【書評】『聖なる怠け者の冒険』森見登美彦著

[AAI Fundさん]

記事によると、穴があいた旧制高校のマントに身を包み、安っぽい狸（たぬき）のお面をつけた「ぽんぽこ仮面」は、迷子を救い、夫婦げんかを仲裁し、ゴミ捨てを手伝い、困った人みんなに親切を施す正義の味方。その２代目を襲名するように迫られている小和田（こわだ）君が、この物語の主人公だ。のんびりした休日が好きな小和田君は何度も断り続けているのだが、祇園祭の宵山（よいやま）の日、風雲は急を告げる。街を牛耳っている巨大組織がうごめき、山鉾（やまぼこ）の明かりが照らす長い長い夜の果てに…。京都であって京都じゃない異空間の味わいと通読必至の語り口。森見ワールドの真骨頂とのことです。