北海道電力、四国電力、東北電力の三社は三十日、太陽光を中心とする再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく契約の手続きを十月一日から中断すると表明した。「申し込みの急増により、需要を超える恐れがあるため」と説明している。既に九州電力は二十五日から受け付けを中断。東京電力、関西電力も一部地域で制限するなど、再生エネルギーの受け入れを抑制する動きが広がっており、経済産業省は十月中に専門部会を設置し、改善策を話し合う。
北海道、東北、四国の三電力では、特に太陽光を中心に買い取り価格が下がることが決まっていた直前の三月に駆け込みの申し込みが急増。「一時的に管内の電力需要を上回る可能性がある」としている。買い取った電力をすべて接続した場合、送電網の容量を超え、安定供給に支障が出る恐れがあると判断した。
中断する期間は今後の対応策が固まるまでの「数カ月」と説明。住宅用の太陽光発電は出力が小さいため、影響は少ないと判断し、買い取りを続ける。
太陽光や風力による発電は昼夜や天候によって発電量が大きく変わる。発電量が一時的に需要を上回る可能性がある一方、雨天や風のない日には急激に減る。このため電力が余った場合は、ほかの電力会社に流したり、蓄電池に充電して夜間に送電したりするなど、電力を安定させるための調整が必要になる。しかし、送電網の整備や蓄電池の開発などの対応が遅れている。
こうした事態を受け、経産省は専門家委員会の下に部会を設けて当面の受け入れ量の上限を検証し、将来の受け入れを増やすための方策を検討する。部会は学識者五人程度でつくり、年内に三、四回会合を開く。また、再生エネルギーの固定価格買い取り制度は「電気料金の上昇につながる」との指摘もあるため、専門家委員会は、買い取り制度の仕組み全体を見直す方針。