鳥取のセレンディピティ ~尾崎翠~

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2016/01/04 - 元祖SHINSHINさんの株式ブログ。タイトル:「鳥取のセレンディピティ ~尾崎翠~」 本文:新聞書評で気になっていて、書店で手配してもらった本。尾崎翠という作家も知らなかったし、彼女が桜庭一樹と同じ鳥取出身だということも知らない。何週間かかかって、最寄りの書店から入手の電話が来た。そのまんま

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鳥取のセレンディピティ ~尾崎翠~

元祖SHINSHINさん
元祖SHINSHINさん

新聞書評で気になっていて、書店で手配してもらった本。

尾崎翠という作家も知らなかったし、彼女が桜庭一樹と同じ鳥取出身だということも知らない。

何週間かかかって、最寄りの書店から入手の電話が来た。

そのまんま、積ん読になっていた。

 

桜庭作品を読み進めている内に、

何の気なしに並行読みしだしたら、

このところずっと桜庭一樹に押されてばっかりだったオイラにも、

これで少しはお返しができるってぇ、事実が判明したんだ。

て、てやんでぇ、っとくらぁ。。

 

★「尾崎翠の感覚世界 《附》尾崎翠作品 第七官界彷徨 他二篇」

  加藤幸子著 萬書店 2,300円+税 2015.8.10.初版第一刷 

  以下P.160~161より抜粋

 

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三五郎の部屋では、寒い空気のなかに、丁度三五郎の寝床がのべてあった。

私は早速眠りに入らうとしたが、二助の部屋からつづいてゐる臭気のなごりと寒さのために、

私はただ天井をながめてゐるだけであった。

 

丁度私の顔の上に天井板のすきまがひとつあって、

その上に小さい薄明がさしてゐた。

 

三五郎の部屋の屋根の破損は丁度垣根の蜜柑ほどのしわたしで、

私は、それだけの大きさにかぎられた秋の大空を、

しばらくながめてゐた。

 

この閑寂な風景は、私の心理をしぜんと次のような考えに導いた──

三五郎は、夜寝る前に、この破損のあひだから星をながめるであらうか。

しばらく、星をながめてゐるであろうか。

 

そして午近くなって三五郎が朝の眼をさましたとき、

彼の心理にもこの大空は、いま私自身の心が感じてゐるのとおなじに、

深い井戸の底をのぞいてゐる感じをおこさせるであらうか。

 

第七官といふのは、いま私の感じてゐるこの心理ではないであらうか。

私は仰向いて空をながめてゐるのに、

私の心理は俯向いて井戸をのぞいてゐる感じなのだ。

 

そのうち私は眠りに陥つた。

 

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この赤字部分が、桜庭一樹の「赤朽ち葉家の伝説」においては、

ひとつの重要なアイテム元になっている。

そのことは、冒頭付近からすぐに謎めいて描かれていて、

物語の最後に種明かしされる仕組みになっている。

(是非、読んでみて下さい)

 

一樹は鳥取という舞台で作品を描くに当たり、

鳥取出身の作家作品を熟知した上で、

オマージュとして尾崎翠「第七官界彷徨」を取り上げたのだと思われる。

 

オイラの嗅覚も、なかなかじゃろーが、エッヘン。

(って、ホントにそれ、偶然でわかったんだろうが!)

 

ありがとう、弁慶。

それは、オイラの意識にインターセプトしてくる、あの世からの便り。

あわわのわ。。

 

PS:「赤朽ち葉家の伝説」には、鬼太郎のオマージュもいるぞなもし。

 

 

 

 

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