ECBが明日の理事会で「不胎化オペを停止するかも」という観測が出ている。
(「不胎化オペとはなに?」という方は下にあるニュースを読んでください。)
不胎化オペを停止すると、ユーロの供給量が増えるので、
ドル資金流出に悩む新興国には新たな糸口(ドルのかわり)となり、
新興国問題に対する過剰反応が収まる可能性が出てくる。
それだけでも十分にメリットがあるが、
ECBにとってはデフレリスクの低下とユーロ安で、まさに一石三鳥。
ちなみに不胎化オペ停止のあるなしは今のところ意見が分かれている。
ECB理事会は明日21時45分に政策発表となる。
理事会で不胎化停止の可能性も
今週はECB理事会が開催される。先週発表になったユーロ圏消費者物価(速報値)が低インフレを示す内容となったことで、利下げ期待が急きょ再浮上している。一部には今週の理事会にでもとの見方も出ていたが、現状は据え置きとの見方が大勢のようだ。
金利に関しては変更は無いかもしれないが、流動性に関しては何らかの措置が打ち出されるのではとの期待も出ている。
ECBは欧州危機時に国債買い入れオペで供給された流動性を市場から吸収する不胎化オペをきょうも実施しており、1755億ユーロを吸収した。流動性が低下しており、短期金融市場でユーロ資金が再びひっ迫するのではとの声も出ている。
そのような中、ロンドン時間に「ドラギ総裁はドイツ連銀の支持があれば不胎化をやめる意向」と一部報道で伝わっていた。先週は不胎化停止についてはドイツ連銀も賛成の意向を示しているとも伝わっている。
<Klugより>
ECB、不胎化オペ停止を検討 6日理事会で決定の公算小さい=関係筋
[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が国債買い入れの不胎化措置の打ち切りの可能性を検討していたことが関係筋の話で明らかになった。ただ、これは1つの選択肢に過ぎず、6日の理事会で打ち切りが決定される公算は小さい。
ECBはインフレ抑制のため、国債買い入れで生じた流動性を毎週オペを通して吸収。こうした不胎化措置が打ち切られれば、金融システムに約1750億ユーロ(2370億ドル)の流動性が供給され、ユーロ圏の短期金利上昇圧力が抑制されることになる。
ドラギECB総裁は1月の理事会後の記者会見で、ECBの政策発動の要件として、短期金利の「正当化できない」上昇、もしくは中期インフレ見通しの悪化の2点を挙げている。
ただ関係筋の1人は、ECBは3月の理事会に合わせて発表するスタッフ予想に基づき政策スタンスを見直し、流動性に対するスタンスもこれをきっかけに見直す可能性があるとの見方を示した。
ECBが不胎化措置を打ち切れば、ユーロ圏の銀行システムに存在する過剰流動性 は増加。元ECBエコノミストのクリスチャン・シュルツ氏は、「不胎化措置の打ち切りにより過剰流動性が増加し、これによりユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)が再び低下すると予想される」と指摘。
ただ、「EIONIAは現在は0.15%(近辺)で推移しているめ、それほど重要な問題ではない」とし、「過剰流動性の増加はリスクを伴わないが、大きな効果も望めない」との見方を示した。
ECBは約2年前に長期流動性供給オペ(LTRO)を実施したが、銀行が同オペで供給された資金の早期返済を進めていることなどで過剰流動性が減少。これを受け、EONIA は前月、ECBの主要政策金利0.25%を大きく上回る水準に上昇した。
その後市場の緊張が和らぎ、4日は同金利は0.14%に低下しているが、今週は過剰流動性が前月の急上昇を招いた水準まで減少することが見込まれているため、再び上昇する可能性もある。
ECBの不胎化措置打ち切りに関しては、独憲法裁判所が現在行っているECBのユーロ圏国債買い入れプログラムの合法性をめぐる審議が関連してくる可能性もある。
判断が下される前に不胎化措置を打ち切ることで、ECBの政策に対する新たな疑問を生じさせることは避けたいとの思惑が働く可能性もあるからだ。
JPモルガンのエコノミスト、グレッグ・フゼシ氏は、ECBが不胎化措置を打ち切れば、独憲法裁はECBが証券市場プログラム(SMP)に関する方針を変更したと受け止める可能性があると指摘している。