jojuさんのブログ
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米国利上げと世界的緩和(円安批判の愚かさ。金融緩和強化)
基軸通貨国・米国の利上げは、新興国経済や未だ巨大不良債権残存の欧州経済、中国経済を不安定にする。
それに対し新興国、欧州、中国は不良債権問題を悪化させぬよう金融緩和を進めざるを得ない。
これら諸国の金融緩和はドル高につながり、それは製造業を中心に米国の国内景気に下押し圧力になる。
結果、米国の経済指標はふらつき、利上げペースは減速されることになる。
昨夏以来の金融市場、各国経済指標の動きは上記のような各国金融政策の相互作用を反映したものである。
来週、ECBは年末に引き続き、追加緩和を行うと見られている。
中国は昨年後半以降、利下げ、人民元切り下げの景気刺激策を行っているが、今年後半には更なる通貨切り下げを行ってくるとも想定されている。
以上より米国の経済指標は弱含む可能性の方が高く、もしくはオセロのようにポジ・ネガが入れ替わり、利上げペースは想定より更に鈍化すると思う。
世界経済は(各国金融政策の相互作用で)ジグザグを繰り返しつつ緩慢に回復、、、この基調に変化はない。
世界的に巨大不良債権残存であり、かつどの国も金融緩和指向なのでそれは必然的である。
金融緩和指向で無くなれば不良債権問題は破裂するので、金融緩和を続けつつ、資金注入で不良債権処理を進めていくしかない。
不良債権の損失確定処理を遅らせれば、それゆえに緩慢景気回復や長期景気低迷となり、結果、不良債権処理の損失額は巨額化していくことになる(中国!)
※ 信用取引を経験されてる個人投資家は上記の状況がよく分かると思う(笑) 投資には経済の縮図が詰まってる。 自腹の種銭で直接投資を行うとマクロ経済が見えてくる。
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金融政策は国内景気の中立化を目的に行う国内政策ゆえ、それは主権国家では当然ながら他国に干渉されずに独立して行われる。
そうした金融政策の独立性があるがゆえに、国内経済成長を目指すならば、資本移動、為替市場は自由になる、ならざるを得ない(国際金融のトリレンマ)。
結果、国内向けの金融政策が資本移動、国際為替市場を通じて、各国間に相互作用を及ぼすことになる。 各国経済は共振しあう。
共振を止めたければ、反グローバリズムへの道、、、資本移動と為替市場を閉ざすしかないが(固定為替レート)、それは国内経済成長に強力な下押しになる。
リーマン、財政出動のダブルバブルで不良債権巨大化の中国には反グローバリズムへの誘因があるが、それは実務的に困難と見られているし、中国政府はそこまで愚かではないように見える。
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日本には不良債権問題がなく、欧州のようなモザイク経済でないので、米国同様、(一方向の)シンプルな金融政策が取れる良いポジションにいる。
現状は、隣国・中国の巨大緩和でのデフレ圧力に抗し、景気中立化を目指した巨大緩和を取り続ければいいだけ。
具体的には、金融市場への通貨供給を増やし(質的緩和)、銀行への通貨供給をガンガンに増やし(量的緩和)、それを銀行が市中にはき出すよう、日銀が銀行に与えている金利を下げまくればいいだけ(マイナス金利)
景気中立のインフレ率2%になるように、それが維持されるように上記の政策を取り続けるだけでいい。
ところが、黒田日銀は(景気中立化でなく)増税推進のため、景気低迷長期化を指向し続けている(景気低迷=税収低迷=財政悪化=増税推進=財務省の省益拡大)。 上記政策を取ってるものの後ズレ・小出しの金融緩和で景気低迷=低インフレを長期化させている
日本の経済指標の悪化トレンドを見るに4~6月には追加緩和が想定されているが、それは1月のマイナス金利同様、小出しで不十分なものになる可能性が高い。
日本の現状では日銀から銀行への資金供給は潤沢なので、マイナス金利強化でそれをはき出させるのが一番いいのだが、中国や欧州の緩和で米国指標がふらつき、米国利上げへの懸念増大、世界的リスクオフ増大、株安化・円高化が進むタイミングで、「不十分な」マイナス金利を行ったことにより、マイナス金利政策にバツを付けることに黒田日銀は成功しつつある
