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「デカップリング」論の思い出

 2007年、IMFが「世界経済は米国経済と連動しなくなった」と発表し、一気に「デカップリング」という言葉が広まったことがありました。つまり、アメリカ経済がダメなら新興国がなんとかしてくれるさ、という超絶楽観的な考え方で…その後は?当然、連動しなくなるわけはなく、2008年以降に大変な状況が起こったわけです。2007年当時には既に信用収縮局面に突入していたにもかかわらず、IMFがデカップリング論を振りかざした背景には、新興国を囃し立てて調子に乗らせている隙に資産を売り抜けようという西側先進国の意図があったと言われています。

 10年前の世界経済はそれ以前よりも密接複雑に「カップリング」していて、そのどこかに問題が生じれば必ず他の部分にも影響が波及する様な状態でした。じゃあ、今の世界経済は?10年前よりも更に規模が大きくなり、10年前よりも遥かに密接複雑に「カップリング」してしまっています。不安を煽るわけではありませんが、もし世界経済のどこかにサブプライム・ショックの時の様な問題が生じれば、その影響は当時の比ではありません。

 たとえばこれまで連動していた2つの現象が連動しなくなったとしても、あるいはこれまで正の相関を持っていた2つの現象が突然負の相関を持つようになったとしても、大抵それは一時的なものに過ぎません。今まで連動していた2つの現象は今後も連動し続けるのです。誰かがいろいろ理由をつけたりするかもしれませんが、そうこうしている間にわかってる人たちは資産を引き上げて逃げおおせてしまうわけです。サブプライム・ショックの様なことが今後いつ起こるのかは私にはわかりませんが、個人投資家が徒手空拳で相場に向かうにあたっては「デカップリング」論の様な妖しげなマヤカシに対して常に機敏に反応できるようにしておいた方がよいかもしれません.
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