【8月25日 日刊ゲンダイ】
25日、北朝鮮は先代の金正日総書記が軍事優先政治を敷いたことを祝う先軍節を迎える。
昨年はその前日に潜水艦発射弾道ミサイルをブッ放した。
朝鮮人民軍は22日、実施中の米韓合同軍事演習「乙支フリーダム・ガーディアン」について
「わが最高首脳部を『除去』するための『斬首作戦』と『秘密作戦』訓練に重点を置いて演習を強行している」と非難する報道官談話を発表。
「アメリカは報復と懲罰を免れない」と挑発しているだけに、今年も何をするか分からない。
(元韓国国防省分析官で拓殖大学国際開発研究所の高永テツ客員研究員)
今回、北朝鮮が激しい非難声明を出したのは『怒り』よりも『怯え』が大きいと思います。
CIAは今年5月、対北朝鮮の専門組織を新設しました。
金正恩朝鮮労働党委員長の『斬首作戦』や政権転覆を図る『秘密作戦』を
さまざまな角度から研究しているといわれています。
正恩が暴発し先軍節に合わせて弾道ミサイルなどの発射に踏み切る可能性はあると思います。
■元外交官が情報機関に暴露
もっとも、金正恩は威嚇一辺倒というわけではなさそうだ。
20日付の英紙エクスプレス電子版は、金正恩が“斬首作戦”から逃れるため
「中国亡命計画」を立てていることを報じた。
いざという時に備えてプライベートジェット2機を身近に24時間待機させ
妻や人民軍幹部とともに中朝国境にある鴨緑江の中国側に逃げ込む準備を整えているという。
昨年7月に韓国に亡命した元北朝鮮駐英公使の太永浩氏が
英情報機関「MI5」などに提供した情報というから、信憑性は高そうだ。
「正恩は最高指導者に就任して以来、130人以上の幹部を粛清してきたといわれています。
今年2月にはマレーシアで実兄の金正男氏まで暗殺しました。
こんな恐怖政治がいつまでも続くわけがありません。
最近、北朝鮮の学校や企業、軍などで体制批判をする落書きが増えているといいます。
北の国民が忠誠心を失い、内部崩壊に向かっているのは間違いありません。
米軍やCIAが『斬首作戦』を進めていることもあり
正恩は護衛部隊や側近に対しても疑心暗鬼なのでしょう。
だから、亡命は十分にあり得ると思います」(高永テツ氏)
正恩が自ら亡命し、北朝鮮に穏健な新政府が樹立されることは
米国、韓国だけでなく、ロシアや中国にとっても望ましい。
米韓合同軍事演習に周辺国からクレームが出ないのは「正恩亡命」の期待があるからだろう。