6月23日に行われたEU離脱投票(BREXIT)は、その後の経済、株価に大きな影響を与えました。「投資環境は政治が作る」ことが証明されましたが、同時にその政治が、予測不可能な国民投票によって決まることも実証されてしまいました。
今になって、離脱に投票した人でさえ、「こんな結果になるとは知らなかった」とか、「どうせ残留になると思った」と、ぼやいているようです。この投票が、議会民主主義のお手本の国の結果なのですから、いかに国民の声と称するものがいい加減なものか分かります。
選挙結果は、ほとんどすべての予測と反してしまったわけですから、その結果の範囲と対策については、すべて「これから」ということになってしまいました。投資にとって最も嫌う「先の見えない」状況が続きそうです。一度「壊れた甕(かめ)」の修復には、時間がかかりそうです。
とはいっても、よその国の国民投票の結果に文句をいっても始まりません。問題は同じことが起こる可能性のある10日の参議院選挙です。
今回の選挙は、どう転んでも政権交代が起こらないと、たかをくくっておられる方も多いと思います。確かに参議院は、直接内閣を選ぶ選挙ではないかもしれませんが、2006年(平成18年)9月に成立した第1次安倍内閣は、翌年に行われた参議院議員選挙で、与党の歴史的な惨敗を喫し、安倍首相の退陣につながりました。以後、自公政権は参議院において、少数与党として「ねじれ国会」への対応を迫られたことはご存知の通りです。
政策が国会を通らないばかりでなく、以後、福田、麻生、鳩山、菅、野田(敬称略)と、ほとんど毎年のように首相が変わる政治の混乱期に突入したのです。混乱期の株価と為替がどのように動いたかは、ここで数字をあげて説明するまでもありません。
むしろ、この間にリーマンショックと大震災と、二つの大きなショックを経験し、株価が10,000円を超えることができない異常事態に陥ってしまっていたのです。
今回のブレグジットショックは、参議院選挙の期間中に起こりましたが、政治の安定がいかに株価の投資環境に必要かを教えてくれました。日本人の選挙行動は、英国人と違うのかもしれませんが、為替下落は物価上昇だけ、株価上昇は金持ちを太らせ、安倍政権は人殺しだ、といっている人がいることも事実です。選挙はやってみないとわかりません。
もしここで、自公連合が選挙に敗れ、与党内での主権争いに発展するようになると、それこそ、アベノミクスの成果とされる円安株高政策が、根本から見直され、年末に予想される大統領選挙の行方とも相まって、日本の安全保障体制までが崩壊することも想定されます。
今度の参議院選挙の結果がどのようになるかは予測できませんが、想定の範囲に収まることを願わずにいられません。