その⑪「株式投資の勘違い」☆☆☆

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その⑪「株式投資の勘違い」☆☆☆

第11回「株式投資の勘違い」


今回は1~10回のおさらいを兼ねて

私達が日常勘違いしていそうなことを改めてピックアップしてみました。


◇勝敗と勝率

投資はあくまでもトータル(例えば年間を通して)での勝敗が全てであり

勝率に拘るとロスカットのタイミングを誤り傷口を広げ兼ねません。

例えば1年間で100万円利益が出たとしても

現実には3銘柄で200万円の利益、残り7銘柄で100万円の損失
この様なパターンは意外に多いと思います。
さらに株価が数倍跳ね上がった大化け株が利益の大部分を占めることも充分有り得えます。

つまり個別銘柄の投資は10戦全勝を狙わず、1勝9敗でもトータルがプラスであればいい
或いは3割の銘柄で確実に利益を上げ

7割の銘柄は損失を最小限に食い止めるという考えでトレードする方が賢明だと思うのです。
そう考えれば1年を通じて売買する銘柄のうち、7割の銘柄は容易に損切り出来る筈ですから
損切りが苦手という人は是非心掛けてみては如何でしょう。


因みに勝率を上げることが成果に繋がるという意見もありますが
個人的には勝率を無視してでも

とことん年間収支に拘るのが投資の世界で生き残る為の基本姿勢だと考えています。


<point>
9勝1敗でも損をすればは負け、1勝9敗でも利益が出れば勝ち

投資の基本はロスを最小限に止めること


◇含み益と含み損


含み益があると利益が確定した訳でもないのに儲かった気分になりますが
含み損を抱えた場合は、損切りしてしまうまで損をしたという実感がなかなか湧きません。
ところが利確や損切りをせずに放って置くと

不思議なことに含み益は何時の間にか消滅し、含み損は益々増える傾向があるのです。

なぜなら値上がりした株は利益確定の売りが出て下げるのが普通で
値下がりした株は人気が薄れた可能性があり、容易に下落が止まらないことが多いからです。

この様な勘違いが起こる原因は、株の売買がマウスをクリックするだけで完結してしまうからで
実際にお金を扱わない為に金銭感覚が麻痺し

投資が資産の運用であるという大前提を忘れてしまうからだと思います。

<point>

含み益を放って置くと何時の間にか含み損になりやすい
売買とはいっても実際にお金をやりとりする訳ではないので金銭感覚が麻痺し易い
マウスをクリックするだけで売買が完結するのでゲーム感覚に陥り易い

 


◇株価の上昇率と下落率


株価が5%上がる場合と5%下がる場合

どちらも5%ですから全く同じに思えますが実はそうではありません。

例えば日経平均株価10000円が9500円になれば

その下落率は5.0%で下げ幅500円ということになります。
ところが9500円から10000円に戻る時

上げ幅は下落幅と同じ500円ですが上昇率は5.0%ではなく5.3%です。

勿論1000円で買った株が950円に下落した場合と、950円の株が1000円に戻る場合も同様です。
つまり同じ値幅でも株価が上昇する時と下落する時では変動率が異なる為に

下落するよりも上昇する方がより大きなエネルギーを必要とします。

このことからもロスカットの重要性が改めて解かると思います。

切実な例として、投資資金100万円をロスカットを怠った為に50万円に減らしてしまった場合

資金の減少率は50%です(50万円の損失)
しかしこの負けを取り返すためには50万円の資金で50万円の利益を出す必要がありますから

取り戻すのに100%のパフォーマンスが必要になります。
100万円の資金を半分に減らすには数日もあれば充分ですが

50万円を倍にするのは容易なことではありません。

因みに単純計算ですが、50万円を倍にする為には毎月利益を1%ずつ出し続けて6年

同様に3%で2年、5%でも10ヶ月かかります。
それも毎月利益を出し続けることが前提ですから、如何に大変なことかが解かると思います。

<point>
株価の騰落率は同じ値幅でも、下落時より上昇時の方が大きなパワーを必要とする

 だからこそ下げの局面では早い対処(ロスカット)が重要となる
ロスカットを怠ると致命的な結果を招く

 仮りに資産が半減する様なことになれば取り戻すのはほぼ絶望的



◇投資とギャンブル


「投資とギャンブルは似て非なるもの」で、両者には共通点もあれば相違点もあります。
少なくとも金が絡むことと勝ち負けが生じるという点では似ていますが根本的な違いもあります。

