今日はとっても寒い。外の気温が10度を下回っている。暖地の四国は10度でも寒く感じるのだ。
こんな日は年寄りがよく亡くなるのだ。案の定、訃報が来た。長年の知人が心臓麻痺で急死した。
お悔やみに行って帰って見ると婆さんがガタガタ震えている。手には松葉杖を持っている。
な、なにが起きたのだ!!!
ガタガタ震える婆さんに暖かいジャンバーを着せてから事情を聞いた。
爺ちゃんちの周りは街灯もなく真っ暗闇だ。婆さんが夜道を歩いていて川に落ち込んだのだった。
真っ暗なのに懐中電灯も持たず、歩き慣れた道だからと暗闇を歩いたらしい。
脇見でもしたのだろう、足を踏み外し1mくらいの深さの川に落ちた。川には水が流れていた。
気温も低いのだから水だって冷たいわ。幸い頭を打たずに足を強打して意識があった。溺れずに川から這い上がった。しかし全身ずぶぬれで家に帰り着替えたところに爺ちゃんが戻ったのだった。
婆さんはその名の通り老婆なのだ。畳の上で転んでも骨折する歳なのに、川に落ちてよく助かったものだ。
足を見たらソフトボールくらい腫れあがっている。医者に行くかと聞いたが、一晩様子を見てからにすると言った。
それなら今夜は早く寝ろと言って電気あんかを布団に入れてやった。
年寄りなのに自分はまだ若いと口癖のように言う婆さん。そんな事はない。誰が見ても老婆だわい。
「老婆は3000年にしてならず」こんな諺が、頭をよぎった爺ちゃんでありました。