100円割れは充分あり得ます)
以上、日米通商交渉で米国側が重視している主な論点を列記しましたが
次に新たな問題について私見を述べて置きます。
①米国議会のねじれ現象により
トランプ大統領のストレスはかなり溜まっていると思われ
そのストレスを日米通商交渉にぶつけられる可能性がある
②沖縄の普天間基地移設問題で県民投票が実施される様ですが
沖縄県民の民意が「移設反対」という結論になれば
トランプ大統領は米軍駐留費用の大幅な増額を要求するか
或いは沖縄から米軍を撤退させると脅して
通商交渉に圧力を掛けて来る可能性があると思います
③米中貿易戦争(冷戦状態)はまだまだ長引くと考えており
日米通商交渉で、日中間の貿易に制限を求められる可能性があります
つまり交渉のタイミングは日本にとって極めて不利な状況であるため
決して力に屈しないという強い意志を持って交渉に臨んで欲しいものです。