「苦難でいかに自分を保つのか、これは人生の大きな命題じゃが、
肝心なのは、ほとんどの苦難は、将来への不安で水増しされとるということじゃ。
目の前にあるトラブルというのは、それ自体ではたいしたことはない。
もちろんそうでないケースもあるがな。
ただ、たいていの場合、心のレジリエンスを超える負荷というのは、
いまここにはないところからやってくる。
これは裏を返せば、いまここに集中することこそが、
心の復元力を高めるための最もスマートなやり方じゃということじゃ。
ナツはウルトラ・マラソンを知っておるか?
マラソンの何倍もの距離を走る競技じゃ。
こういう過酷な競技に臨むアスリートたちのメンタリティは、
レジリエンスの本質に通じるものがあるな。
継続性、終わりのない好奇心、失敗に対する恐れのなさ、大胆さ、
苦痛に耐える力・・・・・・さまざまな特性が指摘されとるが、
やはり興味深いのは『目前の1歩1歩にフォーカスする力』じゃ。
あまりにも長く苦しいその競技に疲れ果ててしまわずに、
最後まで走る抜くためには、あえて遠い先を見ないで、
いまここにフォーカスする力が重要になる。
マインドフルネスは走りながら休むための最高の方法なんじゃよ」
たしかに〈モーメント〉の先行きは明るくない。
競合店がまもなくオープンするいまとなっては、
むしろ見通しは「暗い」と言った方が正確だろう。
しかし、だからこそ将来のことを不安に思って、
それに煩わされるのはバカげているのかも知れない。
それではいたずらに脳や心を疲労させるだけだ。
このままではいけないことがわかっている以上、何か対策を講じればいい。
何もしないうちから、いちいち思い煩う必要などないのだ。
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★「世界のエリートたちがやっている最高の休息法」
久賀谷亮著 ダイヤモンド社 P.185~186より抜粋
ヒトの脳は、何もしていないときにも水面下で働いているという。
デフォルト・モード・ネットワークという、
内側前頭前野、後帯上皮質、楔前部、下頭頂小葉などからなる回路にてそれは起こるという。
しかも、この活動が脳の消費活動の60~80%も占めているという。
従って、脳の疲労をとるためには、
このデフォルト・モード・ネットワークを鎮める必要がある。
そのために瞑想が理にかなっていることが、
最新の脳科学研究から判明してきたという。
久賀谷は、そうした最新研究をこの書籍で紹介するために、
抜粋したとおり小説形式を採っている。
平易な文体を採用しているので、あっという間に読める。
(だって、まさか三島由紀夫のような文体で書いたらこのページ数で終わらない)
しかも、キャラが立っており、かつ構成も悪くないので、感心してしまう。
こういうキャラの立て方は、大沢在昌の「新宿鮫」でも認められるので、
小説を書くときの、基本中の基本と思われる。
なので、オイラは盗む。
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ただし、デフォルト・モード・ネットワーク、
悪いことばかりでもないと、他書籍では書かれてもいる。
これが元になって、突然ヒラメキがやって来たりすることがあるという。
けれども、心底疲れたと感じたときには、
やっぱり久賀谷のいう方法で、脳を休めた方がイイと思われる。
鬱病はじめ、多くの精神疾患でも有用性が認められてきているという。
この久賀谷は、イエール大学医学部での最新知見を盛り込んで書いているので、
内容は本当にオモロイものになっている。