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元派遣社員に謝罪し和解 沖データの違法労働問題

 沖電気工業系列の沖データ高崎事業所(群馬県高崎市)による労働者派遣法違反問題で、同社が元派遣社員に謝罪し、将来の生活に対する配慮を提示して和解したことが、関係者への取材で分かった。同社は和解内容を明らかにしていないが、同社と交渉した電機・情報ユニオン関東地方本部(東京)によると、大手企業グループがこうした誠意を示した条件で契約解除した元派遣労働者と和解するのは全国的に珍しい。 

 この問題は群馬労働局が二月、三十代男性の元派遣社員を契約外の業務内容で、違法な期間働かせたなどとして同法違反と認定し、同社に是正指導した。

 元派遣社員は正社員ではないため、同社の労働組合には加入していなかった。昨年九月に契約を解除される前、沖電気工業グループで働く非正規社員を含む団体「沖電気の職場を明るくする会」に相談した。

 同会は電機関連企業の非正規社員を中心にした労働組合のユニオンを紹介。元派遣社員はユニオンに加入し、同年十月から沖データとの交渉が始まった。

 四回目となる今年七月下旬の交渉で、起立した同社の幹部が机に両手をついて深々と頭を下げて謝罪し、和解の確認書に合意した。

 元派遣社員は「温かいご支援があったからこそ、この苦しい闘いを諦めずに続けられた。交渉を通じ、労働者派遣法がいかに労働者に不利かを実感した。同じような立場の労働者が立ち上がるのは難しいとは思うが、挑戦しなければ何も変わらない」と語った。

 ユニオンの海老根弘光書記長は「大手企業グループの幹部が元派遣労働者にここまで謝罪し、まとまった提示をするのは各地の交渉でも聞いたことがない」と話している。

 沖電気工業の広報部は「真摯(しんし)に受け止め、謝罪した。誠実に協議を重ね、双方が納得の上で円満に和解した。和解内容や経緯については、対外に公表しないことで合意しているので、回答を差し控える。今後はグループを挙げて再発防止に努めたい」としている。

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