猛烈な雨で斜面はどうなるか実験
8月22日 18時20分
広島市で起きた大規模な土砂災害をもたらしたような猛烈な雨が降ったとき、斜面の土や砂がどのような状態になるのかを解明しようという実験が茨城県つくば市で行われました。
実験は、防災科学技術研究所と日本地滑り学会の研究グループが、つくば市にある人工的に雨を降らせる大型の実験施設で行いました。
高さ5メートル、幅9メートルの斜面に、深さ1メートルの砂の層を作り、「表層」と呼ばれる部分を再現しました。
そして、雨量を1時間に50ミリ、75ミリ、100ミリと徐々に強くしていきました。
1時間雨量を100ミリにして、50分がたったころ、斜面の表面に亀裂が入り、崩れ始めました。
そして、3分ほどで砂の層全体が2メートルほど下に崩れ落ちました。
センサーで計測した結果、砂の層に含まれる水の量は、1時間雨量が100ミリに達した時点で一気に増え、崩壊が始まった時には砂の層のほぼ全体が大量の水を含んだ状態になりました。
さらに、表層の下にたまる水の水位も1時間雨量が100ミリになると急激に上昇していました。
研究グループによりますと、猛烈な雨が降った際、斜面の表層の内部を調べたことはこれまでほとんど無かったということで、研究グループでは今後、雨の強さや土の種類など条件を変えながら実験を繰り返し大雨の際に土砂災害を予測するようなシステムを構築したいとしています。
防災科学技術研究所の酒井直樹主任研究員は「1時間雨量が100ミリになると浸透する水の量が急激に増えることが分かった。自治体が避難情報を出すのに役立つようなシステムを作っていきたい」と話していました。