麻生代官殿の為替介入を仄めかす発言をきっかけに
一時ドル円相場は110円台に乗せる動きを見せましたが
賞味期限が切れた現在は、どうやら108円台が居心地良さそうな雰囲気です。
伊勢志摩サミットでも通貨競争の自粛や財政出動による景気回復が議論されると思いますが
先進国の中では主催国の日本が最も景気の低迷に喘いでいるだけに
積極的に為替政策の議論には踏み込み辛いというのが本音ではないでしょうか。
ところでドル円相場に関しては、プラザ合意以降、日米の企業物価を基準に算出した
購買力平価がほぼ円安の上限とされて来ました。
しかしアベノミクスに伴う日銀の異次元緩和をきっかけに
購買力平価のバランスが大きく崩れ、想定以上に円安が進行したものと認識しています。
つまり日銀の異次元緩和により、インフレ目標達成に対する強い決意が示されたことで
期待を先取りした投機筋が円売りに走った結果だったと思われます。
さらに、日本の貿易収支が2011年に31年ぶりに赤字に転落していたことも
円が売られ易い環境を作っていた様な気がします。
ところが物価は一向に上昇に転じる様子がないうえに、円安による貿易収支の大幅な改善で
購買力平価から見た円安は行き過ぎとの認識が広まる様になって来ました。
そこへ浜田内閣官房参与の「購買力平価から見たドル円相場は105円が妥当」という発言。
これには米国も即座に食い付きましたが
食い付きの速さを考えると、むしろ控え目な発言だと受け止められた可能性があります。
どうせ正確な数字を把握するのは無理ですから、「110円」が妥当でも良かったと思います。
ところで投機筋によるIMM通貨先物取引は、相変わらず円ロングが高い水準を維持しています。
ただ4月に日銀が追加緩和を実施しなかったことで、若干手仕舞い売りも出ていますが
6月にFRBが追加利上げに踏み切る可能性は残されており
逆に日銀の追加緩和は7月ではないかとの見方も浮上しており
両中央銀行による金融政策決定の時間的なズレが
6月中旬以降の円相場に大きな影響を与えるものと考えています。
しかし両中銀による年内の金融政策(予想も含め)が出揃えば(7月以降)
年内のドル円相場は、110円前後に定着するのではないかというのが
素人の私から見た無難な?水準予想です。