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きょうの国内市況(11月11日):株式、債券、為替市場

●日本株上昇、好業績評価の繊維や不動産、小売が堅調-原油高で鉱業も

東京株式相場は上昇。好業績に対するアナリスト評価が高まった東レなど繊維株のほか、不動産や小売株が上げ、海外原油市況の反発を受けた鉱業株は業種別の上昇率トップだった。個別でも、決算内容評価の動きから明治ホールディングスや荏原、ケネディクスが高い。半面、通期業績計画を下方修正した住友金属鉱山の急落が響いた非鉄金属、王子ホールディングスなどパルプ・紙株は下げが目立ち、株価指数の上値を抑えた。

TOPIXの終値は前日比5.84ポイント(0.4%)高の1595.32と反発、日経平均株価は20円13銭(0.1%)高の1万9691円39銭と6日続伸。

三菱UFJ国際投信・経済調査部の石井慶人シニアエコノミストは、「夏場の中国懸念が和らぎ、足元の日経平均は今期最終1割増益見通しでPER15.6倍と増益基調に見合ったフェアな水準に戻ってきている」と言う。業績拡大の原動力になっているのは、「円安と訪日外国人消費、欧米先進国の景気回復。現状のドル高を維持できて来期増益が意識されれば、日経平均は6カ月で2万1000円程度を目指していくだろう」と話した。


東証1部の業種別33指数は鉱業や繊維、不動産、小売、食料品、建設、陸運、卸売など20業種が上昇。紙パ、非鉄、鉄鋼、ゴム製品、精密機器、証券・商品先物取引、電気・ガスなど13業種は下落。

東証1部の売買高は21億3534万株、売買代金は2兆4448億円。上昇銘柄数は1243、下落は557。
売買代金上位では日本郵政やゆうちょ銀行、楽天、小野薬品工業、長谷工コーポレーション、コーセーも高く、一方で業績内容が失望された住友鉱は急落した。金属価格の大幅下落が響き、16年3月期の経常利益予想を1480億円から850億円に下方修正した。野村証券が投資判断を下げたDMG森精機のほか、パイオニアが大幅安。下落率上位では業績予想減額のニチイ学館やノーリツ、4-9月期の営業利益が前年同期比9.7%減の202億円だった大日本印刷も安い。



●債券は下落、あすの30年債入札に向けた売り圧力で-超長期中心に安い

債券相場は下落。あすの30年物利付国債入札を前に超長期ゾーンを中心に売り圧力が強まり、徐々に中期債にまで広がった。
長期国債先物市場で中心限月12月物は前日比1銭高の148円43銭で取引を開始した。直後には148円47銭と3営業日ぶり高値まで上昇したものの、取引が進むにつれて売りに押される展開となった。午後に入ると、取引水準は午前の終値148円40銭を下回る展開に終始し、一時は148円35銭まで下げた。結局は5銭安の148円37銭で引けた。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、「あすの30年債入札に向けて売りが出ていた」と指摘。「30年債入札は金利水準的には少し足りない感じ。ただ、年内に40年債入札はないのでそんなに悪くないのではないか。利回り曲線的にも安いと思う」と述べた。

現物債市場では超長期債への売りが目立った。新発20年物の154回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と同じ1.075%で開始し、1.5ベーシスポイント(bp)高い1.09%まで売られる場面があった。新発30年物の48回債利回りは0.5bp低い1.375%から1.39%まで上げた。長期金利の指標となる新発10年物国債の340回債利回りは横ばいの0.31%から0.32%へ上昇。新発5年物の125回債利回りは1bp高い0.04%を付けている。

日銀が午前の金融調節で実施した総額1.2兆円程度の長期国債買い入れオペでは、応札倍率が残存期間「1年超3年以下」、「3年超5年以下」、「5年超10年以下」の全てで前回を上回った。



●ドル123円割れ、上昇一服で売り優勢-年内利上げ期待で下値限定

東京外国為替市場では、ドル・円相場が一時1ドル=123円台を割り込むなど、ドル売り優勢の展開となった。米国の年内利上げ観測を背景としたドルの上昇に一服感が広がった。

11日午後4時47分現在のドル・円相場は122円98銭前後。10日の海外市場では123円台前半でもみ合っていたが、東京市場に入ってからはドル売り・円買いが優勢となり、一時122円74銭と3営業日ぶりの水準まで値を切り下げた。取引終盤にかけては123円台に戻す場面があった。

ブルームバーグ・データによると、ドルは主要16通貨ほぼ全てに対して前日終値比で下落。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は10日に約10年ぶり高値に達したが、足元では前日比0.2%安となっている。





●中国人民元の値下がりは必至、SDRは関係ない-大和の頼氏



国際通貨基金(IMF)が中国人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨として採用しようがしまいが、中国経済は元安を招く資本逃避に直面している。大和キャピタル・マーケッツはこのようにみている。

大和で日本を除くアジア担当チーフエコノミストを務める頼志文氏は11日、香港での記者説明会で、「家が火事になっているような状況で、SDRはほとんど関係ない」と指摘。人民元が準備通貨として認められることは、「10マイル先にある水の入った小さなバケツ」のようなものであり、中国経済を好転させることはないと語った。

頼氏は人民元が2016年末までに1ドル=7.5元に下落すると予想。人民元は上海時間午後3時22分(日本時間同4時22分)現在6.3638元で取引されている。人民元は8月の切り下げ以降、2.4%下げている。

頼氏は人民元が今月のSDR見直しで採用される確率は50%を「若干上回る」程度だと分析。中国人民銀行(中央銀行)による最近の市場介入は、SDR採用に関して「良い評価にはつながらない」と説明した。世界的な人民元の利用拡大のためには、改革という点で中国当局が成すべきことはまだ多いとも述べた。


ブルームバーグ抜粋
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