そもそもギャンブルは胴元が一定の手数料を差し引いた残りの賭け金を還元する仕組みですから

仲間内でお金を賭けて行う麻雀やカードゲームなどは

ギャンブル性はありますが基本的にはゲームの範疇だと言えます。

これに対してパチンコは店が一定の利益を取って残りを客に還元するのでギャンブルです。

つまりギャンブルは胴元が必ず儲かり、客は平均すると必ず損をする仕組みになっているのです。

それでは株式投資はどうでしょうか。

胴元が居る訳でもなく仲間内でお金を取り合うゲームでもありません。(手数料は除きます)
しかも上昇相場が続く時は殆どの投資家が儲けることも可能で

こういうことはギャンブルには有り得ません。

勿論逆もありますが、株式投資とギャンブルの違いはパイが変化するという点だと思います。


ここで参考までに身近なギャンブルと株式投資の還元率を比較してみます。
(株式投資の還元率はジェレミー・シーゲル博士の米国に於ける200年の統計より引用しました)

ラスベガスのカジノ・平均(97%)

パチンコ(85%)

競輪・競馬などの公営ギャンブル(75%)

日本の宝くじ(48%)

株式投資(107%)

ご覧の通り株式投資がギャンブルと異なるのは還元率が100%を超えている点です。

但し統計期間内にパイが増加したということで、誰もが儲かったという訳ではありません。

逆に日本の宝くじは半分以上を胴元が取るので、これほど還元率の低いギャンブルはありませんが

実際には売り上げの多くが福祉の充実など社会貢献に使われる為

ギャンブルという認識は殆どありません。


因みにジャンボ宝くじの1等が当たる確率は、2トントラック一杯分買って1枚
或いはボーリングで3000km先に置いたピンを倒す(ボールが到達すると仮定して)くらい

至難の業だそうです。

以上、投資とギャンブルに違いがあることは解かりましたが、投資にもギャンブル性は存在します。

例えば超短期~短期投資は株価変動に金を賭ける行為ですから少なくとも投資とは言えません。

<point>
ギャンブルは胴元が儲かる仕組みになっており

    一定のパイの中でお金を奪い合うので、その都度勝者と敗者が存在します。
    これに対して投資は対象の価値が変化すればパイの大きさも変わるので

    市場環境によっては過半数が勝者又は敗者になることも有り得ます。

    つまりパイが膨らむ相場環境や、パイが膨らみそうな銘柄を狙って投資をすれば

    ギャンブル性は薄れるということです。

ギャンブルは予測し難いこと又は予測しても意味がない対象にお金を賭ける行為です。

    しかし投資はある程度予測出来る対象を相手にするという点で

    ギャンブルとは根本的に異なる側面を持つと言えます。


投資とギャンブルは別物だとしても、ギャンブル性の高い投資と低い投資は存在します。

  しかしリスクを恐れてばかりいては大成しないという格言がある様に

  状況に応じてギャンブルすることが必要な局面も有ると思います。






2件のコメントがあります
  • イメージ
    yuhsanさん
    2014/10/8 15:53

    kabukabumanさん

    こんにちは


    このデータは分かりやすく、大変参考になります。

    短期投資と長期投資の差がよく分かります。

    こんなに分かりやすい確率論なのに、なぜ9割までの人が短期投資に走るのでしょうか。

    答えはひとつ…。

    証券会社、取引所、情報機関が市場活性化の下に、短期投資を勧めているからです。

    資本主義の根底を支える機関が、このザマではしょうがありません。

    大変参考になりました。


  • イメージ
    kabukabumanさん
    2014/10/8 16:53

    yuhsanさん こんにちは! 


    お褒めの言葉を頂き大変恐縮です。


    yuhsanさんの仰る答え、良く解かります。


    ある意味NET社会が齎した弊害かも知れないと思います。


    yuhsanさんは何時も投資はギャンブルだと仰っていました。

    私は一部異論もありましたが

    現状を見渡すと次第にそうなりつつある様な気がしています。


    そういう私も市場の変化に惑わされ

    昨年から短期投資のウェイトが上がりました。

    でもこれからはyuhsanさんの教えを忠実に守る方が

    最後には笑えるのではないかと感じています。


    今後ともご指導よろしくお願い致します!

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