政治家が賢ければ、それでもマイナス金利強化を黒田日銀に迫るはずだが、そうならないだろう。
今の政治家はマスコミ世論(マスコミ村の世論≠国民世論)にすぐ日和るから。
有権者の生活よりもマスコミの顔色を伺って自爆する傾向が強いから。
結局、金融政策に多くを期待できず、安倍政権は金融政策が不十分なまま財政政策で景気浮揚を図る可能性が高い。
これは90年代の状況と全く同じ。
あの頃は、金融緩和不足で金回りが悪いなかで財政出動の景気対策を乱発したので、泡沫的一時的景気浮揚に止まり、財政悪化と不良債権拡大と経済成長率低下(建設業に経済資源を過剰集中させた為)を招いた。
結果、公共事業(インフラの維持管理)の持続性を危うくするオマケまでついた。
今回は安倍政権の圧力であの頃ほど金融引き締め的でないので、90年代ほど悪い状況にはならないが、それでも中長期的に日本経済にマイナスに作用することは間違いない。
この政策ならば財政悪化で増税推進につながるので、官僚も妨害しない。
、、、、選挙があるので、財政政策での景気対策が打たれる可能性はかなり高い。
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安倍政権にとってのベストな経済政策は、日銀法改正(総裁任期の無期化。これは日銀の独立性毀損にはならない)をちらつかせて、黒田日銀を金融緩和強化に追い込みつつ、財政政策はしないこと(緊縮財政は止める。財政中立化)
それが出来ないならば、せめて事後の不良債権拡大、経済成長低下につながらない財政政策=市場原理を歪めない財政政策を取るべきだろう。
これは、具体的には減税やクーポン配布などの方策。
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海外のごく一部(EU幹部のごく一部)から、最近、円安誘導批判が出ているが、これは財務官僚の焚き付けくさい。
外圧利用での円安けん制発言、金融緩和けん制発言をさせたのだと思う。
こういう手口は、IMFなど国際機関を舞台に、財務官僚の常套手段になっている。
日本は景気中立の2%インフレにほど遠いので、今の為替は中立レートよりも円高であって、円安ではない。 今の金融政策は、円安誘導でなく、円高是正なので、円安批判は不当であり不可解。
また、金融政策は一義的に国内景気中立化を目指す純粋国内政策なので、外国にとやかく言われる筋合いはなく、国民の税金で食ってる政治家はそれに迎合してはいけない(外国の税金で食ってる野党政治家ならば話は別だが)
そもそも、EUも景気中立を目指す金融政策を取ってるので、日本に景気低迷の金融政策を要求するのもおかしい。
金融緩和が行き過ぎ過剰円安化すればバブル化し自爆するだけなので、この点からも海外の円安批判は無意味である(日本は、中国のように隣国からノウハウ・技術を得られる立場、それによる生産性上昇でバブル化を抑制出来る美味しい立場ではない)
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マスコミ報道からは黒田日銀の金融緩和不足、景気抑制指向は見えて来ない。
黒田日銀の行動・言動と経済指標を時系列に見るとハッキリ分かるが、マスコミはそういう報道をしないからである。
TV・新聞は役所からのいたれりつくせりの保護規制(電波利権・再販制度・記者クラブなど)により平均年収1500万を謳歌してるので、表向きと裏腹に官僚、省益をサポートする論説を振りまく。
その一方、官僚の省益追求に目障りな政治家(民意で選ばれた国民の代表)は徹底的に叩く。
官僚に従順な政治家(主従逆転の政治家)は叩かない。
結果、金融政策についても官僚の省益追求に与する論説だらけになる、、、円高の渦中での円安弊害論、金融緩和批判、マイナス金利批判等々、マスコミ論説は不合理、デタラメ、反国民益(省益奉仕)だらけ。
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