会社の研修があって、久方ぶりに御茶ノ水へ行った。
浪人していた頃、通っていた街だった。
研修のビルがどこにあるのかネット検索すると、
なんと、神田明神のド近所じゃないか。
以前に神田明神へ行った時には、
車で行ったため場所の認識が甘かった。
最寄り駅が御茶ノ水だったとは。
しかし、研修が終わり、
街にあった地図を見たにもかかわらず、なんと迷う。
仕方がないので地縁の商店主に道を尋ねた。
こんだけ近所なのに場所がわからないとなると、
商店主にはオイラがよそ者だとすぐわかろう。
「反対側の通りを逆に進んですぐ左手に裏から登る階段がある」
あー、ありました、見ました、ありがとうございます、と答えると、
「階段がもし嫌なら、すこし大回りすれば表から入れるから」
と、親切なダメ押しをしてくれた。
地縁の人から見れば、よそ者が神田明神へ行こうってことだけで、
きっと嬉しくなっているのに違いない。
それぐらい神田明神が、地縁の人に愛されている神社だと感じる。
江戸三大祭りの代表だもの。
*
参拝をして将門札を買ってから、
昔通っていた中華屋があるかどうか知りたくなった。
若いころ、ラーメンと半チャーハンのセットに病みつきになっていた。
チャーハンをひとくち入れて、ラーメンのスープを含むと、
油の風味が絶品に変わる。それにハマっていたのだった。
大体の場所は覚えていて、JR御茶ノ水からみて丸善のそばだったと思う。
行ってみると、かなり風景が変わっていて、商業ビルが建っている。
以前は道路だったと記憶していたが。
その大通りに面して、中華屋は建っていたはずだ。
やはり無くなってしまったかと思っていると、
丸善の、駅から見て左の細い通りに、中華屋ののぼりがあった。
もしや、と思い入店してみる。
もしや、と思いラーメンと半チャーハンのセットを頼んでみる。
「この店って、例えば30年前にもありましたか?」と訊くと、
調理人は変わってしまったけど、あったという答えだった。
昔、よく通ってたんですよ、今日は用事があって久しぶりに来たんです、
というと、女将さんはいまだに健在だよと教えてくれた。
ラーメンを口にして、すぐにあの頃と味が変わっていないと分かった。
「ラーメンはあの時の味とおんなじだな、美味い」というと喜んでくれたが、しかし、オイラがハマっていたチャーハンとラーメンスープによる、旨味が爆発するようなハーモニーは失われてしまっていた。恐らく、チャーハンを炒めるときの油か調味料を変えてしまったのだろう。残念でならない。
次回にでも現在の店主に、そのことを言うべきかどうか迷っている。
本当は、言うべきだと感じている。
どーしたもんだろう?
将門親分に、御任せしてみることにしてみる。。
PS:ギョーザも頼んでみた。口にすると肉汁があふれてきた。
店内を見渡すと、創業70年とあった。
山田屋という店名だと、わかった。