「老年期,心豊かに」というインタビュー記事(星 薫・放送大学,認知心理学)を,過日地方紙で見かけた('11/10/29)。共同通信の配信記事だろうから,掲載日は異なるかもしれないが他紙でもご覧になれたはずである。
同記事中,サクセスフル・エイジングのため,以下の4つのポイントが紹介されている。
・創造的な活動をする(例 俳句や蕎麦打ちなど,何かを創り出すこと)
・学ぶ向上心を持ち続ける
・遊ぶ時間をつくる
・多くの人と付き合う
「団塊世代の大量退職」のせいだろう,「定年後」「老後」の類の文言をここ数年来,毎日のように様々なメディアで見かけるような気がする。
確かに,サラリーマンにとって「退職」は一大事ではある。しかし,「退職」を一大イベント,「人生の分水嶺」的イメージで捉えるのは,既に些か古い考え方なのではないだろうか。電車に乗っていてある駅で下車し,別の電車に乗り換える。その程度のものに過ぎない,と私は思う。退職を前後して人格が変容するわけではなく,その変わらぬ人格をベースにして日々の暮らしは続いていく。
ただ電車を降りたものの,次に乗る電車が見当たらない,あるいはそこから先の切符がない。はたまた新たに乗り換える気力が無く「車庫に入る」という今まで乗ってきた車両にまた戻りたいと駄々をこねた挙句プラットフォームのベンチでコップ酒をあおるしかない。それでは少々困ることになる,本人だけでなく周りの者にとっても。(苦笑)
ある元同僚(当時,30代・独身女性)は,勤務が終わるや家に一目散に帰り休日もずっと在宅していた。学ぶ向上心も,また何か創造的な活動に励んでいた風も別段無かった彼女が,いざ退職したら上記4点で充実した生活を送ることができるだろうか?
そう考えると,上記のポイントは老若を問わない生きる要諦とも思えてくる。