2001年6月の就任から13年目を迎えた乾新悟・乾汽船社長。
「不況の地獄を2回、好況の天国を1回、経験しました。あと1回ぐらい天国があればいいのですが」と笑顔で語る。
毎年、年初に金融機関各行を訪問した際に受けた印象で1年を占うという。今年は人出が多く、人々の表情も朗らかで「暗かった昨年と大違い」だった。昨年末の政権交代以降、「空気が変わっているのを感じた」と話す。
ただ、「まだ実体はなにも良くなっていない。厳しい環境が続くかもしれない」と気を引き締める。難局下で海運のトップにかかる重圧は大きい。最近、体調管理を目的に酒を控えており、昨年はノンアルコールデー120日を達成。「今年は150日を目指します」と宣言していた。
9日に、「ハンディマックスとハンディサイズを何隻か新造用船する」と乾社長が言ってました。運賃市況はまだまだひどい状態ですが、乾社長の読みとしては「バルカーは世界的な船腹過剰だけど、酷いのは主にケープやパナで、中小型バルカーはそこまで悪くない。しかも世界のハンディサイズの大半は船齢が15年以上で廃船が近い。バラスト水管理の新条約に引っかかる旧船は半強制的に廃船になる。たとえ廃船しなくても燃費が悪い。底値の今のうちにエコシップを確保しておくかどうかが今後15年を分けることになる。」ということだそうです。なかなか面白い話でした。それに、上の記事にある様に肌で感じた「空気が変わっている感じ」はとても重要です。
中国発の「好況の天国」のとき、本当に素晴らしい舵取りで乾汽船は商船三井と共に最高のパフォーマンスを上げました。そして今は未曾有の「不況の地獄」ですが、この地獄をどう乗り切るかで若社長の真価が問われるでしょう。乾新悟社長はまだ42歳と若いしいわゆる世襲社長ですが、もしかしたらなかなかの傑物かもしれません。長く経営に携わるためにも今年もお酒はほどほどにして、15年後には大社長になっていてほしいなあ。