教科書を見ると、空売り比率は通常20%~30%で
30%以上は「売られ過ぎ」20%以下は「買われ過ぎ」と書かれています。
しかし3年前からの傾向ですが、むしろ30%以下の日を探す方が困難で
40%以上という数値を見掛けるのが日常的になっている様な気がします。
私自身も今では35%なら普通、40%を超えると少し高いかな?という感覚です。
因みに空売り比率は全市場に出された売り注文に占める空売りの割合で
「価格規制あり」は主にヘジファンド等機関投資によるものです。
従って「価格規制あり」の空売り比率が高い場合は
必ずしも早期の買い戻しが期待出来るとは限らず
あくまでもヘッジファンドの出方次第だと考えるべきかも知れません。
その空売り比率が今年3月23日に過去最高の50.3%を記録しています。
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/short-selling/nlsgeu0000030khf-att/180323-m.pdf
理由は3/22日のダウ暴落(前日比-725ドル)を受け
3/23日の日経平均は前日比-974円という
2/6(前日比-1071円)に次ぐ下げ幅を記録したためです。
しかしこの日は「価格規制あり」が41.3%に上ったのに対し
2/6の空売り比率は43.7%で、「価格規制あり」は33.7%でした。
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/short-selling/nlsgeu000002xfoz-att/180206-m.pdf
一方売買金額は2/6「4,001,008百万」に対し3/23は「2,168,404百万」なので
2/6はダウの大暴落に驚いた投資家が一斉に持ち株を処分したことが窺えます。
では何故空売り比率が平均的に高くなったかという疑問ですが
4/4の「株探」にその答えになる記事が掲載されていました。
(以下に4/4の「株探」記事を転載)
●偽りの空売り比率50%超え
3月23日、空売り比率は50を超え、過去最高を更新した。空売り比率は数年前まで、「30」を超えると警戒域とされていた。警戒域とされる基準の変化が起きたのは「空売り規制」の変更が理由と言われているが、筆者の実感では、日銀がETF買い入れ予算を増額してきたころと重なっている。
日銀がETF買いを続けることで多くの企業で実質的な大株主となり、その分だけ株式市場の浮動株数は減少している。浮動株が減少した一方で、機関投資家や海外投資家はこれまでと同様の予算で日本株を取引しており、それが日経平均のボラティリティーを大きくしている可能性が高いのではないか。
この仮説の裏付けを取るべく、日本取引所の発表する「空売り集計」から
2016年初めと直近を比べてみた。
空売り額 空売り比率
2016年1月29日 1兆8307億円 37.8%
2018年3月23日 1兆8040億円 50.3%(空売り(価格規制あり))
※「価格規制あり」は機関が空売りしている分のこと。
機関の空売り分について見ると、空売り額は2016年1月も2018年3月も大きくは変わらず、むしろ2016年の方が300億円近く上回っている。
それにもかかわらず、空売り比率は2016年1月の37.8%に対し
2018年3月は50.3%と大きく上回っているのだ。
これが意味することは何か? 機関投資家や海外勢による日本株への投資予算はそれほど変わっておらず、浮動株数が減った分、過去と同様の売買でも株価の変動が膨らみやすくなっていると考えられる。
つまり、海外勢は、日本の政治状況などに懸念を抱いて日本株を投げ売っているわけではない、と言えるのではないだろうか。
●高水準“空売り比率”が映す真実は
報道では、「空売り比率が過去最高を更新」「歴史的に見て空売り比率が高水準」とった文言を見かける。確かに株価が下げているのだから、買いよりも売りが優勢なのは間違いなく、部門別売買状況を見ても売り越しは積みあがっている。
しかし、機関投資家や海外勢がここから先の大きな暴落を懸念して一方的に空売りをしている状況でないのであれば、空売りの買い戻しによる大幅な反発局面は近いとも考えられる。空売り比率こそ高いが、1日あたりの空売り金額そのものは膨らんでおらず、売買を手控えるような水準ではない。目を凝らして空売り比率の本質をみつめれば、先安感に覆われたはずの日本株が違う姿で浮かび上がってくる。
(原文はこちら)