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ドル円のゆくえ

ドル円が上昇を続けている。

11月8日(金)の米雇用統計の発表以降
実に4円50銭ほど値上がりしており、現在102.40円。
日足チャートを見る限りでは
5月の高値をトライしにいっているように見える

現在の日経の上昇は「ドル円の上昇」による所が大きい。
今年の半ばから日本株が欧米株に出遅れをとったのも
「ドル円」が円高に振れたからである。
外需依存の日本(というイメージも強い)では、
為替相場と株式市場の関係がどこの国よりも蜜月だ。

そのため、ドル円が堅調である限りは
日経平均の大きな調整(下落)はないと予想される。
では、ドル円は今後どうなるのか。
上がるのか下がるか、それを予想するには、
現在のドル円が上昇している理由を知っておかないといけない。

ドル円は日経以上に堅調に推移している。一体なぜか。
それはズバリ「日本と欧米との金融政策の差」だ。

アメリカをはじめ、欧州各国も金融緩和を縮小する方向にある。
アメリカが量的緩和(QE3)の縮小が来年1月か3月かと言われ、
イギリスは住宅ローンの補助をすでに取りやめた。
ユーロは先月予想外の金利引き下げをしたが、
欧州の景気回復が顕著になってきており、これ以上に緩和はない。
(ユーロ高はユーロ圏の景気回復の足かせになるので、
12/5のECB政策決定会合のドラギ総裁の記者会見には注意が必要)

それに比べ日本はインフレ2%達成までは金融緩和が継続する。
先の日銀の政策決定会合では何ら政策の変更は見られなかったが、
黒田総裁が改めてインフレ2%達成を断固死守する旨を表している。
つまりは、インフレ2%の達成が難しいとなると
追加の金融緩和が行われるということになる。

現在日銀はインフレ率について
「2013年~15年後半にかけて2%に達成する可能性が高い」
という展望リポートを出しているが、
これには9人の審議員のうち3人が反対している。
市場の見方も2%は難しいだろうというのが大勢だ。
よって日本の場合は、金融引き締めどころか、
さらに「追加で金融緩和が行われる可能性がある」。

金融緩和の元では金利は低く、金融引き締めの元では金利は高い。
リーマンショック以前に大流行した「円キャリー(※1)」が
また近いうちにキーワードになってくるであろう。
(※1)金利が低い「円」を借りて、金利の高い通貨を買うことを言う。

円が一番弱いため、円安になっている。
だから円が安いのは、しばらく変わりない。
円安を期待した投機筋のポジション(※2)が積み上がっているため、
ポジションの巻き戻しにより一瞬円高に振れることもあろうが、
それはあくまで「瞬間的」でしかない。

なんらかのキッカケでポジションが巻き戻され
円高に振れる時、それが絶好のドル円の買い場となるだろう。

(※2)ポジションとは通貨先物の円ショートポジション。

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