今日の東京市場の平均株価は前日比わずかなマイナスにとどめた。
シカゴ日経平均は12,700円であったから、この数字から見れば比較的大きな反発といえる水準という見方も出来るだろう。
業種別では不動産業、その他金融、電気・ガスの3つのみ上昇、下落が30業種、銘柄別でも下落が80%ちかくとなっている。
平均株価が小幅な続落に終わったにも関らず、ディフェンシブセクターと呼ばれて相場下落時にもしばしば逆行高する医薬品も下落しており、業種別や銘柄別で見ればほぼ全面安というかなり偏った相場となった。
ニュースに成るのは、日経平均やTOPIXといった平均株価であり、これが下がり続けるとそれに引き摺られて個別銘柄の株価も下がり続ける傾向にあるから、平均株価の下落率が小幅に留められたのは、底割れを回避して反転上昇させるには良いことと考えられているようだ。
日経平均の終値が前日比で-0.21%の12,877.53(前日比-26.49)で朝の寄り付きでシカゴ日経平均先物の米国市場終値12,700円にさや寄せして始まったことを考えるとそこから200円近いプラスとなり、日経平均で見れば株価防衛は成功したといえそうである。
先物主導の相場展開との説明がつくことが多く、確かに日中の時間帯ごとに見ると先物取引で出来高が急増して相場が上昇したり、下落したりと流れが変わるたびに個別銘柄や実際の日経平均やTOPIXといった平均株価が変化しているのだから、その説明は流れの変化をベースに見れば、その通りであろう。
ところが、面白いことにシカゴ日経平均先物より押し戻した筈の日経平均先物価格の方は東証の大引けである15時時点で12,680とシカゴの米国市場終値とほぼ同水準で前日比-140.00(-1.09%)なのである。
今日の高値は日経平均が13,106.20に対して日経平均先物が13,110.00となっていて、こちらはほぼ同じだったのに大引けである15時時点で前日比を比較すると日経平均が-26.49に対して日経平均先物が-140.00と大きな差が付いてしまったのだ。
もちろん、現物株の統計値である日経平均と日経平均先物の価格動向が異なるのは、別物として取引している以上当然起こりうることであり、前日の時点でも日経平均と日経平均株価には12,904.02に対して日経平均先物が12,820と差が80円強あったのだから、差が生じること事態は別に普通のことなのだろう。
しかし、今日の様に前日比の下落率で日経平均が-0.21%に対して日経平均先物が-1.09%と大きな差が生じたことはどう解釈すべきなのだろう。
現物株で計算した方のTOPIXは-1.29%とこちらは日経平均より日経平均先物の-1.09%に近いのである。
日経平均株価が5月24日に日中の最高値をつけた直前の最後の上昇は日経平均寄与度の高い一部銘柄に偏って上昇した無理なものだと解説されているのだ。
今日もその最後の上昇局面と同様に日経平均寄与度が大きいことで知られているファーストリテイリングやファナックは日経平均株価の下落に逆行しただけでなく、その属する業種の平均株価とも逆になっているのだ。
つまり、この2銘柄の日経平均への大きな上昇寄与度が、明らかに日経平均の前日比のマイナスと日経平均先物の下落率の際を作り出す上で極めて大きな役割を果たしているのである。
また、前場終値時点で唯一つ業種別平均が値上がりしていた不動産は、日経平均に対して仕掛け的な上昇が為された際にその代表銘柄の三菱地所の出来高が大きく膨らんでおり、アベノミクス期待で大きな上昇を演じてきた不動産株の反発を演出することで、底割れを防ごうという戦術が取られたことが見て取れるのである。
その他にも平均株価以上に下落する形で終わった銘柄でも、ホンダや京セラといった日経平均寄与度の大きな銘柄には通常では考えられない出来高の急増が大引けで見られるのだ。
ニュースで報道される東京市場の株価は日経平均そのものであり、通常は日経平均先物の価格は東京市場の終値としては報じられることは無い。
その辺りを熟知した心理戦として日経平均先物の価格よりも日経平均寄与度の高めの銘柄の株価の維持を目指したのであろう。
この戦略により黒田日銀ショック後の株価の上昇で生じたいわゆる窓を埋める形のチャートが日経平均に関しては作り出すことが出来たようだ。
このチャートを強調することで、日経平均先物やTOPIXで生じた前日比1%を超える下落のイメージを与えずに済むのか・・・
市場参加者の心理にこの作戦が効果を発揮して、来週以降の株価が大きく反発しないまでも下落傾向から脱して底割れ懸念を払拭できるのか注目する必要がありそうだ。
チャートで株価を読む人たちは通常個別の銘柄についてもチャートを読んでいそうにも思うのだが、日経平均のチャートだけを気にしている人も多いのだろう。
そうした人向けのメッセージとして今日の平均株価防衛が機能することを期待しておきたい。
なお、個別銘柄の出来高と株価のチャートについては画像を添付する都合上、この日記のコメントの形で投稿したい。