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欧州金融危機の再来を警戒する

先日、メガバンクの方と飲みに行く機会がありました。


その方の知っている人がGPIFで年金運用の仕事をされていて、
「手口を公表されてしまうので非常にやりづらい」と言っていたそうです。


大物ヘッジファンドが前もって手口を公表することはありません。


素人のひとりごと日記です。
(すべて正しくは信頼できる専門家へ)


○E-mini S&P500 Futures


前回と同じように世界のマーケットの中心アメリカ株の需給をチェックします。
アメリカ株が上がれば、日本株も上がりやすいです。


【EミニS&P500株価指数先物の特徴】


EミニS&P500株価指数先物はその名前があらわしているとおり,アメリカ最大,
そして世界最大の株価指数先物であるCMEのS&P500株価指数先物のミニ版


最も出来高の大きな先物市場の取り組み状況を確認するということです。
もちろん、個人投資家の買い、売りの手口も入っています。


一部の個人投資家はチャートやテクニカル、そして自分自身の勘で投資をされていますが、

わたしの知っている実績のある投資家は、必ず客観的なデータをチェックしています。


アセットマネジャーのEミニS&P500のポジションをチェックすると


買い比率


7月26日(火)59.4%
7月19日(火)59.2%
7月12日(火)57.4%
7月 5日(火)56.7%


6月28日(火)54.4%
6月21日(火)56.9%
6月14日(火)58.7%
6月 7 日(火)60.2%


足元、まだアセットマネジャーがアメリカ株に対して強気になっていないことがわかり
ます。このことは、NY株が史上最高値をとり、まだ下がらない理由のひとつです。


しかし、少し買い比率が上昇しているので、そろそろ注意が必要です。


以前も書いたように、最後に押し出されて機関投資家が買ってくると危なくなってきます。

機関投資家は、下手の見本のような運用をしてくれるので参考になります。


機関投資家に資金を預けている人たちは、


NY株が上昇しているのに、パーフォーマンスが悪いと怒りだしたりするので、

(機関投資家は)仕方なしに高値で買うこともあります。


○7月の投資主体別売買動向(単位:百万)


海外投資家 


最新週  -126,192
7月2週   351,193
7月1週 -174,869


個人投資家 


最新週    38,694
7月2週   -499,028
7月1週   169,190


2016年7月第2週(7月11日~7月15日)は


海外投資家は大幅買い越し
個人投資家は大幅売り越し


7月第2週は、個人投資家の踏み上げもあって日本株は順調に上昇しました。


足元、個人は買っていると予想できるので、注意が必要です。


7月スタート時点は、需給面で日本株は上昇しやすい。
しかし、ひとつ間違えれば大きく下落するので下手に動けないと考えていました。


日銀主催の打ち上げ花火大会が終わったので、
これから再び『厳しい現実』に目が向くでしょう。


○リスク要因


日本の財政出動、日銀のETF買い増しなど好材料が出ました。


しかし、想定の範囲内です。


ETFの買い増し額を3倍にして、その分マネタリーベースを増やせば、
サプライズで株価は上昇したかもしれませんが、予想の範囲内だったので、
あまり上昇しませんでした。


サプライズを演出しないとなかなか株価は反応しません。

好材料は、いったん出尽くした感があります。

次のような記事もありました。


『今回国内企業・投資家の米ドル調達コストを下げるための措置によって海外投資家の円調達コストが上昇し、海外投資家による国債や日本株への投資意欲は衰える可能性があることには注意が必要だ。これは日銀のETF買入れ額増額による効果を打ち消すものになるからだ。』(東洋経済より)


また、そもそも日銀がETFを購入することに大きな問題があります。


株価は、企業実態に対する評価で動くべきものが、日銀の金融政策で決定されることに
なってしまいます。そうなると、安心して株を買うことができません。
日本株式市場全体に対する信用もなくなってしまいます。


・・・


ここで落ち着いて現在の株式市場を取り巻く環境を見ると


今までのところ、少なくともわたしの見る限り
すでに発表された日本企業の決算内容は良いとは思いません。


中国の人民元安も一服していますが、予断は許さない状況です。
期待されていた中国人の爆買いも今はロンドンに行っているそうです。


特に気になるのは、ヨーロッパの金融機関の信用不安です。
いつ表面化してもおかしくありません。


日経新聞にも記事が記載されるようになってきました。


伊大手銀の救済大詰め


『イタリアで多額の不良債権を抱える銀行の救済が大詰めを迎えた。伊政府は最大案件の同国3位のモンテ・パスキ・ディ・シエナに対する公的資金の注入を見送り、証券化した不良債権の売却と増資を後押しして健全化を図る(以下略)』

(7月29日朝刊 日経新聞記事より)


UBS、伊大手銀に支援提案


『多額の不良債権を抱えるイタリア3位の銀行モンテ・パスキ・ディ・シエナは28日、スイスの金融大手UBSから支援の提案を受けたと発表した。内容は明らかにしていないが、取締役会が対応を検討し始めたとしている。
(7月29日夕刊 日経新聞記事より)


ユーロ圏1.2%成長に減速
4~6月実質年率 南欧の銀行問題が影


EU機関、欧州51行の査定公表へ
(7月30 日朝刊 日経新聞記事より)


モンテ・パスキ・ディ・シエナだけではありません。


イタリア最大手の銀行ウニクレーディト
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(英)
ロイズ(英)
ドイツ銀行(独)


これら金融機関の株価チャートを
『長期⇒中期⇒短期』の順番で見ると

とても不安な気持ちになります。


炭鉱のカナリアになるCDSを手持ちのメモでチェックすると


イタリア最大手の銀行ウニクレーディト 


148.4(4/22)⇒206.6(7/8)⇒171.9(7/29)


ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(英)


105.7(4/22)⇒156.3(7/8)⇒126.6(7/29)


ドイツ銀行(独)


150.8(4/22)⇒235.6(7/8)⇒209.6(7/29)


となっています。


足元、少し落ち着いていますが、ドイツ銀行も今の言葉を使えば、「ヤバイ」です。


欧州の金融機関も簿外でたくさん不良資産を抱えているので大変だと思います。


ショート筋がこのあたりの不安材料を通信社に配信させて
一挙に仕掛けてくることも考えられます。


昨日の日経新聞では


欧州51行 資本30兆円減
資本査定 景気失速想定で

(7月30日夕刊 日経新聞記事より)


そして本日


欧州 銀行再生道半ば
51行査定、資本30兆円減の恐れ
英独大手も弱さ露見

(7月31日朝刊 日経新聞記事より)


記事の中で、「危機モードは脱出したが・・・」とありますが
何かの勘違いでしょう。


投資家は記事の内容より実際の数字を読む必要があると思います。


欧州発のリスクオフ相場は想定の範囲内にしてもよいでしょう。


8月は好材料がいったん出尽くしになった可能性があります。
悪材料はたくさんあり、需給が整理されれば、ショート筋が動きやすくなるでしょう。


個人の売り残はまだたくさんあり、買戻しが株価を下支えするところもありますが
いつも以上にリスクをとるのに慎重になってもよいかもしれません。



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